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インフォモスフィア(雰囲気という情報)

場の雰囲気は、それ自体が重要な非言語情報です。にもかかわらず、ハイブリッド開催ではおざなりになりがちです。

具体的には、現地での中継は「登壇者が立つ舞台周辺」だけが映されがちです。


インフォモスフィア

「場の雰囲気」という情報をインフォモスフィア(Infomosphere)と呼びます。

Information + Atmosphere からつくった造語です。

「場の雰囲気という情報」は重要な概念なので、名前をつけました。名前をつければ言及ができ、言及ができれば議論ができます。


インフォモスフィアは多い

ハイブリッド開催の構図は、たとえば次のとおりです。

一つのリアル会場と、n箇所からのリモート接続。

青色部分だけが映されがちですが、インフォモスフィアは他にもあります。リアル会場自体の他の場所もそうですし、リモートで繋いでいる各拠点・自宅・出先もそうです。


メリット

インフォモスフィアを重視するメリットは3点あります。


1: オンラインとオフラインの不公平感を中和できる

現地参加オフライン勢と、リモート参加オンライン勢との確執は至るところで見られます。

特に日本は関係ベースの文化であり、礼儀1.0(手間暇費やすことこそが礼儀だとする立場)を常に要求するケースもまだまだ多いです。

これを解消する方法は以下のとおりですが、

  • エンゲージメントを高くする

  • 働き方の多様性を取り入れる

  • オンラインを前提としたあり方にし、オフラインはやりたい人達が行うようにする

    • オンラインファーストと呼びます

    • 逆に従来はオフライン・ファーストなので、オフライン側が幅を利かせてしまい、オフライン側が不利な立場になります

どれも改革・変革が必要なレベルの変化であり、すぐに行えることではありません。

即効性の高いやり方が非言語情報、特にインフォモスフィアを交換することです。つまり、

  • オフライン側は、会場のインフォモスフィアを共有する

    • オフライン側が、相手の非言語情報を得ることができます

  • オンライン側は、自身のインフォモスフィアを共有する

    • オンライン側も、相手の非言語情報を得ることができます

ということです。

お互いがインフォモスフィアを提供すれば、お互いに相手が差し出しているとわかるので不公平感が減ります。


2: グルーミングを強化できる

すでに述べたとおり、日本は関係ベースであり、一緒に過ごして親近感を醸成することは重要です。このような営みをグルーミングと呼びます。

通常、グルーミングは、同じ場所と時間に同座することで行いますが、ハイブリッドでは叶いません。

しかし、できるだけ近づけることができます。ここでキーとなるのがインフォモスフィアです。

ハイブリッド開催でグルーミングが上手くいかない人や組織は多いですが、単に共有する非言語情報量が少ないのです。もっと増やせば済みます。かといって全員が喋るわけにはいきません。どうすればいいかというと、インフォモスフィアを増やします。


3: イベントへのコミットが増える

インフォモスフィアがあると、単純に退屈しないので、参加者がイベントに居座る率が高くなります。居座り続けると、当然それだけより興味を持ってもらえる率も増えます。

これはオンラインに限らず、現地オンライン勢も同様です(ただし現地で自分のデバイスで繋げることが前提)。


インフォモスフィアをもっと共有するには

インフォモスフィアという非言語情報をもっと共有するためのヒントを整理します。


ライバーを使う

ライバーとはリアル会場において、インフォモスフィアの中継を行う役割を指します。

会場で会議に接続し、ビデオをオンにして、会場の様子を移し続けます。統一的なプロセスやガイドラインに従って動いてもいいですし、ライバー本人のキャラクターに委ねてもいいでしょう。

ライバーの良い点は固定的な景色でもないし、機械的な切り替えでもないところです。人間が映した、ストレスフリーで温かみと個性のある光景を演出できます。

ただし、ライバーのカメラワークやトークなどの実力はもろに出ます。将来的にはライバーは専門職となり、イベントに駆り出される存在となるでしょう。

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