「俺が金払ってんだぞ」
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もう20年以上、なんなら30年近く前の話。
私は、高校を卒業してアメリカに留学した。インターネットが出始めたくらいの時期で、かろうじてパソコンを持っている友人がいた程度。日本に住む両親や姉との連絡は、主に手紙だった。
大事な用事の時だけ、国際電話をかけた。
確かウォールマートのようなスーパーでプリペイドカードを買って、話せる時間を考えながら電話をかけていた記憶がある。
「そろそろ急に切れるかも。」
なんて言っていた覚えがあるし、実際カード分の時間が来れば急に切れた。
覚えているのは、大学のカフェテリアの入り口にある公衆電話で父に電話をかけたこと。
「次の学期の学費は〇千ドルだから、口座に振り込んで欲しい」
そう伝えるために電話をかけた。
今ではその大学の学費もかなり金額が上がっているが、当時は確か、1学期分で60万円くらいだったと思う。
ドル→円に換算して、その金額を振り込んで欲しいとお願いすると、
「はーい。わかりました~。元気にやってるの?」
と父は言った。
「元気だよー。ありがとう。」
電話を切ってから思ったのだ。
『お金を60万円ください』
と口頭で伝えて、二つ返事ですぐにくれるって、実はすごいことなんじゃないかって。父は当然、当時の私がアルバイトで稼ぐようなレベルではない金額を稼いでいたのだが、とはいえ60万円は大金で、ポンと振り込まれるお金と、そんな親がいるって、もしかして恵まれてるんじゃないだろうかと、思ったのだ。もちろん実際私は恵まれていたのだが、それに初めて気づいたときのことを覚えている。
親には子供を養育する義務があるのだが、言うほど簡単な話ではない。
私の子供たちはまだ小学生だが、そのうち数十万、数百万単位でお金がかかる年代が来るだろう。
その日は、電気代の話で夫と長男が喧嘩を始めた。
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夫婦サバイバル(ワーキングマザー編)
ごく普通の女が結婚して妊娠~出産。35歳で『ワーキングマザー』になりました。 それまで世の中知ったような気になっていたけど、実は何も知らな…
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