議事録と議事メモは違います
議事メモという手法があまり知られていないので、解説します。
一言で言えば、議事メモは議事録よりもラフでインタラクティブなものです。
議事録は「ちゃんと書く」「ちゃんと配る」
議事録は文書としてしっかりしたニュアンスがあります。
たとえば以下のような要素があります。
書紀という専用の役割がいる
ちゃんと形式に則って書く
会議後、ちゃんと手直しをする
手直しをした後、ちゃんと関係者に配布する
ですが、このやり方は重たいです。すべての会議で常に書くわけにもいきませんし、少人数のカジュアルな打ち合わせで書くものでもないでしょう。
一方で、情報は残しておかないと情報格差が生まれます。時間というリソースの取り合いになり、会議と政治が多発します。古典的にはそうなるしかありませんでしたが、現代では技術も方法も整っており回避できます。
そうは言っても、議事録をバカ真面目に取るという重たい方法では融通が利きませんし負担も高いです。
議事メモは「雑に書く」「会議中も見せる」
昔からITエンジニアの間では、議事録よりも軽いメモが取られていました。これが議事メモです。
ポイントは二点で、ラフとインタラクティブです。
ラフ
雑に書くこと
インタラクティブ
会議中に投影して、その場で書いていくこと
ラフというと想像しづらいかもしれませんが、「箇条書きで」「列挙する」のがわかりやすいと思います。みなさんも普段ひとりでメモをする際は、ラフな書き方をしていると思いますが、そのレベルを採用します。参加者に通じればそれでいいのです。
必要なら情報をそいでも構いません。たとえば開催日時や開催場所は重要ではないので省くか、2024/09/23 のように日付だけ書く程度でも良いでしょう。査閲や承認といったものも要りません。
また、発言の内容こそが重要なので、発言者を省くこともあります。発言者をいちいち書くのは大変なので、このテクニックは意外と重宝します。ただし、誰が言ったかがわからないと不便なこともあるので、ここはバランスです。
インタラクティブについては、画面に投影して、皆に見てもらいながら書いていくことを意味します。ホワイトボードを見ながらワイワイするイメージです。
各自の頭の中だけで伝言ゲームをするのではなく、投影されたメモをベースにして打ち合わせをするのです。一見すると遅そうですが、重要なのは速さではありません。この方が、メモをベースに話し合っていけるので建設的になります。
議事メモは内部向けの手法
ラフでインタラクティブな議事メモは、内部向けの会議で使える手法と言えるでしょう。
外部の顧客や関係者と会議する場合は、さすがにこうは行かないと思います。一方で、議事メモの方が軽くて融通が利きますから、可能なら外部であっても採用できると強いです。
議事メモは誰が書いてもいいし、複数人で書いてもいい
議事メモには書紀係なる役割はありません。誰が書いてもいいですし、今書いている人とは別の人が書いてもいいです。もちろん役割を定めてもいいですし、通常「議事メモをよく担当する人」みたいな分担は自然と形成されます。
そして、議事メモは一人で書く必要もありません。後述するように、共同編集が可能なので、複数人が書いてもいいです。
※余談ですが、議事メモのスペースを事前につくっておいて関係者に周知&議題を書き込んでもらうようにすると、会議開催前に議論が終わってしまうこともあります。こういうやり方で会議を減らせると非同期コミュニケーションを加速できます。
専用のドキュメントツールまたはノートツールを使う
議事メモはその性質上、同時編集が可能で、ブラウザから利用できるツールを使うことが好ましいです。
これらのメリットは、ブラウザでアクセスするだけで誰でも読み書きができることです。この気軽さが議事メモには必要です。
PC上に配置したテキストファイルやワードファイルを投影し、これをあとで皆に送信する――みたいな原始的なやり方は、できるだけやめましょう。このやり方は不便ですし、議事メモを書く人の負担も高いです。続きません。
参考:
議事メモでぐぐってみると、主に「会議メモ」として解説した記事がヒットしますが、ここまで難しく考える必要はありません。
ラフでインタラクティブにできれば、それで良いのです。