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都知事・小池百合子 小論 (カタカナ英語の逆襲)


都知事・小池百合子 小論

記者会見・討論・インタビュー等での、発言の仕方・内容と立ち居振る舞いは、理解力・判断力・記憶力・対応瞬発力・行動力が非常に優れていることを伺わせる。
他方、思想的構想力は政治家として特に優れているとは言えず卓越した行動力が様々の事案での存在を重く印象付けている。
・希望の党設立前後の、党政策、政権獲得勢力の形成方法論
・都知事の政策の、都政の透明化、築地市場移転問題、受動喫煙対策、
         東京大改革宣言での7つの0目標など。
・2020選挙公約 全般 (東京都地域限定の制約は理解できるが)

特筆すべき資質は、方向性・行動を決定する際の「総合的な判断」の意識である。
築地市場移転問題では特に、様々の場面で「総合的に判断した」、「総合的に判断する」との言明がなされた。
「総合的に判断」は、役人・政治家の自己正当化のための常套句でもあるが、政治家・小池の場合は、思考・判断の方法論として定着しているように思われる。

カタカナ英語の多用はどのように把握すべきか。

旧12チャンネルのビジネス番組「ワールドビジネスサテライト」での司会としては、専門用語と視聴者の特性から、多用は理解できる。
しかしその後の国会議員・都知事時代の多用の趣味は、おおむね顰蹙を買いながらも、支持者の多さやこんな人間だとのあきらめから、見逃されてきた。

ところが新型コロナウイルス感染症による今回の事態では、「クラスター」、「オーバーシュート」、「ロックダウン」といったカタカナ英語で記者会見し、その次の会見では、都庁幹部や側近の忠告があったのだろう、上部に大きく「集団感染」、「感染爆発」、「都市封鎖」の漢字を配し、下部にカタカナを添えたフリップで、無念そうに説明した。
カタカナで日本語として定着した英語・和製英語は、数多くある。プロ野球のナイター、ドタキャン(「土壇場で」+「キャンセル」)など、「漢字+かな」の表現が難しいものもある。しかしこれら三語は、どのような運命をたどるのか。

英語を多用する心性は、どう捉えたらよいか。
基底には様々の社会的集団意識があるだろうが、複雑で今は回避しよう。
海外との折衝を有する組織では一定数、カタカナ英語を多用する人物がいる。同様の本能・性向だろうか。大衆の本質を見通した伝達戦術(プロパガンダ)としての意識もあるかもしれないが、本性がある上での経験的気付きだろう。

築地市場問題、希望の党設立時には、珍しく独語「アウフヘーベン」(二つの対立を上の次元で一つのものとして解消する)が使用され、今回の9月入学問題ではラテン語・英語の「モメンタム」が、「来年にします、ではモメンタム(勢い)をなくす」と使用された。
カイロ滞在・アラビア語学習であるから、「東京を日本変革のアル・カーイダ(根拠地、基地)に」とでもすれば、自己の来歴に合った名スローガンになるかも知れない。


第2段落の「小池都知事と総合的な判断」に関しては、次の具体的事例を参照してください。

小池都知事と「総合的判断」による案件判断

1.2016年8月12日 定例会見
   築地市場移転に関して、「新市場から供給される食を安心して食べら
   れるのか、働かれる方々の環境がどうなのか、総合的に判断したい」
  (要約)と、延期する可能性を示唆。
   その他「総合的に判断」3回。     (東京都「知事の部屋」)

2.8月16日 新旧市場視察後のぶら下がり会見
   移転延期に関して、「目安としてリオから戻ってきてからのタイミン
   グで、総合的な判断の結論を出したい」。
   その他、「総合的に判断したい」2回。「総合的に考えます」2回。

3.8月26日 定例会見
   築地の問題に関して、「結構情報が入り乱れている部分もございます
   ので、そこを精査した上で、その上で総合的に判断したい・・・・・
   決まった日程でそのまま進めていいのかどうかということも含め
   て」                 (東京都「知事の部屋」)

4.8月31日 記者会見
   3つの疑問点(安全性、巨額・不透明な費用、情報公開の不足)を挙
   げ、「幾つかの大きな課題、これらを総合的に勘案いたしました」と
   して、11月7日に予定されていた豊洲新市場への移転の延期を表明。
                      (東京都「知事の部屋」)

5.9月23日 定例会見
   豊洲新市場の安全性の確認に関して、「建築の安全、水質の安全、全
   体としての食の安全であったりで・・・・・・安全性の確認というの
   は一つ一つの分野が対象だが、それを総合的に判断することになる」
  (要約)。
   移転の延期期間もしくは移転の見直しを判断する時期に関して、「幾
   つかの分析結果、調査結果、知見のご披露を待たなければなりませ
   ん。それらを総合的に判断して時期を決めたい」(要約)
                      (東京都「知事の部屋」)

6.9月30日 定例会見
   東京五輪3競技の施設整備の見直しに関して、「報告として、しっか
   りと受け止めて、検討していきたい、・・・総合的に判断を下してい
   きたいと思っています。・・・・・このお金の問題というのは、作る
   部分と、それから、その後の後利用の話等がございますので、だから
   こそ総合的に考えて判断していきたい」
   盛り土問題の責任の所在に関して、「今回の自己検証報告書・・・内
   部の通報制度・・・(メディアの)いろいろな調査・・・それを総合
   的に判断してまいりたい」
   その他「総合的な判断」を1回。    (東京都「知事の部屋」)

7.10月7日 定例会見
   豊洲市場問題の問題点・5つの代表例に関して、「これらはやはり総
   合的、私はよく総合的に判断すると言うのは、まさしくその総合的な
   判断が必要だと考えております・・・」
                      (東京都「知事の部屋」)

8.12月9日 定例会見
   東京五輪のバレーボール会場を、有明・横浜のどちらにするかの検討
   に関して、「私は常に総合的な判断ということを申し上げているわけ
   でございまして、そういった総合的な判断でこれからも考えていきた
   い・・・・・・・・・・・・・・・・・できる理由・・・できない理
   由・・・・そういったところを踏まえながら、総合的にこれからも判
   断していきたい」           (東京都「知事の部屋」)

以前から、しばしば「総合的判断」を強調しているようで、就任(8月2日)前にも、
 □7月6日 都知事選への立候補表明
    自民党都連の「参院選後に結論を出したい」を待っていては、「政
    策を論じる時間もなくなる・・・客観的、そして自らの意志を含め
    て総合的に判断いたしました」。
 □8月1日 記者会見で副知事の人事構想に関し
    「現段階ではまだ決めておりません。総合的に判断したいと思う」




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