クライアントワーク → プロジェクトワーク → テラワーク
働き方の潮流を3つにまとめます。
クライアントワーク
クライアント(顧客)の依頼に応える形の働き方です。
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原始的ですがシンプルであり、名前をつけるまでもなく現代でも最もよく使われています。
ワーカーが優秀だからこそ成り立つ
クライアントの立場が強くなりがちのため、ワーカー側が上手くリードせねばなりません。以下は頼もしさのマトリックスですが、
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クライアントワークを上手くやれるのは1だけです。
2は、ワーカーの立場が(事実上 or 暗黙的に)強いケースで、ワーカーがクライアントをリードできれば上手くいきます。しかし現実はそのとおりにはならず、クライアントがこちらのコントロールに従ってくれません。ワーカー側によほど分があって、放っておいても仕事が絶えないくらいであれば(クライアント側が合わせるしかないので)成立しやすいです。
3と4は、クライアントから搾取されるか振り回されます。それでも食べていけるなら良いですが、負荷は高いです。極端に言えばクライアントの奴隷と化しがちです。
コミュニケーションの営み
シンプルですが、距離が近いゆえに高密度になりがちです。コミュニケーション、解読、説得といった営みがメインとなります。
仕事のスキルがあれば通用するわけではありません。むしろ、これら営みをこなせることの方がはるかに大事です。こなせない者は相手にされません。
ワーカーに求められるリテラシー
そもそもの前提として、金銭を通じて仕事をやりとりすることはそれなりに高度なものであり、素人が適当に行って成立するものではありません。たとえば契約面一つ取っても、多岐に渡ります。
シンプルと言えど双方、少なくとも片方(特にワーカー)はそのようなリテラシーを備えておく必要があります。
※近年では仕事のマッチングを行うプラットフォームを介することもできますが、これは仲介者が入った形であり、クライアントワークとは(呼べないことはないが、これで請け負える仕事は「ごく一部」であるため)呼べません。
※知り合いなどで非常に融通が利くパターンもありますが、それは単に同じチームで働いているようなものです。本記事で取り上げる「働き方」の観点では扱いません。
まとめ
ワーカーとクライアントが1対1で直接やりとりする
問題点
ワーカーが優秀でないと上手くいかない
コミュニケーションの営みが多く、また避けられない
搾取されがち、負荷が高くなりがち
プロジェクトワーク
プロジェクトを立てて、その中に関係者を入れて仕事をする働き方です。
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プロジェクトという言葉は多義語ですが、要はある目的を達成するために一時的につくった組織です。解散の概念もあり、用が済んだら壊します。
クライアントワークではワーカー vs クライアントでしたが、プロジェクトワークではワーカーもクライアントもプロジェクトの一要素でしかありません。
プロジェクトエコノミー
プロジェクトは必要に応じてつくられます。近年はこのような働き方が主流となっており、プロジェクトエコノミーと呼ばれます。
本質的に複雑
プロジェクトは一時的な組織であり、要は組織です。また自社や自部門以外の人間も入り混じります。よって、本質的に複雑な世界となります。
組織設計(プロジェクト設計)、管理の仕方、役割分担と権限委譲の仕方、コミュニケーションの取り方など、多岐な才能が要求されます……が、現実的にそんなことを毎回行える超人はいないため、何らかのテンプレートで組織を組んで、人を当てはめて、あとは各自の能力と融通に任せるとの形になりがちです。事実上、組織人として働くことと同義です。
一方、プロジェクトは一時的な組織ですし、状況が慌ただしくて変化することも前提としていますから、しっかりとした組織よりも慌ただしくなりがちです。組織人としての立ち回りの他に、臨機応変で素早い対応力(瞬発力)も求められがちです。
政治が重要
プロジェクトは一時的な組織であるゆえに、全体の整合を保つためにはパワーが必要です。パワーを持つ者が秩序を敷いて、全体を従わせればいいからです。
つまり構造上、パワーを持つ勢力が必ず存在し、プロジェクトを支配しています。単純な構図で済むこともありますが、たいていは複雑なパワーバランスが生じます。
