サピエンス全史 上のブックレビュー

ビルゲイツやマークザッカーバーグ等、シリコンバレーの名だたる人達が挙って絶賛した「サピエンス全史」。その内容は歴史物と思いきや、実は今の世界がどのように作られ、そしてこの先どうなっていくのかまで論理を展開している、歴史というよりは歴史から推測される未来史と理解して読むのが良いでしょう。
さて、この本は上下巻に2冊セットです。上巻では人類の誕生から帝国の発展まで。なんと、現在生きる私たちと祖先は違いよりも類似点の方が多いとのことだ。読めば読むほど不安になる。「人間と猿の違いは一体なんなのだろうと・・・」しかし、そこは心配無い。人間は猿より賢い。道具を作れ、それを使い、さらにより便利に出来る。つまり、考える力があるのだ!ただふと思う。考えるということを人間から取り除いたらそれは人間らしさというものを無くすのと同等のことなのではないかと。そう思うと、近年のテクノロジーの発展は明らかに人間から考えるという力を奪い、猿に退化させているとも言える。便利だ!楽しい!その行き着く先は何なのだろうか・・・・。
また、本著では「らしさ」という部分にも触れている。昔の男は長いコートに長髪のカツラを被り、大剣を振り回すことが西洋での男らしさであり、権力の象徴でもあった。しかし、現代ではブランドもののスーツに短髪。女性は子供を産むための存在であり、同性愛が基本。それは織田信長の森蘭丸のように、世界各地で見られた社会常識である。つまり、自分たちが思う「常識」とは本当に危うく、現に世界の歴史では数百年程度でガラッと変わっているのである。自身が持つ価値観というものを常に疑い人間らしい生をまっとうしたいものである。

(ブログ移転につき過去ログ)


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。