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滑らかで柔らかな光の映像体を目指して vol.4 - 多様な光の場へ

こんにちは、WOWの安斉です。
突然ですが、みなさんは「アニメーション」の語源をご存知でしょうか。アニメーションの語源は、ラテン語で「生命」や「魂」を意味する$${\textit{anima}}$$(アニマ)が由来とされています。今回は、この anima をオフィス空間に吹き込み、変化する光によって空間の状態をアニメーションさせることで、心地良いオフィス環境を作り出そうとした試行錯誤の話です。

アニメーションは、ラテン語で生命や魂を指すanima(アニマ)に由来しており、生命のない動かないものに命を与えて動かすことを意味する

英語版 Wikipedia ‘Animation’

人工的な快適さ / 自然の心地良さ

2023年9月、WOWは「安川メカトレック末松九機」の新社屋開業に際し、長さ1.5mの間接照明43本を組み合わせた映像装置を企画・制作しました。
私たちは、この装置が生み出す光の変化によって、快適さと心地良さが混在するオフィス環境を目指しました。

近代のオフィス環境は、室内の明かりや温度を人工的に調節する事で、朝夕や季節の変化に左右されず、室内のどこにいても快適に仕事ができるよう計画されています。一方で、自然の心地良さは人工的な快適さとは異なり、変化やムラがある状態に、返って心地良さを感じることがあります。今回のプロジェクトでは、オフィスの光環境に注目し、一定均質な人工の快適さと、変化ムラのある自然の心地良さの両方を併せ持つ多様な光の場を設計しました。

人工・自然の光環境の特徴
多様な光の場のイメージ

自然の雰囲気をオフィスに取り入れる

自然の中で感じる心地良さとは、具体的にどのようなものでしょうか。例えば、刻々と変化する木漏れ日が作り出す光と影のムラや、風に揺れる水面が映し出す光のゆらぎ。どちらの様相も、ゆったりとした心地良い感覚が存在します。今回私たちは、このような自然特有の心地よさをオフィス空間に再現するために、「フラクタル」という自然界に広く見られる構造に着目しました。フラクタルとは、「部分と全体が似た形を持つ」という特徴を持つ仕組みで、木々の枝ぶりや波の動き、雲の形状など、自然界に見られる多くのパターンに共通しています。このフラクタル構造を光のアニメーションに取り入れる事で絶えず変化する自然のような雰囲気を生み出し、オフィスという人工的な空間に、柔らかく心地良い自然の様相を取り込みました。

フラクタルな光のアニメーション

このように、時間によって変化する自然の様相を室内に取り込むことで、身体的な快適さだけでなく、オフィスで働く人々が思わず「ぼーっと」できるような精神的な快適さ(心地良さ)をもたらす、多様な光の場を生み出しました。
この多様な光の場は、空間に新たな価値を付与し、人々が自然とオフィスに集まる魅力的な場としての可能性を追求しています。今後もWOWでは、こうした映像的な空間づくりを通じて、CGキャラクターにアニメーションを加え命を吹き込むように、空間そのものを動きのあるものに変え、私たちが暮らす街を躍動させる試みを続けていきます。
以上、
最後まで読んで頂いてありがとうございました!
<Writing : WOW / Fumi Anzai>


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