「やりがい」はやってくる。
ドトールが好きだ。手ごろな値段でゆったりできる。その店にいて、コーヒーを飲みながら本を読む。勉強する。友だちと話す。そんな空間は、気付いたら学生時代からぼくのそばにあった。
そんなドトールは、どんな人が創業したのか?気になって、『ドトールコーヒー 「勝つか死ぬかの」創業記』(鳥羽博道著、日本経済新聞出版社、2008年)を読んでいる。
創業者である鳥羽氏は、稼ぐため、生きるために、東京の叔母の家に住み仕事を探す。そのときに出会ったのが、のちのドトールコーヒーにつながる「喫茶業」だった。
鳥羽氏はこう語る。
一杯のおいしいコーヒーは私の仕事に対する取り組み方を大きく変えた。(中略)昨日よりも今日のコーヒーのほうが味がまろやかだとか、どうしたらもっとおいしいコーヒーがきれられるようになるかとか、コーヒーの味に私はすっかり魅了されてしまった。
「生きていかなければ」という思いからたまたま飛び込んだ喫茶業界。その世界で働くここに少しずつやり甲斐を感じはじめていたのである。(前掲書、57頁)
ここで面白いのは、鳥羽氏が喫茶業界に「飛び込んだ」から、「やりがいを感じはじめた」という点である。
情報社会で誰かが発信する情報にどっぷりつかる毎日。自分の身体を動かす、飛び込む、やってみるの価値がもう一度考えるときなのかもしれない。