あれ?なんで私、この人と結婚してるんだっけ?
長男トラは、よく泣き、よく食べ、よく動く活発な子だ。
生後数ヶ月経ち、起きている時間が増えてくると、家の中にいても愚図ることが多くなった。育休中はよく、お昼寝の時間の合間に自治体の遊び場のようなところへ連れ出していた。
トラが満1歳ころに私は職場に復帰した。
時短制度のひとつである、『残業免除』という制度を使って、定時の17時半までの勤務。通勤は片道1時間ほど。
毎朝毎朝、トラに起こされて目を覚まし、バタバタと支度をして、バタバタとトラを連れて保育園へ。その足でバスに乗って駅へ、そして会社へ。
定時までに仕事を終わらせるためには効率を上げる工夫をしたり、ランチの時間を削ったり、同僚やクライアントに頭を下げたり、遠慮したり、引け目を感じたりする必要があった。
毎日定時ギリギリに席を立ち、速足で保育園に向った。
つまり、毎日が分刻みに忙しく、くるくると目の前を過ぎて行った。
しなければいけないこと。
済ませたこと。
買っておかないといけないもの。
仕事の予定。
仕事の提出物。
必要な連絡。
調べないといけないこと。
すべてがどんどん、どんどん、飛ぶように目の前を通り過ぎていき、気づいたら週末で、当然週末は、家事が溜まっていた。
だから週末もあっという間で、平日もあっという間で、とにかくあっという間に月日が過ぎていった。毎日がいっぱいっぱいだった。やることが多すぎて、覚えていられない。目の前のことをこなすのが精いっぱいなのに、後から後から目の前に『用事』が積み重なる。用事の山は、いつでも大きいままで、いつでも崩れ始めている。
幸いなことにトラは健康で、熱を出すことは滅多になかった。それなのに、毎日毎日、平日も休日も、昼も夜も、細い綱の上でジャグリングをしているような感覚で気が休まらない。
慌ただしい。忙しない。
あれもやらなきゃ。これもやらなきゃ。
一方の夫にとっては、平日は仕事の日で、休日は相変わらず『休日』だった。
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夫婦サバイバル(ワーキングマザー編)
ごく普通の女が結婚して妊娠~出産。35歳で『ワーキングマザー』になりました。 それまで世の中知ったような気になっていたけど、実は何も知らな…
ありがとうございます。今後の活動の原資にさせていただきます。