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作業着メーカーさんを訪問しました。【TS DESIGN編】

広島県東部にある府中市・福山市。「備後(びんご)」と呼ばれるこの地域は古くから繊維業が盛んで、国内作業服メーカーの7割が備後エリアに集まっています。

府中市で90年以上にわたって倉庫業を営む株式会社朝日倉庫は、地元の作業服メーカーさんたちの流通を長年サポートしてきたつながりとノウハウから、作業服のオンラインショップ『WORKWEAR ONLINE』を運営しています。

そんな朝日倉庫が、全国的に人気を誇る地元のワークウェアメーカーさんのもとを探訪するこの企画。人気のヒミツ、製造のこだわりに迫ります!



『登場人物のご紹介』

【今回訪問したのはコチラ】

株式会社TS DESIGN(ティーエスデザイン/福山市卸町)

1962年創業、1966年に株式会社藤和を設立。2008年にオリジナルブランド〈TS DESIGN®〉を立ち上げ、エッジの効いたデザインやカラーバリエーション豊富な商品などを通して、ワークウェアの新しい可能性を切り拓いている。2022年、社名を株式会社TS DESIGNに改称。


【お話を聞かせてくれた方】

株式会社TS DESIGN / 代表取締役社長
藤原さん


【取材する人】

西(朝日倉庫)
入社1年目の新人社員。ワークウェアについて知識を深めるべく勉強中。
松坂(朝日倉庫)WORKWEAR ONLINE店長。
メーカーさんの“想い”もショップを通して伝えたい!




『TS DESIGNの魅力に迫る』

西:今日はTS DESIGNさんの本社にやって来たのですが…ショールームがおしゃれすぎますっ!

藤原社長:ありがとうございます(笑)。商談用のショールームとして、自社で企画製造している商品をシリーズごとに展示しているんですよ。今日はこちらで実際に商品を見ていただきながら、当社の歴史やものづくりについてご説明していこうかと。

西・松坂:よろしくお願いします!


【「一番しゃれている服を創りたい」創業当時から受け継ぐマインド】

西:TS DESIGNさんの「TS」とは何を指しているのでしょうか?

藤原社長:㈱藤和の時代、1967年に先代社長が立ち上げた作業服ブランドが〈TOP SHALETON(トップシャレトン)〉。このブランド名に込められた「一番しゃれている服を創りたい」というマインドを受け継ぐべく、〈TOP SHALETON〉の頭文字を取りました。

松坂:御社が作業服の概念を覆すようなデザイン・色の商品を作っておられる根底には、創業当時からの「おしゃれな作業服を提供したい」という考えがあるんですね。

藤原社長:とはいえ、〈TOP SHALETON〉はブランドとしてトガりきれていなかった部分もありまして…。ワークウェアにも「選ぶ楽しさ」を創り出したい。着る人にワクワクしてもらいたい。そんな想いから、2008年に㈱藤和の新ブランド〈TS DESIGN®〉を立ち上げました。

そして創業60周年と〈TS DESIGN®〉誕生から15周年の節目である2022年、ブランドをよりグローバルに成長させるため、社名も㈱TS DESIGNと改めたんです。


【ワーク用コンプレッションウェアを先駆けて発売】

西:〈TS DESIGN®〉ブランドの歩みを教えてください。

藤原社長:〈TS DESIGN®〉として初めて発売した商品は、インナーウェアなんです。

西:インナー!ジャケットやパンツのような定番アイテムからではなかったんですね。

藤原社長:近年、コンプレッションウェアがワークシーンにも浸透していますが、15年ほど前まではコンプレッションといえばスポーツ用が主流でした。短時間の着用でパフォーマンスを高めるため、締め付けの強いタイプがほとんどだったんです。

藤原社長:そこで私たちは「ワークシーンで使えるものを!」と、長時間着ても苦しくない「適圧」のコンプレッションウェアを開発しました。それが〈MUSCLE SUPPORT®〉シリーズです。

