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noteで9月入学のすべてが分かるシリーズ(完結篇) 教育再生実行会議の提言発表 今後の日本の入学時期制度 「秋・9月入学制の論議の総括」
1年近くの討議を経て、政府の教育再生実行会議は6月3日に、提言を発表しました。「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」、教育のデジタル化・オンライン化、データ駆動型化を強く提起するとともに、9月入学に関しては、大学は「入学時期を一律に4月から秋季に変更するのではなく、入学・卒業時期の多様化・柔軟化を進めていくことが重要」、高校まではこの大学の取組を踏まえ「更に議論することが適当」との結論を出しました。 本体会議3回、初等中等教育ワーキンググループ8回、高等教
評論漫談(理くつと面白み)第8回(第1シリーズの最終回) 「続・マスメディアで頻繁に顔を出す言葉たちの分析」 現代日本社会の特徴と現代世界の到達点
前回は、現代日本社会の特徴を、集団主義・画一主義、おためごかし主義、マスメディアの影響の、三つの面から捉えました。全般的意識は行動に影響するので、行動の一形態である「日本語の言葉の使用の仕方」に関し、特徴的意識との関連を検討しました。 今回は、言葉の使用の残りの部分を解明します。 もちろん言語使用の分野以外に様々の行動、ケータイ電話の圧倒的使用、幼稚園児対象さながらの車内放送・自治体の防災放送、ご当地・マスコットキャラクターの隆盛、その他ー敢えて避けましたが、今般の新型コ
評論漫談(理くつと面白み)第7回 「マスメディアで頻繁に顔を出す言葉たちの分析」 現代日本社会の意識・行動の特徴との照応において
ある社会の仕組み・構造が、その社会の全般的な意識を生み出し、それが人々の行動の仕方・様式に大きく影響していることは、論理的にも実証観察的にも納得がいきます。 現代日本の社会の構造・意識・行動様式の特徴に関しては、様々の意見があるようですが、ここでは加藤周一の捉え方(「日本文化の隠れた形」)を参考・基本にして、三つの面からまとめてみます。 第一にして基本的なものは、集団主義・画一主義です。 歴史的にどこまで遡れるかは不明ですが、加藤は競争的な(集団相互の間でも、一集団の成
評論漫談(理くつと面白み)第6回 「郷愁論・序論」 いつどんな時代にも、どんな世相の時でも、大人にも子供にも男にも女にも、ふと覆いかぶさって来る
人の心を強く揺さぶる感情に、郷愁があります。ノスタルジアという言葉も、ほぼ日本語の扱いです。 辞典ではその意味は明確です。(1)異郷で、故郷を懐かしく思う気持ち。 (2)昔のこと(歴史的なものと、幼年時代など自分のもの)や古いものを懐かしく思ったり、ひかれたりする気持ち。 どちらも、懐かしく思う対象は、今・現前はしていません。昔の物が手の中にあるとしても、その物体ではなく、その物体が存在した過去の、ある場所の思い出が、原因です。 しかしこの言葉は、「不在のもの」への想い
noteで9月入学のすべてが分かるシリーズ(その後の追跡篇) 教育再生実行会議の開始・マスメディアの報道・文科省情報 「9月入学論議の進め方・再論」
6月上旬の自民党ワーキングチーム提言書の提出により、始めコロナ状況下の学習機会の遅れを取り戻す方策として4月から提起され、様々な動きと大きなマスコミ露出のあった9月入学論議は、大団円の消滅を迎えました。 7月20日の教育再生実行会議の開催に関する報道までは断片的な残り火の感がありましたが、それ以降はくすぶりに過ぎません。 くすぶりの中にも今後の論議を照らすものがないか、9月上旬時点での展開追跡を行います。 教育再生実行会議の開始 「ポストコロナ期における新たな学び」検
noteで9月入学のすべてが分かる シリーズ(第6回・最終回) 東大秋季入学の提言報告の概要と検討(その2) 秋入学のもたらす状況ときたるべき社会の像
東大秋季入学の提言報告の概要と検討(その2)秋入学のもたらす状況ときたるべき社会の像 社会体験活動等に従事するギャップターム期間(高卒後の5ヵ月間)は、春入学・3月卒業の高校を前提としたものでした。今後は、小中高を含めた全学校種の9月入学が検討の対象となります。 従って、ギャップターム活動に関してはシリーズ前回の説明に留め、今回は、秋入学が社会にもたらす影響の可能性について検討します。 3.秋入学のもたらす状況ときたるべき社会の像 提言報告とそれを巡る議論は、論理展開に
全学校種4月入学制100周年 noteで9月入学のすべてが分かるシリーズ(第4回) 今後の9月入学論議の在り方と論点・課題
今後の9月入学論議の在り方と論点・課題 コロナ対応9月入学(2021年導入)の断念と今後の論議 2021年は現行4月入学制の継続となり、2022年以降の導入に関する今後の論議は、コロナ対応としての意義を持ちません。 コロナ問題と切り離して議論すべきです。 全学校種の4月入学制は100周年 1921年(大正10年)、大学等高等教育機関が4月入学制に移行し、小中高大のすべての学校が4月入学制になって100周年です。 1987年の中曽根臨教審の最終答申から30年以上にわたった9
全学校種4月入学制100周年 noteで9月入学のすべてが分かる シリーズ(第3回) コロナ対応9月入学論議の総括(その2) 2021年9月入学論議の総括
コロナ対応9月入学論議の総括(その2)2021年9月入学論議の総括前回の総括(その1)では、展開の現象面・過去の論議に比べての特徴とを述べ、代表的な報告となった自民党ワーキングチーム・提言書を検討しました。 今回は、9月入学への移行方式と、前回と少し重複するが見送りとなった要因を中心に、説明します。(一部作成済み資料の部分は、「だ・である」体です) 9月入学への移行初年度の調整方式 新小1の学齢区分(対象範囲)をどうするか、それにより教員人員増・待機児童増・支出増がどう