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秋の向日葵6
立川 生桃
観覧車が一周回って、しばらくたわいもない話をした。
純純が『明日、仕事だから帰る。』そう言った。恵子はとても悲しそうに『純純、ラインしてもいい?』 そう言った。
純純は笑って手を振った。
恵子が『あーぁ。夢のような時間はもう終わり?』そう言って『純純。お願い。前に約束したの覚えてる? ローストビーフ丼の美味しいお店に連れて行ってね。私達じゃあ道がわからない。』
純純は、『じぁ。あいつにラインして日にち決めてよ。』そう言って車に乗ってしまった。
しばらくして、彼から私にラインが着た。
9月9日の9時に皆んなで集まらない?そう書いてあった。
恵子はその日、夜勤明けだった。普段なら無理じゃ。とくるのに。。絶対に行く。そう返事か帰ってきた。
待ち合わせ場所は、何時ものコンビニの駐車場にした。
9月9日の9時にコンビニの駐車場に行くともう純純と2人がいた。
そう。白い普通車。左の後部座席のドアは今でもへこんでいた。
恵子が私に『あのダサい車でやっぱり行くの?』
そう言った。私が『嫌なら帰ろうか?』
そう言うと『馬鹿じゃない。冗談よ。冗談。』と言って後ろのドアを開けて勝手に乗り込んでいた。
勝手な恵子。でもそこが面白い。
ローストビーフ丼まで約3時間の道のり。恵子は、大好きな純純と一緒なので、はしゃいでいた。
しかしあの美容師の連れの顔が曇っていた。
彼の話では、大学を卒業して、理学療法士の資格を取って整形外科で働いたらしい。
しかし、内気で人と話せないらしく。とても緊張する性格らしい。それを治したいのと人を美しくしたい。お金があまり掛からないで資格の取れる美容師になろうと見習いから現在に至っているらしい。
それでも克服できないからホストクラブにバイトをする事にしたらしい。
顔は結構、整っているのに。。。
そんな話をポツリ、ポツリと話した。
恵子が『ひょっとしてあの店がローストビーフ丼の有名なお店。』見ると凄い行列だった。
私は並んで待つ事が好きではない。ため息が出てしまった。
純純が連れの彼に並ぶように頼んで、私と恵子を車から降ろして時間まで観光してみたらと言ってくれた。もちろん純純は、渋滞の駐車場を取るために運転中だった。
少し恵子と見なれない景色を見ながら話した。
そう。もう1人の彼の事を。
恵子が『ねぇ今度、バイト先に遊びに行こう。私、ホストクラブに行ったこと無いから。』
えっ? こんなに親しく何時も一緒でもその話は知らなかった。
私は学生の頃に既に経験済みだった。その話をすると恵子はとても興味があったようだ。
恵子は、母親が膵臓癌で亡くなっていた。それまでとても厳しく育てられて門限が18時だった。箱入り娘だったのだ。