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探し物はなんですか?

ドイツで働く知り合いから聞いた話がある。
「ワークライフバランス」についてだ。

知り合いの同僚にドイツ人がいる。
年齢は30代半ばでMBAを取得して、営業として働いている。

前職は自動車関係の営業で、仕事の納期が近づくと毎日夜10時まで、遅い時では明け方2時まで働いていたと言う。

彼はその仕事が好きだったが、三十歳になった時に考え出した。

「じぶんは、あと40年間続けられるのか?」

彼の答えは、
「この生活をしていたら、何のために生きているか分からなくなる」と言うことだった。

大切な女性を見つけた彼は尚更、じぶんが出した答えに向き合った。

そして、彼は今の仕事に転職し、結婚もした。

転職先は前職と全く異なる、ゆったりとした余裕のある環境だった。

前職は上司もすばらしく学ぶことが多かった。けれど、新しい職場ではそこまでのプレッシャーもなく、学ぶべきことは少ない。

けれど、結婚した奥さんと旅行に出かけ、毎日夕食を食べ、充実した生活を送る。

前職では実現できなかった日々を、大切なパートナーとともに過ごしている。

「学ぶ機会が減っていいのか?」

そんな質問をぶつけると、彼は答えた。

「仕事から学ぶことが全てではないから。」

人生は取捨選択の繰り返しだ。
最後の最後は誰に言われるでもなく、自己満足の世界。自分自身で納得して生きていくだけなのだ。

「自分にとって、大切なものは何か?」

ドイツは転職が当たり前。
彼はまた仕事を変えるかもしれないと話す。
その時々の自分に正直でいたいからという。

井上陽水は、『夢の中へ』という曲で、
「探し物はなんですか?」と歌った。

大人の日々は、毎日毎日この質問に答えることなのかも知れない。



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