秋の向日葵8
立川 M 生桃
恵子の要望で仕方なく、美容師のバイト先のホストクラブに行った。
行くまでに、かなり時間がかかった。田舎のホストクラブを探すのは、至難の技。
携帯で検索してもその場所が何処か? わからなかった。
同僚で、純純とまだ親しい人に聞いたら、別のカクテルーバーを教えてくれた。マスターがなかなかカッコよく人気らしかった。そんな情報ばかりで、ホストクラブがわからなかった。
仕方なく、歩いて探すことにした。
歩いて探すのだか、潰れたお店や開店していても古くて小さな店がポツリあるだけ。どれだけ歩いただろうか。
もう疲れて帰ろうとした時にこの『辺りじゃない? 』 そう恵子が店の看板を見つけた。
その店の隣には、駐車場があり、今時、流行らない格好の男性が黒い外車から出てくると助手席の女性をエスコートして、そのお店に入った。
女性は、見るからにお金持ちぽくない。微妙だった。
そのお店は、二階にあり、階段の横の壁にホストの顔写真が沢山貼ってあった。
でも何となく寂れた街の雰囲気を消す事が出来ない。
向かいには、結構、遅い時間なのに、寿司屋の巻き寿司を売っている。高齢の女性が眠そうに座っていた。
お店のドアを開けた。どう見ても、無理。無理。と思うような男性が3人いた。
『いらっしゃいませ。1時間は、カラオケ、お酒、ソフトドリンクを飲んで料金が3,800円です。』とホストの1人が、カウンターテーブルの隅に私達を誘導した。
恵子が私達に付いたホストに話し掛けた。『お客さんも少なく、この不景気だとやはり大変ですか?』
すると、ホストが『ここの経営者は、昼はディサービスと建築の仕事、夜はホストクラブを経営している。』そう教えてくれた。
『ねえ。ここに昼間は美容師をしてこちらでバイトしている人居ませんか?』と私が聞いてみた。すると、『純の事? 彼は今日、多分来ないよ。
もう、3日休んでる。今時の若者だからさ。』
そう言って、オーナーに代わった。そのオーナーがさっきの(今時、流行らない服装の)その人だった。