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禁断の恋物語を読むなら!【おすすめ小説紹介】

こうなることは貴彦の部屋がノックされたときからすでに決まっていたような気がする。いや、この家に貴彦がきたときから決まっていたのかもしれない。
「あのひとはひどいひとよ」

義姉との怪しく、そして切ない三角関係。真実とはどこにあるのか?
いや、真実などない。きっと、真実はそれぞれの心の中にある。

十嶋 慧さんの短編小説。お盆休みの読書タイムに、さくっと読める長さです。


義姉に恋をしてしまう禁断の恋の物語、不倫物語。テーマだけを見ると、どこでもありそうな物語に思えます。しかし、この方の小説の上手いところは、決して真実を伝えないところです。


人間同じ出来事を経験したとしても、その人の解釈によって真実は異なるもの。恋愛では相手が悪い、自分は悪くないとお互いに言い張ることはよくあることでしょう。

片側だけの意見を聞いていると、話を聞いた人の方が明らかに被害者だと感じる。しかし、実際に双方に話を聞けば、矛盾点があることに気づく。

この物語は、そうした人間の本質的な部分をうまくついています。


他人が考えていることは、どう頑張っても他人が知ることはできない。
語ることだけが真実ではなく、むしろ語られていないことの中に真実が隠されているのかもしれない。

そんな人の闇や、人間というものを考えさせられる物語。



noteに掲載されている小説の中から、おすすめの小説をまとめています。ショートショートや短編が多めなので、移動中や手軽に読書したい方は是非覗いてみてください。


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