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【計画的偶発性理論】予期せぬ出来事でも学習の機会に転換する『計画された偶発性』

心をラクにするワークライフハック

このnoteでは、「仕事でも私生活でも心をラクにする(ワークライフハック)」をテーマに文章を書いています。

「心をラクに」というのは、「快く安らかに過ごしている状態」という意味で使っている言葉であり、「サボる」という意味ではありません(快く安らかに過ごすために、時にはサボる時も大切ですけどね)。

今回の内容

計画的偶発性理論(予期せぬ出来事でも学習の機会に転換する『計画された偶発性』)とは?

計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、心理学者のジョン・D・クランボルツ(John D. Krumboltz)が提唱したキャリア開発の理論です。この理論は、「偶然の出来事や予測できない機会」を積極的に活かすことで、個人のキャリアが形成されると主張します。
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基本的な考え方
計画的偶発性理論では、予測通りにキャリアが進むことは稀であり、人生やキャリアは予測不可能な偶然の要因に大きく影響されると考えます。重要なのは、そのような偶然の出来事に対して柔軟に対応し、それを前向きに活用することです。
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理論の5つのスキル
クランボルツは、偶然の機会を効果的に活かすための以下の5つのスキルを提案しています:
1. 好奇心: 新しい活動に興味を持ち、挑戦し続ける。
2. 持続性: 困難に直面してもあきらめずに取り組む。
3. 柔軟性: 変化を受け入れ、計画を調整する能力。
4. 楽観性: チャンスが訪れることを信じ、ポジティブに行動する。
5. 冒険心: 失敗を恐れず、不確実な状況に飛び込む勇気。
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この理論は、「予期せぬ出来事も成長のチャンスである」との考えを根底に置き、現代の変化の激しい社会において重要なキャリア構築の指針を提供します。

計画的偶発性理論を提唱したクランボルツさんが活動されていた時代は、アメリカの経済状況が悪化して、若者の失業者が増えたことにより、キャリアカウンセリングの重要度が増していたようです。

「人が能力を獲得したり、何かの行動を起こしたり、何かを変えたりするためにどのように支援していくかを考える」というのがキャリアに伴走する人の役目なので、社会的学習理論アプローチの考え方は参考になります。

クランボルツさんのアプローチにおいて、以下の問いを立てることはとても重要です。

◆なぜ人は、その学校や仕事を選ぶのか?
◆なぜ人は、選んだ学校や仕事を変えるのか?
◆なぜ人は、仕事について様々な好みを表すのか?

要するに、『意思決定の背景』に注目するということですね。

また、「キャリアの意思決定はそれ以前の学習体験に基づいて行われる」ということも言っていたようで、『キャリアの意思決定に影響を与える基本要素』として以下の4つを掲げていました。
遺伝的特性
②環境条件と出来事
③学習経験
④課題アプローチスキル

そして、この4つの要素が影響することでつくられる『信念』も、意思決定に影響を与えるとしました。

信念というのは、ブレない自分を構築する上で非常に重要な要素ですし、意思決定の背景には何かしらの信念があるので、日々の何気ない言動にも大きく影響してきます。

「その信念が何にどういう影響を与えているのか?」というのは自分では気づきにくいので、素直で謙虚な姿勢を持って、「自分自身の信念が問題を引き起こしていないか?」という問いを立てることが大切なんです。

これまでの内容をまとめると・・・

◆人は、遺伝的特性を自分では選ぶことはできない。
◆数え切れない予期せぬ出来事によって肯定的な体験や否定的な体験をし、その体験から学習して信念をつくっていく。

この前提を踏まえて、『計画された偶発性』というのは・・・

◆予期せぬ出来事を学習の機会と捉えることが大切。
◆キャリアは予期せぬ出来事によって決定されるため、その予期せぬ出来事を主体性や努力によって最大限に活用する姿勢を持つ。
◆予期せぬ出来事を意図的に生み出すように積極的に行動することで、学習の機会がどんどん増えていく。

