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オフィス設計のプロが考える、働き方に合ったオフィス作りとは?

こんにちは!ACALL 広報の佐藤です。
先日、WorkstyleOSを活用しているコラボスタイルさんに、座席予約機能(ホテリング)の導入のきっかけや背景についてお話を伺う機会をいただきました。

働き方やオフィスの役割、コミュニケーションの活性化やイノベーションを生み出す考え方がとても素晴らしくて、一つの記事には書ききれなかったので続編記事を2回に分けて書くことにしました!

本稿の前編「インタビュー記事番外編vol.1」では、新たなコミュニティの在り方を起点に、オフィス移転や在り方、コミュニケーション活性についてご紹介。

「インタビュー記事 番外編vol.2」の本稿では、働き方とオフィス設計を連動させる重要性を起点にオフィスづくりのポイントや、前提の考え方についてご紹介します。

導入事例記事では、コラボスタイルさんの働き方も紹介しているので、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

フルリモートだからこそ大切なオフィスの在り方。人が集まるオフィスづくりで社員数が約2倍に。

■ 株式会社コラボスタイル 会社紹介
ワークフローのクラウドシステム「コラボフロー」の開発・提供を主軸に事業を展開。2022年11月には、働き方に合ったオフィス設計を担う「ワークスタイル事業部」を設立した。「ワークスタイルの未来を切り拓く」を理念に、脱ハンコ・ペーパーレス化の推進だけではなく、ワークスタイルに合ったオフィスの在り方を自社で体現。2020年7月に、東京から名古屋へと本社を移転させ、現在名古屋に2ヶ所、東京に1カ所、新潟に1カ所の拠点を設置した。現在は、自社でオフィスの在り方を体現するだけではなく、ワークスタイル事業部を通じて各企業それぞれのワークスタイルに合ったオフィスデザインを手掛けている。
会社HP:https://corp.collabo-style.co.jp/ 
ワークスタイル事業部について:About|ワークスタイル事業部

■ 今回お話を伺ったのは・・・
ワークスタイル事業部 プロジェクトマネージャー  酒井 拓哉さま
建築現場の職人としてキャリアをスタート。その後、オフィス家具職人としてメーカーに転職。現場監督を経験後、2010年より本格的にオフィスデザインの道へ。プロジェクトマネージャーとして活躍した後に、ワークスタイルデザインに特化した会社を設立。

2022年、ワークスタイル事業部の新設と同時にコラボスタイルへジョイン。
「現場目線を持つ敏腕PM/デザイナー」として、大手外資企業やIT業界各社で、”望むワークスタイル”をベースとしたワークプレイス作りを推進。コラボスタイル自慢のPM/デザイナーとして、会社の未来を見据えたデザインの総合力が高く評価されている。

社員が愛着を持てるオフィス作り

ーオフィス作りでこだわったポイントについて教えてください。
名古屋本社でこだわったポイントは主に3つあります。1つ目は、やはりコミュニティ会員と社員が利用するコミュニティエリアと社員が仕事をするオフィスエリアを繋げたこと。(詳細は前編で紹介)

2つ目は、地元産の木材を使用して、地産地消に取り組んだことです。これには、オフィスがある場所とのつながりを作る目的に加えて、社員にオフィスに対して愛着を持ってもらいたい、という想いも込めています。名古屋本社では地元産の木材を使用し、新潟オフィスでは地元の伝統を意識しました。新潟には発酵文化があり、その伝統に倣って塗料に藁を混ぜました。これにより、粘り気が出て味わい深い壁になるのです。自分たちでオフィスを語れるようになるのも魅力ですね。

3つ目は、社員の参加を大切にしてオフィス作りを進めたことです。オフィス作りをする際には必ず事前にワークショップを開催するようにしています。名古屋本社でも社員みんなで本棚を組み立てたり、ワックスを塗ったりといった作業を行い、新潟オフィスでは壁面の仕上げを行いました。そうすることで、与えられたオフィスではなく、自分たちのオフィスだと感じられるようになるんです。やっぱり「ここは自分がやった、可愛い」という感覚はとても大切だと思います。

と言うのも、社員が自社のオフィスにどのような想いが込められているのかわからないというケースはとても多いんです。オフィス作りに社員が参加することで、自分たちがオフィスを手掛けた実感を持てるようになりますし、どの木材を使ったかなどを語れるようになります。オフィスを長く使い続けることではなく、愛着を持ってメンテナンスしてもらえることを大切にしています。

スペースは工夫次第で多用途に活用できる

ー素敵な考え方でとても参考になります。名古屋本社ではどのような点を意識してオフィスレイアウトを決められましたか?

名古屋本社では、リフレッシュスペースとして、雑談をしたり、休憩ができたりする段差スペースを設けました。僕も煮詰まった時にコーヒーを持って5分ほど座って休憩したりしているのですが、それだけでもスッキリ感を得られて仕事が捗るようになります。また、イベント時には1段上がるだけで登壇スペースとしても活用できるので、とても重宝していますね。

ソファを設置しているスペースでは、大人数での会議も、1人での作業もできるように工夫しました。カウンターもこだわったポイントです。座っていても立っていても作業ができる高さにすることで、コミュニケーションの中心エリアとして気軽に立ち寄れるスペースになることを意識しました。普段は代表が皆にコーヒーを入れていることも多いですね(笑)

これから必須となる設備としてフォンブースも設置しました。フォンブースは昔より価格が下がってきていて、様々なベンチャー企業が提供してくれているおかげで、以前よりも半額程度で購入できる製品が多くなってきました。

