作業着メーカーさんを訪問しました。【村上被服編(鳳凰/HOOH/VILEA)】
広島県東部にある府中市・福山市。「備後(びんご)」と呼ばれるこの地域は古くから繊維業が盛んで、国内作業服メーカーの7割が備後エリアに集まっています。
府中市で90年以上にわたって倉庫業を営む株式会社朝日倉庫は、地元の作業服メーカーさんたちの流通を長年サポートしてきた繋がりとノウハウから、作業服のオンラインショップ『WORKWEAR ONLINE』を運営しています。
そんな朝日倉庫が、全国的に人気を誇る地元のワークウェアメーカーさんのもとを探訪するこの企画。人気のヒミツ、製造のこだわりに迫ります!
『登場人物のご紹介』
【今回訪問したのはコチラ】
1960年創業。鳶装束に特化した〈HOOH〉、トレンド感のある〈VILEA〉、独自の難燃素材〈HONO〉など、伝統的なアイテムから現代的なデザイン・機能のワークウェアまで幅広く展開。府中市内に自社工場を構え、ユーザーの声を素早く反映した商品づくりをおこなう。
【話を聞かせてくれた人】
【取材する人】
『村上被服の魅力に迫る!』
大賀:本日はよろしくお願いします!村上被服さんはたくさんのワークウェアメーカーがある備後エリアでも、鳶装束を製造されている数少ないメーカーさんですよね。
村上社長:そうですね。備後で鳶装束の縫製ができるのは、うちの自社工場だけじゃないかな。鳶ズボンの独特なシルエットを縫い上げるためには、通常のワークウェアとはまた違う技術が必要なんです。
量産商品は海外工場で生産していますが、「日本製」と表示している商品は全て、本社横に構える自社工場で製造しています。ベテランの縫製職人が一着ずつ丁寧に仕立てているんですよ。
【日本の伝統文化である鳶装束を守りたい】
大賀:村上被服さんが鳶装束に力を入れ始めたのはいつ頃からですか?
村上社長:20年ほど前からですね。それまでは一般的なワークウェアを製造・販売していました。当時はワークショップを中心に鳶装束がかなり売られていましたが、鳶装束に特化したメーカーはほぼなかったため当社が参入したというわけです。
しかしその後、市場ではスリムなデザインのカジュアルワークウェアが主流となっていきました。建設現場における足場の幅の基準値が狭くなったことにより、安全性の面から細身の作業服が求められるようになったんです。
小川さん:20年前に比べれば、鳶装束の需要は減少しています。しかし近頃は、一度カジュアルワークウェアに移行した職人さんたちが「やっぱり鳶装束の方が作業しやすい」と戻ってきている気配もあるんです。
村上社長:建築業の方々に古くから愛されてきた鳶装束は、日本の伝統文化だと思っています。伝統的な鳶スタイルを守っていきたいですし、鳶装束を求める職人さんがいる限りは提供し続けたい。そんな思いで、最近は鳶装束をメインとした自社ブランド〈HOOH(鳳皇)〉から新商品を出すことに改めて注力しているんです。
小川さん:今年発売した新商品は、春夏用の「立衿シャツ」と「江戸前超ロング」。ポリエステル100%のサマーカチオン素材を使っており、かすりのような見た目とサラッと涼やかな生地感が特徴です。
大賀:本当だ、サラサラしてて夏場でも着心地がよさそう!
小川さん:当社の鳶ズボンはすべて、腰回りをしっかり補強しています。道具を腰に巻き付けた際にこすれて破れたりしないように芯を入れ、裏地にもこだわって丈夫に縫い上げています。
【鳶装束は東と西で売れるものが違う!?】
大賀:鳶装束は、カジュアルワークとどんな違いがあるのでしょうか?
小川さん:まずはやはり、ズボンのダボッとした「シルエット」。そしてもう一つの違いは「素材」ですね。一般的な作業服によく使われる機能性素材で作った鳶装束は、職人さんからあまり受け入れられないんです。圧倒的に人気なのは、サージ素材と綿素材。特にサージ素材の鳶装束は当社の得意とするところです。
大賀:サージ素材とはどんなものですか?
小川さん:サージは学生服にもよく用いられる織物で、なめらかな手触りと耐久性の高さが魅力です。〈HOOH〉はポリエステルとレーヨンで織られたサージ素材を使用しており、動きやすいようソフトな生地感に仕上げてもらっています。
村上社長:面白いことに鳶装束は、箱根の山を境に売れるものが変わるんですよ。箱根より東はサージ素材で裾口がボタンになっている「江戸前」、箱根より西は綿素材で裾口がファスナーになっているタイプがそれぞれ主流となっています。
松坂:地域によってそんなにハッキリと分かれているんですね!
村上社長:全国的に共通しているのは、安すぎる価格や、安っぽい素材の鳶装束はあまり見向きされない点。それなりの値段で、しっかりとした素材の「粋」な商品が根強い支持を得ていますね。
【ファン付き快適ウェアとペルチェ式ウェアで猛暑対策!】
松坂:〈HOOH〉のラインナップには、鳶装束だけでなくファン付きウェアもありますよね。
小川さん:〈HOOH〉の「電動ファン付き快適ウェア」は定番人気の商品ですね。特徴は、ファンがマグネット式になっていて羽根部分を取り外せる点。汚れたら水洗いして、清潔にお使いいただけます。マグネット式のファンは現在、特許出願中です。
小川さん:そして「電動ファン付き快適ウェア」と一緒に着ていただける涼感アイテムとして、ペルチェ素子を利用した、ペルチェベストとペルチェコンプレッションを今年発売しました。よければベストを試着してみてください。
大賀:ひゃ~!保冷剤をピタッと押し当てられてるみたいに冷たいです!
