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罪の赦しと、罰の意味と…〜死刑囚表現展2022 来訪レポート〜
キリスト教圏の国々を中心に死刑制度は廃止の流れとなっており、アムネスティ・インターナショナルの統計によると、世界にある193カ国の国連加盟国の約7割が死刑を廃止、もしくは設置しているものの死法化している状況にあるという。こうした世界の潮流とは裏腹に、死刑存置を維持し続ける数少ない国の1つである日本。
そんな日本において死刑が確定もしくは求刑されている囚人の手による絵画や文芸作品が公開・展示された「死刑囚表現展2022」が2022年10月14日(金)〜16日(日)に開催され、実際に足を運んでみた。
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撮影禁止の為、外に貼付されていたポスター程度しか撮影ができなかったが、会場は多くの来場者で賑わいを見せていた。文芸作品13人、絵画作品16人の展示は、筆者が当初勝手にイメージしていた、世を儚むように書かれた水墨画や書道のような作品はほとんど見受けられない。むしろ、どれも筆致や色彩豊かで、囚人達の孤独が宿ったようなエネルギッシュな作品の数々に驚きを感じた。その一方で、作品から醸し出されるその饒舌さに、戸惑いを感じる人も多かったのではないだろうか。正直なところ筆者も、雄弁に語りかけてくる作品の数々に、終始、辟易とした嫌悪感を禁じ得なかった。
今年7月26日に死刑執行された秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚が生前、本展示会への出展に際し、以下のような言葉を寄せたという。
「私は『抑止力としても懲罰としても、死刑は虚(むな)しい』ということを表現したいと考えています」
死刑囚が起こした事件の被害者やご遺族の心象を鑑みると、軽々しく、死刑存廃などは語れない。しかし作品から見える死刑囚の姿は、罰としての死刑の無意味さを感じるほどに、死をもって償うなどとは遠い存在に見えて仕方がなかった。罪の赦しとは、なんたることなのか、改めて感じる作品展であった。
残念ながら今年の開催は、既に終わっているが、興味がある方は、下記のホームページを逐一チェックいただき、来年度以降の開催を期待してもらいたい。
(text しづかまさのり)