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史上初!ムスリム関取優勝なるか?
朝青龍の甥 豊昇龍が優勝を飾り、横綱への昇進を決めた今年の初場所
私も千秋楽は相撲中継を食い入るように見ていた。
私が熱視線を送っていたのは「王鵬 金峰山」の一番だ。
昭和の名横綱 王鵬の孫であり、若貴兄弟と同時期に同じ二子山部屋でしのぎを削っていた元関脇 貴闘力の息子である王鵬。そして、カザフスタン出身者では初の関取でありムスリムでもある金峰山。
14日目を終えた時点では13勝1敗で金峰山が単独首位、2敗で豊昇龍、王鵬という状態であった。つまり千秋楽で金峰山が勝った瞬間に史上初のムスリム関取の優勝が決まるはずだった・・・
しかし、結果は金峰山の黒星、優勝決定戦でも豊昇龍に敗れ史上初のムスリム関取の優勝は次場所以降への持ち越しとなった。
次場所は3月9日から大阪で行われる春場所だ。しかし、金峰山にとっては不運にも3月9日前後からラマダンが始まってしまう予定なのだ。つまり15日間の全取り組みを空腹状態で行うことになる可能性が非常に高い。
そんな時、あるネット記事を目にした。「金峰山は豚肉やアルコールの戒律は守っているがラマダン期間中の断食は行なっていない」というものだ。記事の真偽については不明だが、たしかにムスリムであってもラマダン中に断食を行わなくて良いケースは下記のエピソードから認められている。
「預言者ムハンマドと共にラマダンの時に戦いに出たある者は断食し、ある者は断食をしなかったが、(預言者ムハンマド)はどちらも他者を非難しなかった。」
このエピソードは戦闘中の者が無理をして断食を続けることを奨励していない根拠の1つとなっている。相撲に限らず他のスポーツ選手なども、このエピソードを根拠として試合に臨む際にはラマダン期間中であっても飲食をする者も少なくない。
しかし、日本では教科書的に「ムスリム = ラマダン期間は断食しなくてはいけない」という固定概念をもっている人が圧倒的多数だろう。
だからこそ、マスコミで「初のムスリム関取 優勝」という見出しとともに「ラマダン中でも断食しなかった」というエピソードがあれば非常に大きな話題になると思うのだ。
3月9日から始まる春場所は是非とも金峰山に注目して欲しい!!!
Text by Nasser