以下の本に記載されていたことを紹介します。

計画的偶発性理論(=プランド・ハップンスタンス理論)に関して、重要な内容が書かれていました。

クランボルツ(Krumboltz,J.D.)らは、晩年、プランド・ハップンスタンス理論(planned happenstance theory)を提唱した。人のキャリアは偶然の出来事によって左右される。本人も予想しなかったことで興味が喚起され、学ぶ機会が得られ、成長する。したがって、偶然に出会う機会を増やし、それを自分のキャリア形成に取り込み、その準備をするのが大切であるとする。
偶然の出来事をキャリアに取り込むための5つの資質というものもあり、好奇心(curiosity)、粘り強さ(persistence)、柔軟さ (flexibility)、楽観性(optimism)、リスクテイキング (risk taking)だとした。
従来の研究では、人のキャリアに影響を与える偶然の出来事とは、ほとんどの場合、人との出会いである(下村、菰田,2008) 。上司・先輩・同僚、学校の先生、家族、友人や恋人など、日頃、接する身の回りの人を挙げた先行研究が多い。ただし、本来クランボルツは、スキナー箱などを用いた学習心理学の知見をカウンセリングに応用した研究者として出発した。スキナー箱とは、ネズミの学習実験に使う箱型の実験装置である。箱の中のネズミは、いくつかあるレバーを押して試行錯誤するうちに、やがて餌が出るレバーを学習する。クランボルツのキャリア論には、この学習の発想が根強い。最終的に、クランボルツは自身が提唱した学習理論とハップンスタンス(偶然性)を統合したハップンスタンス・ラーニング理論(Happenstance Learning Theory Krumboltz, 2009)へと発展させ、以下の4つの命題を提起している。
①キャリアカウンセリングの目的は、クライエントが満足のいくキャリアと個人生活を実現する行動を学べるように支援することであり、1つのキャリアを決定することではない。
②アセスメントは、個人的な特性と職業的な特性を一致させるためではなく、学習を刺激するために使用する。
③クライエントは、予定外の有益な出来事を生み出す方法として、探索的な行動をとることを学ぶようにする。
④カウンセリングの成功は、クライエントがカウンセリングセッションの外の現実の世界で何を成し遂げたかによって評価される。

クランボルツは、与えられた機会を試すことで、新たな学習の機会が得られること、そして、学習の結果、キャリアが良い方向に向かうことを、生涯にわたって主張し続けたと言えるだろう。

非常に良い内容で、これらを意識することでより良いキャリアになっていく気がします。

人との出会いも大切だけど、出会ったとしても、その出会いを自分の中でキッカケに変換できないと、何の意味もありません。

「とにかく試行錯誤しなさい、試行錯誤する中で学び、自分にとっての良い選択肢が見つかるから」というメッセージをクランボルツさんは言ってるんですよね。

僕は社会人になってすぐに、本田直之さんの「人生は壮大な実験だ」という言葉に出会い、私生活でも仕事でも関係なく、「実験をする」ということを大切に生きています。

キャリアを良い方向に向かわせるには、自分でいろいろなことを試すしか方法はありません。

最後に、漫画『ブルーロック』から、計画的偶発性理論の重要性に繋がるシーンを紹介します。

即興(アドリブ)があのゴールの始まりだ。目的を達成しようとする時、往々にして物事は予定通りにはいかない。教科書や説明書に書いてあることは机上の正解ではあるが、戦場(フィールド)の現実(リアル)の前ではただの空論にすぎない。
予定していた作戦が通用しなかった時、凡人はパニックになり、失敗の原因を探して安心し、その修正に時間を費やす。これは敗者の思考だ。勝者は挑戦を切り換える。
試合の目的は勝つことだから、すぐにその思考になれるかが重要。予定していた作戦が失敗しようとも、思い通りの道筋じゃなくても、目的を見失わなければ、その状況は新たな挑戦になる。

予定していなかったことを自分の未来にどう繋げるか?・・・人生は予定していないことばかりなんだから、それに順応しないとイライラしたりストレスをため込むことにつながるかもしれない。

だからといって、目標や目的を定めないと、うまくいってるのかうまくいってないのかの判断ができなくなる(上記の例だと、試合に勝つという目的があるからこそ、自身の思考と行動を切り換えられる)。

計画的偶発性理論を自分の中に落とし込むことができたら、自分の人生がちょっとずつ良くなっていくはずです。

心をラクにするキッカケ

今回も、読んでいただきありがとうございました。

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