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#22 見直そう朝の健康観察
まもなく、令和3年度の学校生活がスタートしますね。また子どもたちとの新たな出会いがありますね。最初の出会いを大切にして下さい。
これは私がしたことですが、新しい学年が決まったら、始業式までの間に自分が受け持つ子どもたちの名前を全て覚えておきました。よく「始業式から3日間でクラスの子どもの顔と名前を覚える」ようにと言われましたが、私は子どもたちと出会う前に自分が受け持つ子どもたちの名前を覚えておきました。
そして、教室で初めて出会ったときに、いきなり子どもたちを名前で呼ぶのです。この作戦はけっこう効果ありました。初めて出会った先生からいきなり自分の名前で呼びかけられ、話しかけられたら、子どもは当然驚きます。でもみんなうれしそうでした。それほど先生に声をかけられる、しかも初日から自分の名前をフルネームで呼ばれるのは、子どもたちにとって小さな衝撃なのです。当然そのことは、子どもを通して「今度の担任の先生は…」と言う話が晩ご飯の食卓で話題になり、親にも伝わるものです。担任の心意気を伝えることとして実践していました。
「黄金の3日間」と呼ばれている始業式からの最初の3日間で、子どもたちと先生の関係、クラスの雰囲気がある程度決まってしまうと言われています。大変ですけど、先生方この3日間は中身が濃くなりますので、先生方、がんばってください。
年度初めのこの機会に、改めて毎日の教室でするルーティンの意味を確認しておきましょう。今回は朝の健康観察です。私はこれを事務的にマンネリ化しないようにいつも以下のことを心に留めて、朝の最も大事な仕事と思っていました。
朝の健康観察で担任が一番大切にしなければならないことは、子ども一人ひとりと目と目を合わせて「○○さん」と呼びかけることです。子どものまなざし、表情、仕草、返事、声の状態を、毎朝どの子にも目と目を合わせて健康観察するのを続けていると、
その子が心から元気に出席しているのか、
その子がイライラした心で出席しているのか、
その子が沈んだ心で仕方なく出席しているのか、
今日の気になる状況の子はこの子とあの子というふうに、一瞬で感じることができるようになります。そうなれば、その日、声かけを意識的にする必要のある子がカウントできます。気になる子には、そっと声をかけます。それで、家で何かあったことを背負ったまま登校してきたことがわかれば、保護者への対応が必要か職員間で相談できます。朝の登校中や朝自習の時などに何かあったトラブルを引きずっていれば、話を聞いてあげて、対処することもできます。教師は忙しい仕事ですから、後手に回るより、先手必勝です。つまり、朝の健康観察こそ、積極的な生徒指導のシンプルな実践なのです。
大事にしたいのは、担任の声の柔らかさです。1人ひとりの子どもの名前を呼ぶ時、わが子をいつくしむように優しくよびかけることです。必ず目を見て呼名をしましょう。たとえ担任と目を合わせられない子がいても、しかってはいけません。それは心が落ち着かない状態で登校してきた子だという印です。反応を見ながら、再度呼びかけて目を合わせてくれたら、「うれしいな」と言ってあげてもいいと思います。それでも、目が合わせられない子もいます。それなら、こちらから歩み寄って、その子と同じ視線の高さで(低学年ならひざをついて)名前を呼ぶと、案外、ちらっと目を一瞬合わせてくれるものです。「ここまでしてやっているのに」、なんて決して思ってはいけません。健康観察を通して1人ひとりの心の状態を確かめているのですから、笑顔を忘れてはいけません。子どもが目を合わさないことには、必ず理由があるからです。長い目で見てあげましょう。
朝から不調を訴える子もいますが、本当に体調不良なのか、心因性の不調なのか、養護教諭、前年度のその子をよく知る教職員などと相談しながら見極めていく必要があります。
こう考えてみると、いかに朝の健康観察が重要であるかわかると思います。この朝の健康観察のように、大事な事だから毎日するのに、マンネリ化して事務的になってしまっていることって意外とありませんか?そんな時は、なぜそうするのか。それをする目的は?と改めて考えてみることが大切ですね。
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