【特集】邦楽トリオのみなさんにインタビュー
2022年も残りあとわずか。
世界音楽冒険記では、「世界音楽冒険記LIVE!」シリーズとして、練馬エリアで6回のコンサートを行いました。
今回は、特集として第5回にご出演いただいた邦楽トリオの皆さんへのインタビューをお届けします!
8月7日に開催された《邦楽の調べ》は雰囲気たっぷりの古民家で行われました。
さてこの邦楽トリオ、当日お越しいただいたお客様はよくお分かりかと思いますが、一風変わった編成です。ピアノ、琵琶、そして尺八の楽器が合わさり、なんとも面白い響きがします。
なぜこのトリオが誕生したのか?
今回は特集記事ということで、渕上ラファエル広志さん、石引康子さん、小林萌里さんにトリオ誕生から彼らが思う魅力についてたっぷり聞いてみました!
トリオでの演奏活動をはじめた経緯
ーーこの編成では何年ぐらい活動していますか?
2021年の4月に茨城県笠間市で演奏したのが初めてで、それから丸1年が経ちました。
ーー邦楽トリオの皆さんの演奏会では、毎回地域の民話をもとに創作した作品をプログラムに取り入れていらっしゃいますが、民話を題材にした創作活動をするに至った経緯についてお聞かせください。
メンバーの小林の地元である茨城県笠間市には市内の伝説や歴史を集めた民話が多く残っており、コロナ禍に小林が地元に長くいたためちょうど民話を調べる機会がありました。
そしてそれぞれの土地に根付く民話を改めて聞いてもらうきっかけの一つになればと思い、アイデアを出し合いながら笠間市で公演した事が始まりでした。
最初はピアノと琵琶で始めて、そこに尺八が入ったら世界が広がるなとラファエルさんを誘い、今に至ります。
ーーなるほど、民話を記した文献が多く残っていた小林さんの地元からのスタートだったのですね。
その場所の禁忌やその土地の言い伝えがあって、その理由や、昔の人の知恵も民話として残っています。
その民話が年月とともに聞く機会が少なくなってしまっているため、少しでも聞いていただき、自分の暮らしてる土地のことを深める機会にしてほしいと思い始めました。
また、歴史好きな方々が音楽に親しむきっかけにもなったらという交流もその過程で生まれたらと思っています。
演奏の特徴、聞き所について
ーー尺八・琵琶・ピアノという組み合わせは、少々めずらしいように思いますが、この編成によってどのような表現が期待できるのでしょうか。みなさんのトリオの特徴はどのようなところにありますか?
お互いに楽器の構造上難しい部分(尺八はメロディーが得意、琵琶は語りや伴奏楽器にもなる、ピアノは尺八、琵琶では出ない音数や音域の幅の広さ、西洋楽器であること)を補い合って新たなサウンドを開拓していく事ができてきています。
ーーひとつひとつの楽器の個性を引き出し、さらに互いに補い合うことで新たな表現を生み出すことができるのは興味深いですね。
民話や怪談ものなどは、尺八や琵琶の独自の奏法による演奏ができることで話の空間を広げられる。特に怖い話等では大活躍の音色ですね。また、琵琶の語りは他の語り方とも一味違うため、ただの語りだけの作品や音楽だけとはまた異なる切り口で聴いていただくことができそうです。
これからの活動に向けて
ーー 日本各地の民話や伝説は、現代になり伝承が途絶えてしまって、忘れ去られてしまうおそれがある地域が多くあります。そうした民話や伝説を現在の形で伝えていこう、という想いが込められている皆さんの活動を通して、今後の展開にどのような期待をしていますか?
国内外の各地域の人に私たちの取り組みに少しでも興味を持ってもらうことで、自分達の演奏の機会もまた増えるので、地道に活動を続けていきたいです。
その地域の民話を通してその土地について学ぶことで、各地との交流につなげていきたいですし、そうすることで私達も勉強する機会となるので、これからが楽しみです。
今後も邦楽トリオの皆さんの活動に目が離せません!渕上さん、石引さん、小林さんのこれからのご活躍にもぜひご期待ください。