夫は『長男』ではない。絶対にない。
「もう6歳なんだから、これは自分でやらないとだよ。」
息子に教え諭し、少しずつ自分で自分のことをできるようにする。
『親の役目は、親を必要としない大人を育てることだ。』
どこかで聞いた、反論しようもない教え。
それまでやってくれていたことを自分でやるようになると、抵抗したり、失敗したり、継続しなかったり。
親はそれを、気長に根気よく、何度も何度も教え諭すことで、子供は少しずつ『親を必要としない人間』へ育っていく。
夫のことは『長男』だと思え。
結婚して子供が生まれるまではまだ『恋人モード』だったので、夫はあくまで私の『恋人⇒夫』だった。
子供が生まれて初めて、この『言説』が生まれた理由に納得した。
そうでも言わないと納得できなかった女性、妻が、大勢、大勢いたんだろう。累々と積み重なるそんな妻たちの長年のジレンマを前に、私も一時途方に暮れた。
長男トラが生まれてひと月も経つと、私はトラの寝かしつけに苦労することになる。ウェブを見ても本を読んでも、
『個性』『眠ければ寝る』『その子に合った方法で』
具体的にどうしたら私は満足に眠ることができるのか、保健士の人に聞いても実に手ごたえのない返答に本当に困った。そして半分、半分どころかしっかり育児ノイローゼになりながら、やっとのことで私とトラの方法に行きついた。
その晩は、夫が自分の実家に用があり、食事をして帰ってくる日だった。私はトラと既に就寝していた。
真夜中、突然大きな音と声で目が覚めた。夫が義母を連れてリビングに居た。
「抱っこさせてあげるよ!」
いやいやいやいやいや・・・寝てるよ?
「いいじゃん、たまにしか会わないんだし!」
泥酔している夫の声は、普段の声量の倍になる。今しがたまで寝ていた人には大層な騒音であって、しかも苦労して寝かしつけた、今スヤスヤと寝ている赤子を、敢えて起こし、こうこうと明かりについたリビングで義母に抱っこさせている。
義母の顔を見ると、明らかに困っている。
「ね、寝てたのに、可哀そうよ・・・
せっかく寝かせたんでしょう・・・?」
義母は「ごめんね、ごめんね」と言いながらスゴスゴと帰って行った。
また別の晩。その日は夫は会社の飲み会だった。
月1、2回の飲み会なら、行くことは全く構わなかった。
しかし帰って来てからが大変だった。
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夫婦サバイバル(ワーキングマザー編)
ごく普通の女が結婚して妊娠~出産。35歳で『ワーキングマザー』になりました。 それまで世の中知ったような気になっていたけど、実は何も知らな…
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