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2020年に振り返る「絵文字」のデザイン

こんにちは!UIチームのデザイナー加藤です。今回は「絵文字」のことをお話していきたいと思います。

1. はじめに

絵文字は世界でも「Emoji」と呼ばれ、親しまれています。キーボードへの基本搭載はもちろんのこと、SNSを中心に人気アプリにも大々的に使われており、PC/スマートフォンのUIと切り離せない存在にもなっています。この世情で特に浸透したSlackやZoomでも「リアクション」として使われており、リモートのビジネススタイルの中で、感情を表現してコミュニケーションに温度を生む存在になっているように思います。

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絵文字を語るにあたり、超概要で歴史をお話しますと...
祖先は諸説ありますが、現在私達が日常的に使っている絵文字は日本発の文化と言われ、その発祥の絵文字は1999年iモード端末で使える12×12ピクセルの文字として登場したものだと言われています。2016年には、ニューヨーク近代美術館(MoMA)がiモードの絵文字176種類をコレクションに加えています。

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絵「文字」というだけあって、他の言語同様に共通の認識をやりとりすることができる言語体系とも言え、デザイン・文化的な価値が認められています。

2.【文化的視点】最近導入された新しい絵文字について

2020年の絵文字の変化は、例えば「タピオカ」が追加されていたり、マスクを身に着ける人が具合悪そうな表情から元気な表情へ変更されたりしています。この世情で、マスクが病気の象徴でなくなった、ということですね。
ブームや社会の常識の変化を、絵文字が素早く表現しています。

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さらに社会的な2020年の絵文字変化でいうと、授乳をする人物が女性だけでなく男性が追加されていたり、タキシードやウェディングベールを身につけていた人物も両性が用意され、中性的なパターンも追加されています。

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多様性という視点では、2015年頃から、肌色も変更ができるようになっています。性別も合わせた組み合わせで、「Police」だけでも18種類の絵文字が用意されているのです。

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この世の中が続くと、検温器やアルコール消毒なども絵文字に加わっていきそうですね。

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ノンバーバルで通じるアイコニックな絵文字の一覧は、「常識」と言われがちな共通認識に近い感覚があると思います。そういったものが、社会の浸透より早く多様性へ対応しようという姿勢に、胸が熱くなります。

3.【デザイン的視点】SNSごとに異なる絵文字デザイン

絵文字はUnicodeで規格化された特殊文字であるため、その正体は文字列であり、表示画像は端末やアプリによって画が違います。TwitterやFacebookなどで絵文字を打ったことがある方は気づいているかもしれませんが、デザインが異なるのです。主要サービスであるApple、Google、Twitter、Facebookのデザインを比べながら、私が面白いと思った絵文字デザインの一部をご紹介します。

①食事系:お弁当、ラーメン、鍋料理

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お弁当は、ほとんど重箱のような箱に入ったデザインになっています。また、白米もほとんどのお弁当に入っていますね。これが「お弁当」の共通イメージなのでしょうか。

Appleさん家のお弁当、右上に入っているのはお寿司でしょうか。白米のおかずがお寿司になっています...。Googleさん家のお弁当は、キュウリ攻めが多少気になりますが、バランスが良いですね。Twitterさん家のお弁当は、ちょっと午後にお腹が空きそうです。Facebookさん家のお弁当は栄養バランスもほどよく、なかなか美味しそうです。

ラーメンは、お箸とセットになっていますね。なんの料理か伝える大事なポイントなのでしょう。AppleさんとTwitterさん家のラーメンは、かけそば状態ですね。具がほしい...。Googleさん家のラーメンは、個性的ですが栄養バランスは良さそうです。Facebookさん家のラーメンは、やはりなかなか美味しそうです。

鍋料理に関しては、取手が2個ついて底が深いものが鍋と認識され、中身はそこまで共通イメージに関わらない、ということでしょうか。Appleさん家の鍋は、白く丸い鍋にシチューのような料理が入っています。美味しそうですね。Googleさん家の鍋はミネストローネ、Facebookさん家の鍋はポトフでしょうか。Twitterさん家の鍋は、2つ巨大な具材が沈んでおり、少々謎が残ります。


②動物系:犬と猫

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猫はだいたい同じ品種のようなデザインですが、犬は妙に個性がでています。Facebookは日本犬のような出で立ちで、それ以外はキャバリアやビーグルを彷彿とさせます。猫は耳が立っている品種の方が一般的なので、Facebook以外の犬デザインの方が、差別化という点では役に立ちそうですね。


③スマホとPC

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さすがにAppleのスマホはiPhone/iMacを意識しており、GoogleのスマホはAndroidを意識した形状になっていますね。そんな中、TwitterのスマホとPCはとにかく表現を削ぎ落とすことで、どちらにも寄らせないようにしているのが分かります。FacebookのスマホはソフトウェアはApple寄り、ハードウェアはAndroid寄りにすることで、こちらもまたどちらにも寄らせないようにしています。が、PCはなぜかかなりiMac Proに見えますね...。

こうして見てみると、ある程度そのものを認識できるアイデンティティが含まれていれば、アイコニックな絵文字すら、デザインの幅は自由だということが分かります。AppleとFacebookは立体的、Googleはやや立体的で、Twitterは平面的なデザインでした。アイデンティティを反映しながら、それぞれブランドトーンやUIに合わせて制作していますね。絵文字も、つきつめると、ブランドを体現するインターフェースの一部と考えられます。


・・・

「今年の新語2020」に選ばれた「ぴえん🥺 」のように、逆に絵文字からブームが生まれることがあるのも、面白いポイントだなと思います。

言語のように世情に合わせて変化しながらも、表現としての幅もある。他の言語とも併用して、感情の表現などにも使える。言語でもありイメージでもある、まさに「絵」「文字」です。

<Writing : UI Designer / Saki Kato>

出典:
https://emojipedia.org/
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1026989.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/11/3/11_199/_pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001559.000001594.html
https://iphone-mania.jp/news-272852/
https://news.mynavi.jp/article/20201106-1460015/


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