New Yorkで農家になったら、日常の中で小さな幸せを見つけられるようになった話。#WORKINGFOREVER 07
<前回までのあらすじ>
アメリカ留学中の冬休みの間、私はNew Yorkに拠点を置く農家の家に転がり込むことになりました。そこで出会ったホストファザーのSandy は最愛の人との別れや、シングルファザーとしての子育て、自身の大けがや大病など様々な困難を乗り越えてきた肉牛農家さんでした。
https://note.com/working_forever/n/n2f6cf90283a8
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もしチャンスがやってきたら、蹴り倒してでもそれを獲りに行く。
さて、肉牛農家であるからには毎日の牛のお世話は欠かせません。ある日の外の温度計はなんとマイナス24度。風が吹けば寒い、というよりむしろ痛いほどでした。しかし私とSandyは毎日、牛を追いかけ、掃除をし、エサをやり、トラクターを運転して牧場を整備しました。ときにはストーブの薪を調達しに山で木を伐採したり、牛肉を直接お客さんたちに届けるために1日中ずっとドライブしたこともありました。
「Haven't you thought you would like to quit this job?」(仕事、辞めたいっておもったことは無かったの?)
ずっと農家であり続けている理由が気になったので聞いてみると、Sandyはあっけなく「何度もやめようと思った」と答えました。何かを辞めるのは時に、何かを始めるときよりもパワーが必要です。彼はきっと、何度もあらゆるものを天秤にかけたうえで「農家を継続する」道を選び、今を迎えていたのでしょう。しかし、その一方でそろそろ次のステージに進もうとも思っていたようです。
「The timing for the shift is not always predictable. It sometimes takes long, but also comes suddenly. Therefore, be ready for taking action and moving forward anytime.Then what, when the opportunity knocks, kick down the FUCKING DOOR. It's your decision.」
(変化のタイミングっていつも予測できるわけでは無い。だからこそ、アクションをいつでも起こせるように、いつでも準備万端にしておく必要があるんだ。チャンスがもし目の前にやってきたらどうするか?体裁や、いらないプライドなんて捨てて、壁を蹴り倒してでも掴みに行くんだよ。でもそれは全部きみ次第なんだ。)
Sandyのここでいう「チャンス」とは必ずしも、キラキラ、ワクワクしたものだけをさしているわけではなく、ときには苦汁を嘗めるような出来事もあるでしょう。きっと生きていく上で誰でも「転機」のタイミングを迎えると思うのですが、それをモノにするもしないも、結局は全部自分次第なんだよ、と教えてもらいました。
Sandyや彼の家族、仲間と過ごした日々はとても輝いていました。それは彼が普段の生活の中で「お気に入り」を取り入れたり、笑うときは思いっきり笑い、夕日や朝日を眺める時間を作ったりして1日を大切に過ごしていたからです。その積み重ねが「いざ!」というときの強さの基盤になるし、人生そもそもの満足感や充足感にきっとつながるでしょう。
もしかしたら、仕事も一緒なのではないでしょうか。いいことも、望まないことも働いているとどうしても起きます。だけど、最高のアウトプットや望む結果は基盤がしっかりしているからこそ得られるもの。基盤が無い幸運はただのマグレに過ぎません。日々の積み重ねを怠らないことと、小さな幸せを見つける努力、これらの大切さをSandyから教わりました。
コロナショックで世界は「自粛モード」、むしろそれ以上に「サバイバルモード」。今まででは想像もできなかったことがリアルな世界で起きていて、あたりまえの生活が実は当たり前ではなくなってきています。むしろ、今までがいかに奇跡的だったのだろう、と痛感させられます。与えられた人生、時間を良いものにしていけるように、舞い込んだ突然のチャンスはものにできるようにそれぞれが基盤を整えていけたらいいですね。