建前の向こう側
スタジオジブリの鈴木敏夫さんは、本音と建前について、こんなことを言いました。
「世の中には、本音と建て前というものがある。そして、多くの人は、本音を隠して建て前で生きている。物事がうまくいかないときの原因は、この『建て前』を額面どおり受け取って対応してしまうからなんだ。石井は相手の言ったままを受け止めすぎる。相手が言った建て前の裏に、どんな『本音』が隠されているのかを見抜けるようにならなければダメだぞ」
見知らぬ街へ出かけ、ふと見つけたレストランに入る。メニューが沢山あり、なにを選んだらいいのか分からない。
とりあえず何か頼みたいから、店員さんに聞く。「おすすめはなにかありますか?」
このときに、お客さんが求めている事は、「何かをお勧めしてもらい、メニューをきめること」。だから、「どれもおすすめです」とか「お客様のお好みに応じて変わってくると思うので、一概には言えません。」というような答えは寂しい。
嘘でもいいから、「これがおすすめです!」と言う。なぜなら、お客さんの本音は、「何かを決めてもらいたい、提案してもらいたい」のであり、「店員さんの正直な意見を聞くこと」ではないからだ。
文字通りの言葉を受けて、そのまま回答するのではなく、相手の状況を考えてみて、「なにが本当に欲しいのか?」というフィルターを通す。それだけのことだけど、結構な違いを生むと思うのだ。
『自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-』石井朋彦、2016年、WAVE出版
https://www.amazon.co.jp/自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-石井-朋彦/dp/4866210079