風のルル
立川M生桃
ラインの音がした。とっさに出る癖がある。
出なければ良かったと一瞬、後悔した。
恵子が泣いていた。
19年飼っている犬の心が。。。
そう言って、泣いている。
もう。駄目かもしれない。
助けて。そう言われた。私は、雨にも負けずを思い出した。
私は、あまり本を読まない。確か芸術新潮の書画の所で、確か目に止まった。
その本には筆で、最後に妙法蓮華経と書いてあった。
その作者の筆の跡。その作品に心うたれた。
そんな人になりたい。そう思ったから。
恵子の家に車を走らせた。
恵子は見るからにボロボロだった。
泣いていた。私はもう、犬の心が駄目だとすぐにわかった。
これからどうするか?聞いてまた。
ペットの火葬をする所を探し出した。
恵子がお爺ちゃんが、犬が亡くなると、自分まで死が近づく気がして、心配しても最後を見たくない。そう言うの。と言った。
恵子は、新しい犬を飼って、お爺ちゃんを慰めようと思ったらしい。
それで、庭にその心を埋めて。ねぇ。お願い。
そこに穴を掘ってと言い出した。
こうも言った。ペットショップで犬を買うのにもお金がかかる。火葬するお金を節約して、そのお金を新しい犬を飼う為のお金にしたいの。
確かに。そうかもしれない。
私は、慣れない大きなスコップで穴を掘った。
そして、そこに心を埋めて、花を置いた。
恵子は、泣いていた。普段は、このボロ犬。また。ワンワン泣いて、うるさい。そう言って、散歩を毎日するのは、恵子。
口が普段から悪い。恵子だけど。。。
やはり、犬の心が亡くなって、泣いていた。
恵子がポツリと、心は妹が友達から貰った犬なの。
妹の友達を噛んだから、それから怖がって、保健所に連れて行かれる所を妹が貰ってきたの。
そう言った。だから飼い主からペットボトルを投げられて、鼻に怪我をしていたの。
最初は、本当に凶暴だったの。次第にお爺ちゃんやお母さんが可愛がるから、素直になったの。。。
でも。心は馬鹿犬なの。だから、家の中で飼えないから、春夏秋冬と外で野良猫と一緒に寝てたの、
そう言って写真を見せてくれた。
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