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心配性の友チョコ作りと、味見チョコ

学生時代のバレンタインは、友人同士で手作りのお菓子を渡す、いわゆる「友チョコ」が毎年の楽しみだった。
中学は家庭科部、高校は茶道部に所属していた私は、男子などそっちのけで同性の部活メンバーや仲の良い友人と手作りのお菓子を交換した。

だが心配性の私にとって、バレンタインは楽しみと同時に不安でもあった。

心配性的バレンタインの不安ポイント

心配性としては、ざっと以下の6点に不安を覚える。

1:調理中のミスで材料が全滅しないか
2:すごくまずいお菓子を作ってしまわないか
3:うまくラッピングできるか
4:持って行くときに破損しないか
5:教室の暖房でチョコが溶けないか
6:先生に取り上げられないか(黙認してくれていたが……)

色々挙げたが、何よりの心配は「すごくまずいお菓子を作ってしまわないか」である。
中学生当時、自信を持って作れるお菓子はホットケーキくらいだった私にとって、バレンタインのお菓子作りは難易度の高いものだった。

お菓子は材料の計量をきっちり行う必要があるし、クッキーなどの焼き菓子は生焼けや焦げのリスクがある。
たとえば、バレンタイン前夜に「クッキー20枚焼いて全部焦げた」なんて悪夢のような事態もありうる。

また、完成したお菓子を試食して「美味しいのができた!」と思っても安心できない。
味覚は人によって異なるため、私にとって美味しくても他人にとって美味しいとは限らない。
自分の味覚が一般と乖離していて「なんか美味しくないお菓子」が爆誕する可能性があるのだ。

問題なく完成しても、自分で味見しても消えない不安。
私が少しでも安心するには、客観的な意見が必要だった。

不安解消と照れ隠しの味見チョコ

バレンタイン前夜。
「チョコ作ったからさ、味見してよ」

万が一の失敗に備えて多めに作ったチョコを皿に並べ、リビングに持って行く。
不安を解消するために、我が家の男性2名に味見をしてもらうのだ。

【我が家の男性陣】
・寡黙だが、美味しいものを食べたときは「うまい」と言う父
・姉の私に対して若干当たりが強く、辛口コメントの弟

「いいんじゃない?」「ちょっとビターすぎるな」など感想をもらい、味を調整する。
作ったチョコがマズくないことを確認して、ひと安心。

そして、味見チョコにはもう一つの目的があった。

せっかくお菓子を作るのだから、日頃の感謝を込めて家族にあげたい。
しかし、ラッピングしてお菓子をプレゼントするのはなんだか照れ臭い。
先述のとおり、寡黙な父と辛口な弟は反応に困りそう。

だから、味見と称して渡すチョコがお互いにとって丁度いい。

2025年、バレンタイン

大人になってからは、ちょっとお高いチョコを自分用に購入して食べるのが毎年の楽しみになった。

今年もチョコを買って帰り「美味しいチョコ買ってきた!食べる?」とお裾分けする。

弟は「美味そうじゃん!くれ!」と、父は「食べる」と言って、今年もチョコを食べてくれる。


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