作業時のサポート効果を掲げた商品でしたが、いざ発売すると「デザインがカッコイイ!」という理由で人気を得たんですよ。シャツなどと重ね着してもらう前提で作ったのに「これ1枚でキマる」と単体で着られるお客様も多くて。予想外の反応に驚きながらも、手応えを感じましたね。

TS DELTA ハイネックロングスリーブシャツ (8350)

西:TS DESIGNさんはワーク用コンプレッションウェアの先駆けだったんですね。それにしても、自社ブランドの第1弾商品がインナーウェアという作業服メーカーさんも珍しいですよね。

藤原社長:そうですね。ワーク業界に新しい価値観を提示するためには、まだ誰も目をつけていない分野で勝負する必要がありました。コンプレッションを通して、新規ブランドでありながら注目を集めることができたと思います。

松坂:今では通年用や春夏用、秋冬用、レディースなどさまざまな種類のコンプレッションを販売していらっしゃいますよね。

藤原社長:お客様から支持されているデザイン性の高さはもちろん、現在はさらなる機能性を追求しています。

今季の新作〈TS DELTA®〉シリーズは、自社開発素材「DELTAナイロンライト」を使用したコンプレッションです。通常のナイロンの7倍もの耐久性があるコーデュラ®ナイロン糸で作られたこの素材は、薄手でありながらしなやかな強度が特徴で、さらに接触冷感性があるため暑い日も快適に着ていただけます。

西:たしかに触るとヒンヤリ!ストレッチ性もあって動きやすそうです。ガンガン着てもくたびれにくいのは、長い目で見ると経済的ですよね。

TS DELTA コーデュラロングスリーブシャツ (83105)



【「軽量」「ストレッチ」がキーワードの〈無重力ゾーン®〉】

西:ワーク用コンプレッションを世に出した後は、どんな商品を手掛けていったのでしょうか?

藤原社長:細身のニットシャツなどを発表し、インナー、ニット、アウターを重ね着する「レイヤリング・スタイル」を提案していましたね。

それから2012年に、「まるで無重力感」をコンセプトにした〈無重力ゾーン®〉のパンツを発売しました。海外の素材メーカーと共同開発した超軽量・ストレッチ素材を使った高機能なパンツです。
 
チノパンのような“キレイめ”なデザインとジャージのような動きやすさを両立しているので、サービス業や介護職を中心に人気があります。ハードに動くけれどお客様や利用者様の前では清潔感のある格好でいなければいけない…といった現場で選ばれていますね。

〈無重力ゾーン®〉シリーズはその後、ニットシャツやジャケット、ショートパンツなど、「軽量」「ストレッチ」を軸にラインアップを増やしていきました。よかったら試着してみてください。こちらは〈ストレッチタフジャケット〉ですね。

西:わ、本当に軽い!そして動きやすいです!Lサイズだから私には少し大きいけど、それでもシルエットがダボついて見えないですね。

藤原社長:両脇部分をX字のラインに縫製する「X-LINE」という独自の意匠が、スマートなシルエットを創り出してくれるんですよ。〈TS DESIGN®〉のほとんどのアイテムに取り入れています。

ストレッチタフ ワークジャケット (84636)



【遊び心あるカラーがコーデの幅を広げる〈COLOR LAB®〉】

藤原社長:このあたりの商品は2015年に立ち上げた〈COLOR LAB®〉シリーズですね。好きな色・デザインのアウターやニット、パンツなどを自由に組み合わせて、自分らしいコーディネートを楽しんでいただくために生まれたシリーズです。

松坂:作業服といえば上下同じ色でそろえるイメージが強いので、異なる色のアイテムを組み合わせて着るという提案は斬新ですよね。

西:その鮮やかなグリーンなんかは、スポーツウェアやアウトドアウェアにありそうな色ですね。作業服っぽくないというか。

藤原社長:その「作業服っぽくなさ」が生まれた理由も、商品づくりの順番にあります。

〈COLOR LAB®〉シリーズでは最初に、ニット製品を作ったんです。選ぶ楽しみを提供するために、ホワイトやネイビーといったベーシックな色からライトグリーンやワインなどの鮮やかな色まで、幅広いカラーバリエーションを用意しました。

