ブチ抜く力
著者与沢翼は多くの人にとって鼻持ちならぬ存在であった。彼が六本木ヒルズを舞台にその金持ちぶりを発揮していた時。この日本で彼を良く思っていた人はほとんどいないだろう。絵に描いたような金持ちが破綻していく。。ドラマにそのままなりそうな男が一念発起して海外に拠点を移し大復活。現在は投資などで得たお金をもとにシンガポール、タイ、ドバイ等で家族共々平穏に暮らす良いお金持ちパパに。人はここまで変わるのか?見た目もだが。
今まで語られることのなかった彼独自の世界の見方が本著で明らかになる。読了した感想は、「意外に堅実。」ということと、「地頭の良さは飛び抜けている。」ということである。彼は自分を「普通」と評するがそんなことはない。株もFXも皆と同じ情報からでも未来を見抜ける分析力の高さは尋常ではない。お金持ちになる人、世の中で上に立つ人はその理由はあるが、彼はその理由をしっかりと持っている。
何かの本で語られていたが、「成功者は相反する2面性を持つ。」彼も天性のばくち打ちとしての才能と、それと逆行するような堅実性を持つ。それを頭脳が繋いでいるという感じか?
では、この本を読んで私のような凡人が得らることは何もないのだろうか?そんなことはない。私が得られた最大の教訓。それは「天才ですら博打を打たないのだから、私のような凡人は博打で勝てるわけがない。」ということである。それよりも、必ず勝てると思える勝負に対してコツコツとしかける。それまではとにかく待つということだ。
彼が投資(投機?)で重要視することは、自分の心の安定である。自分をパニックに陥れるような額をつぎ込まないということが大前提だ。素人はそこで熱くなって、破産するということが見られるが、彼のようにお金に愛される人間は、額を増やすよりもむしろ減らさないことを重要視する。そして、それでも負けた時はさっさと負けを忘れるのである。
このような考え方は私生活でも活かせるかもしれない。例えば、現代では発信力の重要性が語られるが、その前に情報を分析することが大切である。多くのエビデンスに裏打ちされた情報だからこそ価値を持つ。しかし、教育会はネットリサーチを容認するように、インプットを軽視する風潮が強まっている。彼のように、学んで、学んで、そしていざという時には培った知識を一気に解放する。昨今インプットとアウトプットが重要と言われるが、アウトプットを成功させるための緻密なインプットを生徒だけではなく自分自身も心がけていきたい。
世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。