小川さん:かなりひんやりしますよね。当初は黒色のみでしたが、食品工場や医療・介護品の工場などファンを回せない現場での需要があったため、白色も急きょ発売しました。
小川さん:ペルチェコンプレッションを製造・販売しているのは、今のところ村上被服だけかと思います。ワーカーの方々はコンプレッションの上からファン付きウェアを着ることがほとんどなので、ならばインナーにペルチェデバイスを付けて効率的にクールダウンしていただこうと。
大賀:場所によっては、ペルチェコンプレッション一枚でも涼しく過ごせそうですね。
小川さん:ベスト、コンプレッションともに冷暖対応となっています。一着あれば夏は熱中症対策に、冬は防寒にご活用いただけますよ。フルハーネス着用時にペルチェデバイスが干渉しない配置にしているほか、お手持ちのモバイルバッテリーを使用で充電できるところもポイントです。
【カジュアルライン〈VILEA〉の夏モノも充実】
小川さん:〈VILEA〉は、当社の若手社員がデザインを手掛けているカジュアルワークウェアブランドです。シンプルな中にひとひねりあるアイテムや、個性的な柄物商品などを取りそろえています。気になるものがあれば着てみてくださいね。
大賀:ありがとうございます!早速このボーダーTシャツを着てみちゃいました!マリンテイストで可愛い~♪
松坂:あ、大賀さんいいね!似合ってる。
小川さん:綿冷感素材を使い、丈夫かつ爽やかな着心地に仕上げています。ポケットが6つ付いているのでスマホやタオル、飲み物などをたっぷり収納していただけますよ。
松坂:夏場って意外と荷物が多いので、収納力のあるウェアは助かりますね。
大賀:厚手の生地なのにゴワついた感じや暑苦しさがないです!ボタンに白いラインが入っているのもおしゃれだな~。
小川さん:ボタンなどの付属品にもこだわっているんですよ。こちらの、プラスチック製ファスナーポケットが付いた「半袖ポロシャツ」も珍しいのではないかと思います。JIS規格を取得した製品制電商品ですので、半導体工場やガソリンスタンドなど、静電気を発生させてはいけない現場にオススメですね。
大賀:この柄物シリーズはWORKWEAR ONLINEでも好評です!
小川さん:それはうれしいですね。スモーク柄やヒョウ柄など、他の人と被らないアイテムをお求めの方に人気があるシリーズです。「ジョガーパンツ」は裏面に凹凸生地を使っているのでベタつかず、「リンガーTシャツ」は表地が通気性の高いポリエステルメッシュ素材、裏地は肌当たりやわらかな綿素材を使用しているので着心地抜群です。
【各種JIS規格を取得した独自の難燃素材〈HONO〉】
大賀:お話を聞いていると、村上被服さんは「素材」にこだわっていらっしゃる印象です。
小川さん:そうですね。当社は職人さんたちの安全を守るとともに、タフな現場でも快適に着ていただける素材に重きを置いています。難燃素材の防炎防護服ブランド〈HONO〉は、その最たるものといえます。
〈HONO〉の3つのJIS規格・ISO規格を取得したブルゾンやシャツ、カーゴパンツは独自のデザインで作っています。「溶接作業服」「耐熱耐炎服」「難燃作業服」の熱および火炎に対する3つのJIS規格を取得しているワークウェアメーカーは村上被服のみだと聞いていますね。
小川さん:火がついても繊維が炭化して燃え広がらず、肌に張り付かない素材を1年かけて開発しました。もちろん肌が直接当たる部分に金属は一切使用していませんし、腕を上げたりしゃがんだりしても肌が露出しないよう長めの丈にしています。
松坂:火を扱う現場での安全性を徹底的に追求されたんですね…!
小川さん:鳶装束などと同じく「かっこよく着こなしてほしい」という思いがありますので、定番のネイビーをはじめ、キャメルやカーキなどおしゃれなカラーも用意しています。
【「素材モノなら村上被服」を目指して】
大賀:最後に、村上被服さんの今後の展望をお聞かせください。
村上社長:サージ素材や難燃素材に加えて、時代にマッチする機能性素材を追求していきたいですね。「素材モノなら村上被服」と思っていただけるワークウェアメーカーを目指します。
また鳶職人は祭りに積極的に参加する人が多く、当社は職人服の一環として「祭り装束」も製造しているんです。
コロナ禍が明け全国各地で祭りが解禁され始めた今、神輿を担ぐ際に肩の負担を軽減するパッド入りシャツや、飲食店の制服としても使える黒色や柄物の鯉口シャツなど、機能性・デザイン性に富んだ祭り装束にも力を入れていきたいですね。
小川さん:長年の信頼関係がある販売代理店さんを通して職人さんたちの声を聞き、タイムリーな商品提案ができるのは自社工場を持っている当社の強み。90年以上、地場の作業服メーカーさんと関係を築いてきた朝日倉庫さんにもぜひ、今後ともお知恵を貸していただければと思います。
大賀:これからもお力になれるよう、私たちもお客さまの声をしっかりキャッチしていきます!本日はありがとうございました!
【取材を終えて…】
職人さんたちのハートを掴む鳶装束や個性が光るカジュアルワークウェア、3つのJIS規格を取得した難燃防炎防護服難燃服など、独自の商品を生み出し続けている村上被服さん。作業服の面から日本の伝統文化を守り、支えておられるところが素敵だと感じました!
村上被服さんの商品はWORKWEAR ONLINEでも幅広く取り扱っています♪
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