チームワークだけでなくソロワークも
現代はチームの時代であり、チームワークは必須とされます。
一方で、チームワークだけでは限界も見えてきています。
これをカバーするための、新たな過ごし方としてソロワークがあります
チームワークは試合
チームワークは、言わば試合のようなものです。
チームで過ごしているがゆえに場の空気が存在し、従わねばなりません。管理や協調の仕方は色々ありますが、本質的には、前進するためには何らかの指針があり、皆がこれに従っています。
しかし、試合ばかりしていると融通が利きません。
日々の練習やトレーニングも大事でしょう。特にスポーツはわかりやすいはずです。アスリートは試合ばかりしているわけではなく、試合の裏で膨大な練習とトレーニングをこなしています。
無論、アスリートと私たちを同一視できるほど単純ではありませんが、試合以外の過ごし方も必要そうだとの本質はわかると思います。
チームワークの弊害
チームワークは試合です。
ゆえに、チームワークばかり行っている現代は、試合ばかり行っているようなものです。
そのせいで様々な弊害が出ています。大別すると以下の2つでしょう。
1: 木こりのジレンマ
忙しさを理由にやり方を変えようとしない
2: 余裕のなさ
余裕がないため、融通が利かない
2: については、ホワイトスペース本が特にわかりやすいと思います。
そんな現代こそソロワークを
ソロワークとはひとりで行う活動を指します。
ひとりでじっくり考えたり、つくったり、あるいは整えたりするための活動です。
ソロワークはチームワークの弊害を潰す
ソロワークによって、チームワークの弊害をカバーできます。
まず純粋に各自で動ける余裕がありますから、自分やチームを鍛えたり、やり方や考え方を変えたり、新しいことを試したりできます。
また、いざというときの融通も利きやすくなります(ソロワークの時間を急遽チームワークに戻すことにはなりますが)。
次に、ソロワークによって様々なアウトプットとそのフィードバックが出るため、個人も組織も強くなります。チームワークのみで前進するよりは歩みは遅くなりますが、広がりと深みをもたらせます。我慢しながら数をこなすだけの、奴隷のようなあり方から脱しやすくなります。
誤解1: プライベートで各自がやるものではない
非常に誤解されやすいのですが、プライベートの時間でやろうというのではなく、業務時間中に行うものです。
現在は業務時間≒チームワークですが、この配分を減らして、ソロワークに充てます。
![](https://assets.st-note.com/img/1727401959-HDIvuoZPrGMT8bAhQ7cL9dO5.png)
誤解2: 個人ワークではない
もう一つ、よくある誤解を取り上げます。
「別に今でも個人で作業する場面は普通にあると思うが……」
もっともな疑問ですが、これもよくある誤解です。それはただの個人ワークであって、チームワークの一環として、一時的に一人で動いているだけにすぎません。
野球でたとえると、試合中にピッチャーがひとりで投げていても、それは試合の最中にひとりで動いているだけあって、やはり試合です。
そうではなく、試合以外にも、ちゃんと練習やトレーニングの機会を設けようと言っています。
ソロワークの三要素
ソロワークとして行う活動は、以下の3要素に分かれます。
内省(ないせい)
考える
自分なりにやり方やあり方や過ごし方などを考えること
自製(じせい)
つくる
道具、仕事のやり方や考え方、知識やスキルなどをつくること
「増やす」と捉えた方がわかりやすいかもしれません
摂生(せっせい)
整える
心身を整える
最後の摂生は、必要性がわかりにくいので補足します。
そもそも試合(仕事)ばかりしている人がそうしてしまうのは、心身が脆いからです。
脆すぎるがゆえに、立ち止まったり、やり方を変えたり、新しいことを試したり考えたりといったことができません。こういったことを行えるだけの体力や精神や余裕がないのです。その結果、目の前の慣れた仕事をこなすことしかできなくなりますし、実際そうなっています。
そして、それを資本主義的価値観で正当化するのです。
要は信者であり、搾取されているようなものですね。
※これ自体の是非は扱いませんし、扱うものでもありません。人生など好きにすればいいのですから。
というわけで、ソロワークを行えるだけのリソースをそもそも確保せねばなりません。摂生という要素が入っているのはそのためです。
ソロワークでもアウトプットは出す
ソロワークは練習やトレーニングに相当するものだ、と書きましたが、ソロワークでも仕事のアウトプットは出します。
チームワークではしばしば「皆で一緒にアウトプットを出す」営みが行われがちですが、これにはコミュニケーションコストがかかります。仕事した気にはなれますし、責任の所在も細工できますが、生産性や生産的満足感は出ません。
わかりやすいのは、学校の学級委員でよくある「クラスメイト全員を拘束して」「その場で全員から意見を募りながら」「意思決定をする」場面でしょう。これと同じようなことが、ビジネスでもよく起きています。
そうではなく、ソロワークでアウトプットを出して、それをチームワークで揉むようにするのです。
資料作成と発表の例がわかりやすいと思います。皆で一緒に資料作成していてはらちがあきません、なので誰かがつくってしまって、それを皆に見てもらいますよね。
先ほど配分の話をしましたが、この点もまさにそうで、仕事全体のうちチームワークが占めている部分を減らして、ソロワークを増やすのです。
当たり前のことを言っているように聞こえますが、そのとおりです。しかし、チームワークに頼りすぎていて、少なくない弊害が出ている(何なら気づいていない)この現状はあまりに目に余るため、こうしてソロワークなる概念を立ち上げています。
おわりに
ソロワークはパラダイムシフトです。
チームワーク100%――つまりは試合100%なあり方に替わる、より融通が利き、個人と組織の底力も上げていける働き方です。
ぜひ意識して、取り入れてみてください。
また、『仕事術2.0』では様々な仕事術を紹介しており、皆さまのソロワークにおいても役立つかと思いますので、ぜひ漁ってみてください。
(関連記事)
コアタイムの概念を借りると、ソロワークは理解しやすいと思います。
コアタイムとは皆が同座している時間帯であり、チームワークの時間と言えます。であるならば、ソロワークについても、適切な時間帯なるものがあるはずで、それがフリータイムとなります。