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時間がとまって音楽が始まる

サニーデイサービスのドキュメンタリーが公開された。
親しい友人を誘って、渋谷のパルコにある映画館に観に行った。

上映時間145分。

2時間以上の映画だったので、最初は腰が重かった。
でも、映画を観終わったとき、驚いた。

あれ?

もう145分が経ったのか。

これが正直な感想だった。


海外で働くことになった時に、友人がくれたアルバム。
それが、サニーデイサービスの『東京』だった。

海外にいるからこそ、東京が妙に恋しくなったりして、鮮やかな桜が一面に映し出される、あのジャケットを見ながら、何度も何度も聴いていた。

リアルタイム世代ではない自分にとって、この映画で、サニーデイサービスの歴史を振り返ることは斬新だった。

フリッパーズギターのような音楽から始まり、どんどん本格的なロックバンドになってくる。

アラサーの自分が、ここまでサニーデイの音楽が好きなのは、現在進行形だから。

その理由に尽きると思う。

このドキュメンタリーのカンパニー松尾監督も、サニーデイの現在進行形を描きたかったというようなコメントをしていた。

現在進行形でいることが、いかに難しいのか。それは社会人になって出会った50歳(曽我部さんも今は50歳になられているので、その年代と比較してみると)は、過去の栄光の話が多かった。

俺のときはこうだった、そのときはあーだった。そんな武勇伝を聞かされることが、入社してからはほぼ毎日だった。人生は甘くない。将来を考えて、キャリアを構築したほうがいい。

わかるんだか、わからないんだか、そんなしっくりこないアドバイスばかりだった。

それに比べて、サニーデイサービスの音楽は、今も新しい。説教じみていないところが、特に好きだ。

最新作である『Doki Doki』は風船讃歌というキャッチーなポップソングで始まる。

あなたのそばに行き歌をうたってあげたいな
世界が終わる日も潮風に乗って
きみの方へぼくは飛ぼう

「風船讃歌」 作詞作曲 曽我部恵一

サニーデイの歴史を知って、この歌詞がみょうにじんときた。出会いと別れを経験し、それを抱きしめて、彼らは音楽を作り続ける。
そして、その音楽がリスナーを惹きつける。

自分が50歳になった時も、現在進行形で、何かを生み出し、世の中を1ミリでも面白くすることができたらいいなぁ。そんなふうに思うのです。

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