また、コミュニティエリアとオフィスエリアを繋げる設計にするために、あえて壁を作りませんでした。そうすると、どうしても音の問題が発生するため、風や雑踏の音を出すサウンドマスキングを導入しました。静かすぎると、社員の声がダイレクトに聞こえてしまったり、コミュニティ会員さんが会議しようとした時に「今コラボスタイルにいるんですけど…」と小声で話したりするような状況になってしまいます。サウンドマスキングのおかげで、お互いに声を出してもあまり気にならない環境をつくることができました。声は聞こえるけれど、何を言っているかはわからないという状態です。

サウンドマスキングは、声と同じ周波数の音を出す仕組みなんです。会議室で使えるものとして、大手メーカーさんが提供しているサウンドマスキングがあるのですが、オープンスペースで使えるものはまだ少ないんですよね。

奥は休憩や雑談、登壇スペースとして活用している段差スペース。手前のソファを設置したスペースでは、1人での作業も大人数の会議もできるように工夫されている。
今後の働き方において必須となるフォンブースを設置。
コミュニティエリアとオフィスエリアの中央に設置されたカウンターは、気軽に立ち寄って雑談するコミュニケーションスペースとして活用されている。

働く場所と働き方は本来一緒に考えるもの

ーワークスタイル事業部を立ち上げた経緯について教えていただけますか?ワークスタイル事業部は、コラボスタイルの理念である「ワークスタイルの未来を切り拓く」ことを目的に立ち上げた部署です。

ワークスタイル事業部では、企業それぞれの働き方に合った場所選び・オフィスデザイン・設計を担っています。僕、酒井はプロジェクトマネージャーとデザイナーを担当しているのですが、もともとは外資系のオフィス設計会社で「働く場所」を作る仕事をしていました。そこで多くのオフィス設計を担当させていただくうちに、徐々にこの業界には課題があると考えるようになりました。どうしてもオフィス設計の際にデザインを重視する傾向があり、働き方が見過ごされがちとだと感じたのです。

そういった想いから、業界を変える必要があると考えるようになったのですが、業界全体を見渡した時にその役割を担っている人がいなかったんです。本来は、働き方に合った場所を作るべきなんですが、順番が逆になってしまっている。その時に、コラボスタイルの代表である松本と相談して「僕たちがタッグを組んでないのがおかしいよね」「ワークプレイス(働く場所)とワークスタイル(働き方)は本来一緒に考えるものだよね」という話になり、一緒に新規事業を立ち上げるためにコラボスタイルに入社しました。

ワークスタイル事業部は2022年11月に立ち上げたばかりですが、企業が成長し続けるために、時代に合わせた変革を成功に導くマネジメントの視点が重要だと考えています。

オフィス作り・ツール導入・社内制度は同時進行が大切

ー弊社ACALLも働く場所と働き方をテーマに事業展開をしているので、共感する部分が多く嬉しいです。ワークスタイル事業部とオフィス設計会社の違いについて、詳しく教えていただけますか?

オフィスの場所やデザインも大切ですが、それぞれの会社には独自のカルチャーがあり、目指すゴールもそれぞれ異なるので、会社によって適した「働き方」や「働く場所」は同一ではないと思うんです。なので、ワークスタイル事業部では各企業に合ったワークスタイルを考慮したオフィス作りと、適切な土地や建物の選定など、場所の提案も同時に行っています。

ワークスタイルに焦点を当てているので、基本的にはその企業が今何をすべきか、何が不要なのかを整理して提案を行います。同時に、外部のバックオフィスや組織開発に強い専門家とパートナーシップを組み、企業の目的を達成するために必要な社内制度の提案も行っています。

今後、ワークプレイスの市場では、移転や改装を目指すお客さんからの依頼が増えると思います。そこで大事なのは、デザインだけをゴールにしてはいけないという認識を持つことです。

私たちがオフィス設計をする際、最初は本来のゴールに向かっているはずが、途中で「どうすればかっこよくなるだろう」という方向に変わってしまうことがよくあります。デザインに優れた人はたくさんいるので、重要なのは、社員が愛着を持てるオフィスを作ることや、どうやって「自分たちのオフィス」にできるかだと思うんです。

ただお洒落なオフィスを作っても、一時的に採用応募者数は増えますが、中身が伴わないと本来の目的を達成できないので、オフィスのデザインだけではなく社内制度や会社の風土を考慮することが重要です。やはり、実際に様々な企業の方とお話ししていても「オフィス作りやツールの導入だけでなく、制度も同時に進めなければ変化が起こらない」と、皆さん口にします。

ワークスタイル事業部で設計したオフィス事例

ーワークスタイル事業部で手がけた事例について教えてください。
先日、大阪で第1号のプロジェクトを実施しました。そのプロジェクトでは、一般的ではない方法で進めました。まず、私たちが場所を決めて賃料交渉を先に済ませ、適切な場所を見つけてからオフィス作りのプレゼンを行いました。同社は沖縄に縁があったため、首里城をモチーフにしたり、沖縄の雰囲気を意識しました。

プレゼンの際、役員3名のうち2名は移転を考えていませんでしたが、どのように進めるべきか、移転はいつがベストなタイミングなのかを提案すると、すぐに賛成してくれました。オフィスの構造はコラボスタイルの名古屋本社に似ており、コミュニティエリアとオフィスエリアを作り、交流やイノベーションが生まれる場所づくりを大阪で実現しました。

その企業は大手企業のパートナー企業だったため、関係者が集まる場所が重要だという前提がありました。そのため、場所の選定もアクセスが良い地域を選びました。

ー新しいオフィス設計の在り方で非常に興味深いです。弊社としても共感する部分が多く、酒井さまのオフィスや働き方にかける熱い想いに感銘を受けました。本日は貴重はお話をありがとうございました!