IBSの僕が過ごした学生生活
ーー鳴らないでくれ
シーンとした4時間目の数学の授業中だった
小テスト中で誰の会話もなく、聞こえるのは鉛筆でタンタンと文字を書く音だけ。
朝から腹具合が悪く、腸にガスが溜まりに溜まっていた。
ーー頼むから、あと15分。昼休憩まで。
僕の神頼みはあっさり無視された。
ギュルルルルル
と胃腸から凄まじい爆音が、教室に響いた。
溜まったガスが放出できずに逆流する音だ。
一瞬、時が止まる。
周囲は、間違いなく気づいているはずであるが、ツッコむのすら気まずいのか、誰も気づかぬ振りであった。
ーーもう小テストなんかどうでもいい。なんなんだこの俺の体は。
ぶつけようのない怒りと情けなさ。
羞恥心から、全てにやる気がなくなる。
学校すら嫌になり、自然と遅刻早退が増えるようになる。
保健室の先生との会話も増えていく。
こういう時は、おばあちゃん先生が最高😭
僕の学生時代は、こんなことがしょっちゅうあった。
一体これは何の病気なのか、なぜ僕だけがこんな目にあうのか、不思議で仕方なかった。
戦いの日々を過ごし、無事高校を卒業した。
高校を卒業してからは、専門学校へ行った。
そしてある日の休日、ネットで調べて発見した言葉
過敏性腸症候群
これか。
こういう人って僕以外にもいるんだな。と少し嬉しくなった瞬間だった。
専門学校には、ちょっと強面でヤンチャそうなガタイの良い人物がいた。
たぶん、どこの学校へいっても目立ち、ムードメーカー的な存在になれるであろう人物。
入学して、ある程度打ち解けてきたある日、そのヤンチャな人物が授業中、突然手を挙げ、言った。
「先生、トイレいってくるわー」
そして、堂々とトイレに行き、普通に帰ってきた。
その後もその人は
「俺、過敏性腸症候群じゃけ」
「この前の試験もすぐトイレいったわー」
「病院で腸内カメラまでしてもらったけど、原因不明だしー。」
と高らかに、何でもないことのように言っていた。
僕には衝撃だった。
ーー自分だけじゃなかったのか
その後、僕も困った時は、授業中でも迷わずトレイに行くようになった(もちろん、先生に告げて)
ほかにもトイレに行く人はたくさんおり、多分、みんながみんなIBSではないにしろ、胃腸に悩みを抱えている人は多いみたいだ。
専門学校以来、僕の症状はかなり改善した。
○トイレにいつでもいける環境があること
○IBSは僕だけじゃないことを知ったこと
この2つがメンタル面に影響したのではないかと思う。
胃腸はストレスの影響を受けやすかったりして、 多分、気持ち的な部分も大きかったのかもしれない。
しかし、完治したわけではない。
今でも悩まされることはある。
日々の戦いが終わることはない。
それでも同じように戦っている人たちがいることで、僕も勇気をもらっている。