療育に使う小道具の話
2018/2/27 はてなブログ自記事より
こんにちは。あすぺるがーるです。
近所の梅園で梅が咲き始めているのを見て、春が近づくのを感じました。
もっとも、同時にスギ花粉症の時期も到来してるようですが…。
さて、本題へ。
私の母は、発達障害の子どもたちの療育をするための施設に勤務しています。
母が受け持っているのは、少人数の未就学児向けのグループ療育です。
母のクラスでは、身体を動かすアクティビティーや工作などをやっています。
それらの活動を通して、身体と脳の連携を良くすることで生活能力や学習能力を向上させるとともに、「順番を守る」などの簡単な社会的ルールを覚えていくのだそうです。
発達障害の子どもたちの療育には、それに使うものにも様々な条件を必要とします。
常に新鮮みに欠けないものであること
母の受け持ちのクラスの子どもたちは、ADHD傾向が強くて、とても飽き性。
それに、自分が興味の無いことは全然やろうとしません。
そんな子どもたちが「使ってみたい!」と思うような道具でなくてはいけないのです。
組み立て方が明示されていること
発達障害の子どもたちは、察することが苦手です。
お手本を見ても、お手本通りに作ることができない子どもがいることも。
そのため、どこにどのパーツを貼ればいいか、口で説明するだけではなくパーツに明記する必要があるのです。
なるべく壊れにくく、安全であること
発達障害の子どもたちは、物事の程度を理解するのが大の苦手。
例えば、手に棒を持たせて振り回させると、はちきれんばかりにブンブン振り回します。
あと、道具を口に入れてカジカジするような子どもがいることもあります。
そんなことをしても壊れない、壊れて口に入ったり人にぶつかったりしても危なくない道具でなくてはならないのです。
「道具づくり」の現状と打開策
ただ、これら条件を満たす道具は、なかなか市販化されていないのが現状です。
そのため、それらの道具は先生たちが、家で手作りしていることが多いです。
私も、その作業を手伝うことがあります。
母は、療育の小道具を作る専門の作業所があっても良いのではないか、と言います。
先ほども言ったように、療育用の小道具は、同じ年齢層の定型発達の子ども用のおもちゃよりも多くの配慮を要しますが、需要が供給に見合わないため、なかなか市販化されません。
だからといって、毎回療育者が手作りするのも無理があります。
子どものために何かを工作することが好きな保育園や幼稚園の先生は数多くいても、発達障害の子どもたちに必要な条件を踏まえて道具を作ることのできる人は、ほとんどいないそうです。
母は、本当の意味で発達障害の子どもたちに何が必要か分かっているのは、保育園や幼稚園の先生ではなく、大人の発達障害当事者ではないか、と言います。
蛇の道は蛇、ということですね。
いち発達障害者の親としてだけではなく、発達障害児の親の会の代表や発達障害専門の臨床心理士として当事者に関わってきた母の言葉なので、わりと真を突いた言葉なのかなと思っています。
解決策のメリットと課題
もしこのような形で発達障害者のための職業が確立したら、就職したり、定職にありついたりすることのできる発達障害者の数も格段と増えるのではないかと、私は思います。
商品を量産する必要はないから無暗にたくさん働く必要もなく、だからといって需要が途絶えることもないでしょう。
もしかしたら今まで報われることのなかった発達障害者の方が、当事者としての経験や自分の適性を生かすことで、QOLを大きく上げることができるかもしれません。
トラブルマネジメントなどの課題も多いですが、実現できれば発達障害者にとって、長い目で見れば社会全体にとっても大きなプラスになるでしょう。
だからといってその計画を進めるために、不本意に法学部に入学した私に社労士になることを勧めてくるのはちょっとな、と思うのですが、誰かやりません…?
私もしばし、母が小道具を作るのを手伝うことがあります。
ぶっちゃけものすごく時間を食いますが、工作も単純作業もそれほど嫌いではないし、発達障害の子どもたちのためになるならということで引き受けています。
今日もまた、サークルの練習を早退してその作業をやっていたのですが、それについては次回以降、気が向いたときに書いて行こうと思います。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。いただいたサポートは、他の方のnoteのサポートや購入、そして未来の自分を磨くことに充てる予定です。