呪われた女12
立川 M 生桃
皆んなが飲んだ般若湯で、皆んなの姿が変わっていった。
たけのこ婆は、それを見て、とても怖くなった。しかし、普段が、呑んでいる般若湯で、どうしてそうなるのか? 不思議で仕方なかった。
すると、乞食の男が、楽しそうに笑ってい言った。見ろ。見て見ろ。これが、こいつらの本性じゃ。
この醜い姿が、こいつらの性根なのだ。その姿形を表したものじゃ。
すると若い女が、たけのこ婆に言った。お前さんも、鏡を見てごらん。それが、あんたの姿だよ。
たけのこ婆は、鏡を見た。そこには、顔がガマ蛙の奇妙な妖怪の姿をした、自分が映し出された。とても、気持ち悪く怖かった。
たけのこ婆は、泣いた。涙が止まらなかった。とめどなく、涙が流れでていた。
しかし、泣いてばかりいられない。若い女に、聞いてみた。
自分の井戸の般若湯を持って来た。なのに、何故?この様な事になるのか? 不思議で、仕方なかったからだ。
今まで呑んでも、この様な事が一度もない。不思議で、不思議で、仕方なかった。
すると若い女が、この屋敷には、結界がしてある。そして、お前の持ってきた般若湯には、七面池の泉の水を数滴入れてあるから、人間の本当の本性が現れただけのこと。
そう言って、笑った。心配しなくても、そのうち、皆んなの酔いがさめると、元の姿に戻る。そう言って、また笑った。
たけのこ婆は、悲しかった。私は何故?ガマ蛙なのか? 悲しかった。とても悲しくなった。
これまで、人の為になる仕事をし、我慢をして他の職員の分まで、責任があるから働いてきた。
その自分が、何故? この様な、醜い姿なのか?
そして、屋敷の中にも結界とやらで、入れなかった。たけのこ婆は、自分に自信があった。しかしこの時から、自信を失ってしまった。