ビジネスを先取りする「新しい」As Code 5選
ソフトウェアは世界を席巻しています。この力を取り入れるアプローチの一つがAs Codeです。
As Codeとはプログラムコードで表現し、処理もプログラムに任せるというパラダイムです。最も有名なのが、ITインフラに取り入れたIaC――Infrastructure as Codeでしょう。
IaCにより、ITサービスを支えるインフラ基盤部分の自動構築が可能となり、飛躍的な進歩をもたらしました。現代を支えるパラダイムの一つです。
As Codeにはビジネスを変える力があります。
今回は新しいAs Codeを提案します。その前に従来のAs Codeも振り返ります。
※As Code自体の説明はしません。
すでに知られているAs Code
Infrastructure as Code
As Codeの代名詞
ITインフラの設定をコードで書き、実際の構築はそのコードを解釈するプログラムに任せます
人間はITインフラに直接手を加えず、コードを読み書きするだけで済みます
Diagram as Code
図をコードで書き、実際の図はそのコードを解釈するプログラムが描きます
図を記述する文法として提供されるものと、文字通りコードで書くものがあります
前者の例はmermaid-js、後者の例はDiagrams
Documentation as Code
ドキュメントの中身と見せ方をコードで書き、実際のドキュメントはそのコードを解釈するプログラムが生成します
体系化はされていませんが、使われる技術要素はおおよそ共通しています
中身を書くための記法(Markdown)と、見せ方を書く記法(CSS)
テンプレートエンジン(Jinja2)
文法や所定ルールの検査(Textlint)
静的サイトジェネレーター(Sphinx, MkDocs)
整備した例もあるようです
Rule as Code
ルールをコードで書き、ルール全体の整合性やルールを用いた判定はそのコードを解釈するプログラムに任せます
人間の遅さや曖昧さを排除できます
体系化はされていませんが、法律(Law As Code)やWeb3(スマートコントラクトやDAO)の分野で推進されています
Security as Code
セキュリティ上の要件をコードで書き、要件の遵守はそのコードを解釈したプログラムに任せます
Rule As Codeと似ていますが、少し違います
Rule As Codeは、自然言語で表現された「事例」を判定します
Security As Codeは、コードや設定ファイルで書かれた「システム」を判定します
体系化はされていませんが、別の呼び方で推進する例が見られます
Circuit as Code
回路をコードで書き、実際の回路はそのコードを解釈したプログラムが生成します
まだ実用・浸透しているとは言えなそうですが、開発しているとの声があったり、SKiDLなどオープンソースも公開されていたりします
AIの文脈で盛り上がっているFPGAは、As Codeと呼べるほどではありませんが、書いてつくるという意味では似ています
Experiments as Code
現状、論文があるだけのようですが、取り上げておきます
実験をAs Codeにすることで、Preproducibility(IaCでいう冪等性)の実現を目指すようです
VRやデジタルツインなど仮想世界にも頼るようです
新しいAs Code
ここからは新しい As Codeを提案していきます。
Facilitation as Code
会議のファシリテーションをAs Codeにします。
略称はFACIaCとさせてください。
ファシリテーションとは、会議の進行管理と細かなフォローを指します。従来は、場の空気や参加者の様子を読みながら、ファシリテーターが行っていましたが、その必要がなくなります。
会議をどのように進め、参加者をどのように制御・フォローするかは全部コードにて書きます。実際のファシリテーションは、そのコードを解釈するプログラムが行います。
メリットは以下のとおりです。
会議でも「標準」の恩恵をあやかれる
ライブラリ、フレームワーク、DXなど標準は重要です
会議は標準を適用しづらいですが、FACIaCなら可能です
ファシリテーター役が不要になり、会議に参加できる
会議の過ごし方がコード化されているため、再利用・共有・微調整ができる
会議は改善されにくいものの一つですが、FACIaCにより、継続的な改善が促されます
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