情緒共有

情報ではなく情緒です。情緒共有とは情緒を共有することを指します。無頓着に実施されがちなので、もう少し賢くやりたいです。

そのためには言語化して自覚する必要があるため、この言葉を定義しました。


そもそも情緒とは


感情と情緒の違い

感情(Emotion)とは万人共通で瞬発的な心の動きを指します。

一方、情緒(Affect)とは文化・経験依存で持続的な心の動きを指します。気分やムードと呼ばれることもあります。



情報との違い

情報とは、ここでは言語で表現できるもの(Verbal)を指します。言語で表現するのがベストです。

しかし現実的には絵、音、身振り手振りや雰囲気といった非言語(Non-verbal)も使われます。情緒は非言語情報の一種です。


大事なのは情報の共有

仕事では「情報」の共有が大事です。極論を言えば情報のやりとりで完結します。

とはいえ、私たちは機械ではなく人間ですから情緒も必要ですが、人間の事情にすぎません。情緒の共有を重視しすぎて、情報の共有がおろそかになっては本末転倒ですから、情緒共有は効率化するべきです。他ならぬ人間だからこそ、可能なことです。


いくつか例を挙げます――その前に、まず情緒共有の目的を「欲求の解消」だと考えると、退屈や持て余しを満たしたいがために情緒に頼るのだと言えると思います。

さて、例に入りましょう。「欲求の解消」を仕事で行うとはどういうことか、を単純な欲求から見ていきます。

性欲はどうでしょうか。仕事中の解消はしないですよね。色恋営業や社内恋愛もゼロではないですが、多くの場合、表に出すことはないはずです。プライベートで勝手にやるべきです。

食欲はどうでしょうか。微妙なところです。会食や飲み会はよく知られていますが、業務中には行わず業務外でやるのが通例というバランスになっています。一方で、パンデミックによりリモートワークが行われてきたことで、飲み会不要論が盛り上がっているとも感じます。

睡眠欲はどうでしょう。重要性は謳われていますし、法律やコンプライアンスとしても長時間労働是正の観点で強化されてきていますが、業務中に何かするというほど直接的ではありません。せいぜい昼休憩中か、裁量の高い人なら好きなタイミングで仮眠を取る程度でしょう。


話を戻します。

仕事において重要なのは情報の共有であり、欲求の解消は削いだ方が効率的です。しかし、人間ですからゼロにするわけにもいきません。このジレンマをどう解消するかは、いくつかのパターンがあります。

  • プライベート:各自のプライベート任せ。仕事では出さない

    • →性欲

  • インダイレクト:重要性の啓蒙と間接的なサポート

    • →睡眠欲

  • アウトサイド:業務外での実施

    • →食欲

どのパターンが良いでしょうか。

まずプライベートをデフォルトとします。次にオプションとしてインダイレクトやアウトサイドも用意しておき、頼りたい人が頼れるようにします――これが良いと考えます。

一番わかりやすいのが性欲でしょう。食欲(飲み会や会食)は事実上アウトサイドを要する場面も多いと思いますが、もし性欲的にそうだとしたらいかがでしょうか。ありえないはずです。

同じことです。食欲もそうですし、情緒の共有もそうです。当人同士が良いならさておき、仕事だからといって安易に欲求の解消を強要してはいけないと思っています。強要する人は「体の付き合いをした方が色々上手くいくよ」「やろう」と言っているようなものです。

セックスも、食事も、あるいは(情緒を共有するための対面口頭な)打ち合わせも、どれも本質的には同じです。ナンパはセックス目的で声をかけます。一方、ビジネスでは会食や飲み会など食事に誘おうとしますが、これをライトナンパと呼んでいます。本質的にはナンパの一種であり、その気がある人同士でやるなら良いですが、仕事として一般化するのは暴力的だとさえ思います。


欲求の解消を押し付けてはいけないのです。

だからこその情報です。情報を共有すればいいのです。不便だったり、苦しかったりしても、それは上手くできるように頑張るべき・投資するべきであって、「セックスしよう」「食事しよう」「打ち合わせよう」と安易に逃げるのは違うと思います。

残念なことに、現代でもまだまだです。性欲については表向きにはなくなりつつあるという程度です。


情緒共有を効率化するには?

仕事術(仕事のやり方や考え方)を使います。要するにやり方と考え方を工夫します。

当サイトでも様々な仕事術を扱っています。いくつか例を挙げます。これらを駆使して「情報のやりとり」を上手くやれるようになると、情緒共有の方も上手く扱えるようになります――仕事から切り離したり、必要な分は別途最低限実施したりといったことができるようになります

では見ていきましょう。


非同期コミュニケーション

情報とは言語であり、言語とはテキストです。

テキストコミュニケーションをいかに行えるかにかかっており、そのためには相応のやり方と考え方を身につけねばなりません。最も重要なのが非同期コミュニケーションです。

つまりは聞いたり話したりする → 読んだり書いたりする、にシフトします。


テキストで非言語を伝える

テキストベースでも非言語情報を伝えることはできます。

チャットのスタンプはよく知られていますし、当サイトでも「フランクな非言語」を提案しています。


言語化する

言語として表現するためには言語化が必要です。

たとえば以下は「多様性を支える要素」を言語化したものです。多様性と口先だけ言っても何も変わらず、実際に変えていくためには具体的に何を自覚すればいいか、使えばいいかを述べています。

また言語化をするためには、ひとりでじっくりと考えたり練習したりする時間が必要であり、当サイトでは内省と呼んでいます。


情緒共有を必要に応じて差し込む

情緒共有自体をなくすことはできません。

性欲のように完全にプライベートに任せても良いですが、仕事の一環としてサポートすることもできます。


そのためには、まずは情緒共有の要素を切り離します。たとえば会議には混ざっているので、切り離します。

すると「純粋に会議だけ行う時間」と「それ以外」に分かれます。情緒共有は後者でやります。つまり情緒共有をするためだけの時間を別途確保すると考えます。

たとえば1日1時間、情緒共有のためだけの時間を確保しても良いです。人間であって、必要なのですから文句はないはずです。会議に安易に混ぜて効率や多様性を削ぐよりも、よほど健全です。


一例として、当サイトでは「コミュニケーションの注入」として整理しています。情緒共有的なコミュニケーションを必要に応じて差し込むと考えます。


また、そもそも「情緒共有のための時間」を取るだけの余裕も必要ですね。現代は多忙になりがちなので、この視点は極めて重要です。

よく使う言い方があります。

「毎日1日1時間、業務時間中にヒマな時間をつくれるか?」

これすらできない人が多いのです。資本主義とSNSに毒されすぎです。1日1時間のヒマさえつくれない人に、一体何ができるのでしょうか。日々降ってくるタスクに答えることしかできません。それでは何も変えられません。

そして、余裕をつくるためには「捨てる」行動が必要ですが、そのための仕事術も取り上げております。



その他にもたくさん

ここで挙げたものはごく一部です。

当サイトでは多数の仕事術を扱っておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。


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