個人力
学校で働いていると、とりわけ人に「どのように組織の中で生きるか?」ということをメッセージとして送りやすい。もちろん組織というのは大切だ。組織があるからこそ、自分のウイークポイントをカバーしてくれる人もいるし、新しいアイデアも話し合いの中で生まれたりする。何よりも1人で作業するよりも10人で作業する方がそれは効率も良いだろう。巷の多くの本にも「どのようにして組織の中でうまく立ち回るか?」ということを前提に説く本が圧倒的に多い。
しかし、組織というのはリスクにもなり得る。一つはフリーライダーの存在だ。チームでアイデアを出し、力を使い、というところで一人だけ何もしない人がいる。働き蟻の法則のように人を集めれば集めるほど「何もしないでサボる。」人間は多くなるのだ。それに対してチーム全員はイライラし、結局そのチームの総和は足し算的な力にしかならない。ひょっとしたら足し算どころか引き算が入ってしまうかもしれない。
次に自分の専門性を生かすことはできるが、そのほかのことは他人に任せてしまうため、自分の専門分野からずっと抜け出せなくなるということもある。自分は専門家で生きたいというのであればそれで良いが、技術革新が進む現代において、自分の分野に閉じこもるのはリスクだと個人的には感じる。もちろん全ての分野に精通することは不可能だが、最低でも自分が関わる仕事は例えばチームの誰かが休んでも質は落ちても自分がタスクをこなせるぐらいになっておかなければ危険である。
最後にチームで動くには時間がかかるということだ。チームでは意思決定をしたらそれなりに作業が早く進むが、決定するまでにあれこれ時間がかかる。そして、自分の意見が必ずしも採用されるわけではなく、全く意見が通らないのに働かされるというリスクも考えられる。また、チームに革新性を求めることは難しく、同じタスクを同じようにこなす、マンネリ化に陥りやすい。
これらの点を踏まえて、「個人力」を上げるようにお勧めする。何があっても自分の中に対処方法があり、誰かに100%頼らず、味方0でもオペレーションを1人で実行できる究極の力だ。これを身につけるのは相当難しい。しかし、ずっと他者を頼りっぱなしでは相手の言うことの言いなりになり続けるだけだ。
いきなり身につけるのではなく、気になったこと、わからないことは積極的に質問し、自分で試し、少しずつ力を蓄えていくのが良いだろう。
自分自身の力を強化していく。その感覚がないと、チームの中で一番必要とされず陰口を叩かれるのはあなた自身かもしれない。