16時

16時が好きになった。好きな時間は？と聞かれたら、15時か21時と答えていた。実際誰かに聞かれた経験はないが、私が暇な時私に質問していた。

15時の理由は、おかしの時間だからだ。何時であってもおかしを食べるが、15時はおかしのイメージがある。21時の理由は、21時を過ぎるとテレビ番組が面白くなるからだ。生粋のテレビっ子なため、今でも全くテレビ離れができていない。

なぜ16時なのか。最近、16時に洗濯物を取り込むことが多い。洗濯物を取り込む時、私は、洗濯物しか見ていなかった。ベランダから目の前にあるコンビニを覗いたり、道路を走る車を見下ろしたり、手を伸ばした先にあるTシャツのさらに先にある空を見ようともしなかった。

ふと空を見上げると空色に桃色や紫色が混ざり、私好みの可愛らしい空が描かれていた。その空がもっと近くで見たくてベランダの端まで歩いた。あれ、ベランダってこんなに広かったんだと驚いた。世界を狭くしていたのは私だったのかと大袈裟に考えたりもした。

ベランダを中心に右端と左端の空は桃色や紫色や橙色が混ざっているのに、真ん中の空は他の色が混ざることなく空色として堂々としていた。空は面白い。空という名前は素敵だ。同級生に空という名前の人がいた。空という名を持つ人に出会ったのは、その人だけだ。あのときもっと、素敵な名前だねと褒めたかった。

私は明日も16時に洗濯物を取り込む。ベランダの端まで行き、漏れ出るコンビニのBGMを微かに聞きながら色の混ざった空を見る。