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ORCIVALのボーダー
はじめてボーダーを着たのはいくつの時だっただろう。
ボーダーは、抵抗なく着ることができる人とそうではない人がいる気がする。私は後者だった。
なんとなく主婦のようなイメージがあったから、年上に見られがちな私が着たら更けて見られること間違いなしだと思っていた。
たくさんの色が並んでいるショップに行っても心が高鳴るなんてことはなく、こんな配色の服を着る人の気持ちがわらからないとすら思っていた気がする。
初めて買ったボーダー、ブラウンとカーキの落ち着いた配色のものだった。そもそもこれがトラウマのもとだったのかもしれない。
ボーダーは似合わない気がするけれど、ちょっと気になる。そんな大学生のとき。目立たないものなら私でも着ることができるんではないかと。
パンツだけでなく、スカートにも合わせたけれど、やっぱり野暮ったくなってしまった。
それから5年くらい経って、私もひとりで稼いで暮らすようになった。少しは見た目と年齢が近づいてきた気がした。
仕事を持ってくるには洋服や身に着けているものも重要だということに気づき、少しずついいものを着たいと思うようになっていた。また、オンとオフの切り替えをするためにも洋服は必要と思うようになっていた。
オフの日を充実させてくれるような服。
王道の白とネイビーのボーダー。メンズの一番小さいサイズを手に取った。当時は、メンズを女の人が着ることは常識ではなかったけれど、たまたま手に取った厚手のORCIVALのボーダーに惹かれた。レディースにはないシルエットと質感のような気がした。
最初のころは、やっぱり大きすぎたかなそんな気がしていたけれど、少しするとそんなことは気にならず、しっくりくると感じるようになった。
定番の配色は、デニムにも白いパンツでも、スカートにも合わせることができた。左腕のロゴが入ったタグも見るたびにうれしくなった。
夏以外の季節はいつだって着ることができた。春は、特にボーダーが着たくなった。お天気のいい日にボーダー1枚で歩くのが好きになった。
倉庫で検品したあとに車で本社に戻るとき、あの人はなぜか先に後輩を駅で降ろした。そして、少し休憩と言って、桜が咲く川沿いに連れて行ってくれた。その時も確かボーダーを着ていた気がする。
スウェットのあの人とボーダーの私。スーツだらけの会社の中にカジュアルな服とスニーカーで足を踏み入れると、なんだか変な感じがした。悪いことはしていないのに、罪悪感のような共犯者のような。
ORCIVALに出会えたことでボーダーが好きになった。あのときから何度か更新して、今もボーダーを着ている。