その次に、ニット製品と同じ色展開でカラージャンパーを発売しました。ワークジャケットやワークパンツなど、いわゆる作業服の定番アイテムがシリーズに追加されたのはその後ですね。

西:〈COLOR LAB®〉シリーズでも、定番アイテムは最後に作られたんですね。

藤原社長:合わせるアイテムを選ばず、幅広いシーンで着用できるニット製品が〈COLOR LAB®〉の出発点だったからこそ、遊び心あるカラー展開ができたんです。もしワークジャケットなどの定番アイテムから作り始めていたら、色に対する新しいアイデアは生まれにくかったと思いますね。




【環境に配慮しながら、ワークウェアの可能性をさらに広げる!】

藤原社長:こちらのスペースには〈COLOR LAB®〉をさらに進化させたカスタムシリーズを展示しています。

西:ネオンカラーからアースカラーまでそろってる…!圧巻ですね。

藤原社長:これは「製品染め」によって、もっと自由にワークウェアを楽しむための新たな試みです。

環境に配慮した染料でネオンカラーまでも表現する「レギュラーダイ」は34色、廃棄される植物や野菜で染める「アースダイ」は25色、計59色展開しています。業種やコーポレートカラーに合う色を選べるのが魅力ですね。

生地や染料のロスをなるべく削減するため、1色につき最低30着からの小ロットでの注文を受け付けています。対応商品はワーク型ジャケット、スーツ型ジャケット、シャツ、パンツなど計7種類です。

西:〈COLOR LAB®〉のカスタムシリーズは、TS DESIGNさんならではの持続可能な環境への取り組みなんですね。
 
※…シャツやジャケットなど、製品の状態になったものを染色すること



【未来に向けて新素材を開発】

松坂:TS DESIGNさんは、独自素材の開発にも力を入れていらっしゃいますよね。

藤原社長:はい。2020年から始めた〈TS FUTURE〉というプロジェクトでは、未来に向けた素材開発に取り組んでいます。例えばこのレインジャケットに使用している超耐久撥水加工を施した「NEO撥水」の生地は、家庭洗濯を100回繰り返した後でも撥水性能をキープします。

藤原社長:また、この赤いレインジャケットには高透湿性・耐水性・防風性を備えた高機能フィルム「TS TEX」を使用しています。これは高機能な透湿・耐水素材を作りたいとの熱意から3年がかりで開発した国産の独自素材です。

「TS TEX」は無孔質フィルムのため、皮脂やホコリ、洗剤などが付着しても透湿性が落ちることはありません。またストレッチ性を持たせながら、ポリウレタンを使用していないので、劣化しにくい点も特徴ですね。

その他にも国内外の素材メーカーさんの協力を得て、耐久性や通気性、消臭、制電などさまざまな機能素材を開発し、それらを使った商品を展開しています。

TS TEX レインジャケット (18116)



【一人ひとりの「働く」をもっとハッピーに!】

西:今後、取り組んでみたいことはありますか?

藤原社長:私たちは商品企画やデザイン、宣伝広報活動なども全て社内で手掛けているんですが、ものづくりを続ける中でやりたいことが広がってきていて。ワークウェアの可能性を広げていくのはもちろん、一人ひとりの「働く」をもっとハッピーにするための活動にも取り組んでいきたいと思っています。

シューズなどのチャレンジングな商品を販売するウェブストアの開設や、創業60周年を記念して昨年会社敷地内で開催した『TS FEST.』のような地域貢献型イベント、音楽好きのスタッフが配信サービスを通して上質な音楽を紹介する『TS MUSIC』など、これからも枠にはまらない活動を通して、働く人々にワクワクやハッピーを届けたいですね。



『取材を終えて…』

創業当時からの「一番しゃれている服を創る」という想いを受け継ぎながら、固定概念をひっくり返す商品づくりを続けているTS DESIGNさん。「ワークウェアってこんなにも自由なんだ!」とワクワクしっぱなしの取材でした!

『WORKWEAR ONLINE』でもTS DESIGNさんの商品を多数取り扱っていますので、自分だけのコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか?



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https://workwear-online.jp/


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