DECO*27 、“ポップパンク”と“ハイパーポップ”を紡ぐ“ボカロ文化圏”が誇る最新ポップ決定打!!!【ふくりゅうの音楽新潮流徹底解析 〜 menu.4】
2022年の音楽シーンのキーワードに“ポップパンク”がある。70年代に勃発したオリジナルパンク・ロックに比べ、メロディアスで聴き易さが定義のひとつとなったジャンルだ。
90年代、グリーン・デイやオフスプリング、ブリンク182、Sum 41、そしてアヴリル・ラヴィーンを経由して、日本でもTommy heavenly6、Yui、LiSA、Aimerなど、その後のシーンに大きな影響を与えたアーティストが続々登場した。
現在でもビリー・アイリッシュ、スネイル・メイル、オリヴィア・ロドリゴなどアヴリル・ラヴィーンから影響を受けたアーティストは多い。
同時に二テン年代(2020年)といえば、ネットカルチャーの台頭も見逃せない。世界最大のストリーミングサービスSpotifyの公式プレイリストのタイトルにもなった『hyperpop』は、“ポップパンク”からの影響を打ち込みサウンドをミックスさせた仕上がりが独自の時代感、ミクスチャーかつカオスなジャンル感を生み出していることに着目したい。
中でもネットカルチャーで注目されているのがアンダースコアズ、そして100gecsだ。
そして、出自、ルーツは異なりながらも日本発のユースカルチャーであるボーカロイド文化もメロディアスなロック文脈として、“ポップパンク”からの影響を強く受けている。
わかりやすく表現してくれたのがボーカロイド文化を牽引する音楽家、DECO*27だ。クリエイティブカンパニーOTOIROを立ち上げ、自らの制作環境自体をアップデートする次世代のリーダー。
そんなDECO*27が2022年3月9日に8枚目となるアルバム『MANNEQUIN』をリリースした。“アイドル全員初音ミク”をキャッチコピーとする“初音ミク愛”を具現化した意欲作であり、先行リリースされた大ヒット曲「ヴァンパイア」に証明されている通り、DECO*27史上最もポップ&エッジィなアルバム作品だ。
そんなアルバム『MANNEQUIN』4曲目に収録された「U」に耳を奪われた。完全なるメロディックハードコアのロックフォーマットにのっとった“ポップパンク”チューンを初音ミクが英語で歌うという楽しさ。
90’sリバイバル文化として世界を席巻しようとしている“ポップパンク”、そして躍進する現在進行形でミクスチャーなアンダーグラウンド文化“ハイパーポップ”と接続する日本のオーバーグラウンドへも大きな影響を与えている“ボーカロイド文化”というカルチャーが交差するトライアングルのおもしろさ。
そもそも“ハイパーポップ”シーンで歌われる歌声にはエフェクトがかけられることが多い。ボーカロイド、初音ミクによるマシーンヴォイスな歌声と接点を感じるナンバーがいくつもある。これは、実は偶然ではないだろう。
完全なるガラパゴス状態で誕生した日本のユースカルチャーである“ボーカロイド文化”は、ある種、シンセサイザーが進化した楽器として初音ミクの歌声がEDMやヒップホップのトラックに取り入られる事例も増えてきた。今後、“ハイパーポップ”シーンがさらなる盛り上がりをみせれば、日本初のボカロ文化が世界の音楽シーンとの接点がより増えるかもしれない。
そんなキーとなるアルバム。それがDECO*27による最新作『MANNEQUIN』だ。
注目すべきは、TikTokやYouTubeで拡散されまくった新機軸のアッパーチューンを開拓した「ヴァンパイア」、「シンデレラ」、「アニマル」といった最新人気チューン。
DECO*27らしさ溢れる、人が抱える“闇”を内合するシニカルなポップチューン「パラサイト」、「ジレンマ」というアンセムの存在も興味深い。
さらに、10年以上シーンの最前線で活躍するDECO*27、定番人気曲にリプロダクションを施したポップな「おじゃま虫2」、ロックな「モザイクロール -Reloaded」を“いま”収録するというリバイバル感も気になるポイントだ。
米津玄師、ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。、YOASOBI、Adoの躍進など、メインストリームのポップ・ミュージックをボカロ文化圏から生まれた作品が制覇しつつある音楽シーン。そんな中、2022年の“いま”最も注目すべきアーティストがDECO*27なのだ。
DECO*27 アルバム『MANNEQUIN』特設サイト
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