特に重要なのは「人」を理解し立ち回ることです。プロジェクトは一時的な組織ゆえに慌ただしく、システムでは統制できないので「現場で融通利かせて頑張ってね」になります。となれば、現場でパワーを持つ人が幅を利かせることになります。その「人」達各々の特徴を押さえて、上手く立ち回らねばなりません。
人を相手にした立ち回り、つまりは政治が要求されます。
まとめ
プロジェクトという一時的な組織をつくる
問題点
政治が多発する
政治ができないと通用しない
できるにしても手間暇がかかる
またパワーを持つ勢力がボトルネック・限界になる
テラワーク
テラワーク(Terra work)とは、プロジェクトワークの次となる第三世代の働き方として当サイトが言語化したものです。
関係者は各自主体的に探索を行い、その過程や成果をオープンにアウトプットし、これらアウトプットの活用や議論を行います。
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主体的な探索と議論により、皆でアウトプットを育てていくものです。アウトプットこそがオリジナルとなります。各自の頭の中には価値がありません。アウトプットしなければなりません。
メリット
成果、パフォーマンス、満足感を底上げできることです。
搾取や政治にとらわれずに仕事できます
全員の主体性を生かせる分、多くのヒントが出ます
仕事のやり方や考え方を改善する視座に立てます
使い分け方
テラワークだけであらゆる仕事をまかなえるわけではないことに注意してください。典型的な使い分け方は、以下のとおりです。
1: まずテラワークにて探索を行う
2: 「見えてきたら」クライアントワークやプロジェクトワークに切り替える
2: が機能するのは「見えてきた」後だけです。その前段階では邪魔でしかありません。
なのに、ビジネスだからとか、組織だからとか、お金が動くからとかいった理由で縛ろうとします。これは単に無知なだけです。あるいは呪いや宗教と言えるレベルでとらわれています。
だからこそ、そうではないのだと知っていただくために、探索のメンタルモデルを持った、新しい概念が必要でした。それがテラワークです。テラ(Terra)は陸地・大地といった意味であり、広大な場所を探索していくニュアンスを込めています。
これから来る潮流
テラワークは現在使われているものではなく、これから来る(来るべき)潮流です。
プロジェクトワーク以前の価値観から見ると、まるで意味不明でしょう。成立するわけがないとも思えるでしょう――この固定観念を壊さねばなりません。
見えてくるまでは、見えないなりの最適解(探索)があるのです。また、見えてきた後であっても、部分的に見えていない部分があるかもしれません。そもそも、見えてない部分を見えるまで探索する人と、見えた後の仕事を上手くやる人とに分業した方が上手くいくでしょう――と、仕事はもっと上手くやれます。そのためには、探索のあり方が必要です。それがテラワークです。
当サイト『仕事術2.0』は、テラワークの啓蒙と普及を支援します。当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方と考え方)を紹介しており、テラワークに必要なものも多数紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
次節でも少し紹介します。
テラワーク・プリンシプル
テラワークの原則となるであろう事柄を整理します。
『Record Based Origin』
オープンな情報共有エリアを用意して、そこにアウトプットしたものを(成果物や情報の)原本とします。
『Exploratory(探索)』
予定やスケジュールといった従来の管理を撤廃し、各自が主体的に好き勝手に仕事をします。これを探索と呼びます。
テラワークでは、働き方のメンタルモデルを探索に切り替えねばなりません。
『主体性と自律性』
探索のあり方で秩序と整合をもたせるには、各自に期待するしかありません。各自が自らできることをこなしていく主体性と、そもそも誰に管理されるまでもなくアウトプットを読み書きする自律性が両方必要です。
この二つを身につけるには様々な仕事術が必要です。
読み書きを行えるほどの十分な余裕:
主体性を発揮するのに必要な「自分の軸」を知るには、深い思考が必要なのですが、その手段として内省が使えます:
正解も事例も無い状況はよくあり、このような場面では情報を集めて広げてまとめてから意思決定するしかありません。実は発想法が使えます: