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交渉力と行動力
私がアメリカに住んでいたという話しは以前のブログでお伝えしたと思うが、アメリカという国はご存知の通り交渉と行動の国である。何か問題があると必ずと言って良いほど交渉が始まる。
例えば、アメリカ時代にバーから酔っ払って出てきた車と普通に走らせていた私の車が衝突し、車が大破したということがあった。その時は就職のため新しい土地に引っ越した初日でいきなり事故にあったものだから体は無事だったものの気持ち的に相当凹んだものだ。引越し手伝いのために同乗してくれた韓国人の友達は体を強打し、あまりに痛みを訴えるので一度追い返した救急車を呼び戻した(アメリカでは救急車に乗るだけでお金がかかる)のだが、そこで「今回の事故とは関係ない重大な病気の可能性」が見つかったと医者から告げられたので二重のショックである。僕もその友達も。後日談だが、再診断を受けた結果異常なしだった。
さて、新しい職場はとても自分のアパートから行ける距離ではない。これは日本でも当然だが相手の保険会社負担でレンタカーを借りた。もちろん通院費用の負担は全額相手持ちである。日本ではここまでであろう。しかし、ある友達から「もっと取れるよ。」と聞いたので、保険会社の担当者に恐る恐る「これだけ辛い目にあって、さらに仕事に関しても支障をきたしているのだから慰謝料が欲しい。」と言ってみた。その結果、しっかりと慰謝料も支払われたのである。
私はアメリカにいた時に何度かこの交渉力で局面を切り抜けたことがある。他にも専門学校の単位を大学の単位として認めてもらったり。。あげたらキリがないし、一般公開できないものもある笑。
行動力に関しては、私は考えたことを即座に行動に起こしてきた。大学院に入るのに多少成績が足りなかった時には、学部長に電話しアポを取り、持ち前の交渉力でなんとか認めてもらった。仕事探しの時も英語力がその他の留学生よりも断然劣っており、ましてやスクールカウンセラーなど自国の人間の方がどう考えても適正の高い仕事ではあったがどうしても就きたかったので近隣いくつかの州を周り300以上の学校を受け、最後はアラスカまで考えたが最終的にはサウスカロライナという州で就くことができた。
日本に帰ってきて一番驚いたのはその交渉力、行動力が通じないことだ。「前例がない。」「それは難しい。」交渉の余地は全くない。それだけサービスが安定していると言えば前向きな捉え方だが、この土壌ではとても交渉力と行動力は育まれない。日本一国で考えればそれで良いのかもしれないが、世界はそんな都合では動いていないのだ。
授業でも再三その二つの力の大切さを説いてきたつもりだが、子ども達にそのような経験はもちろん無いので、ピンとはきていないだろう。
日本で交渉、行動が通用しない一つの要因として日本では話しが通じるトップと直接交渉するのに非常に長いプロセスがかかるし、そもそもトップは相手にしたがらない。AppleのCEOティム・クック氏はカスタマーから毎日届くメールに目を通すことを日課にしているとのことだ。世界最大とも言える企業のトップの忙しさはそこら辺の経営者と比べ物にならないレベルだと思われる。それでも、自分やサービスを変える種を常に探し続けているのである。昔の伝統的な成功手法を近代に押し付けるため社員を働かせる日本の労働環境のせいで年々世界から引き離されることは当然の結果と言える。
最近は少しずつ増えてきたが、それでももう少し経営者と生徒・学生の距離が縮まる機会があっても良いのではないだろうか。若いうちからトップの人に自分の考えや思いを伝えるという経験を積むことにより、行動力と交渉力は養われるのではないだろうか。
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![山名和樹](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14898487/profile_bb18ec3b93ef1b7fd3476a812d4cc3ef.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)