分報を続かせるコツ

チームや組織で分報を続けるのは意外と難しいです。続かせるためにはそれなりのコツが要りますので、解説します。

なお、分報の概要は以下記事を参照してください。


---- 基本スタンス


代替するつもりで望む

日報や(朝会含む)定例会議といった、従来の報連相方法に加えて分報もやるのは純粋に高負荷です。

分報をやるからには、それら従来のやり方を置き換えるつもりで、ちゃんと望んでください

でないと、ただ物好きの人が続けるだけの活動になってしまいます。


入退室は自由とし、実際出入りする

マネージャーなどメンバー全員を見る役割でもなければ、全員の分報チャンネルに常に入室している必要はありません。何ならマネージャーであっても同様です。

必要に応じて抜けたり、また入ったりしても良いです。

この感覚は意外とわかりづらいので、誰かが率先して出入りしてみることで示すと良いでしょう。


別の言い方をすると、分報はバッチ処理でも運用できます。

すでにメールやチャットを「特定タイミングでのみチェックする」人はいると思いますが、これは分報にも当てはめられるのです。つまり、分報を見るときだけ、そのチャンネルに入室し、用が済んだらすぐ出るのです。

こうすれば、常に入っているときとは違って気が散りにくくなります。

もし高頻度なやりとりが必要なのだとしたら、それは相応のチャンネルか別の手段を使いましょう。


とはいえ、入退室をするとログが出てしまうので、入退室頻度が多いとうっとうしいです。「そういうもの」と割り切るのか、それとも「うざいのであまり高頻度な入退室はやめるように」に倒すのか、は組織内で統一した方が良いでしょう。


---- 通知


メンションを使わない

通知はうっとうしいので、分報チャンネル内でメンションを飛ばすのはやめましょう。

メンションが必要なやり取りは、別途ふさわしいチャンネルでやります。


分報に関する通知は切る

分報に振り回されてしまっては元も子もありません。

分報チャンネルに関する通知は各自なるべく切ってください。その上で、必要に応じて覗きに行くようにしてください。


このような自律的な覗き方ができない人は、タスク管理を学びましょう。当サイトでも紹介しています。


分報を動線にする

自分の分報チャンネルを動線(それなりの頻度で確認する場所)の一つにしてください。

動線化ができていると、通知がなくとも、誰かが書き込んでいればそのうち目にするので対応できます。


---- 扱う情報・扱わない情報


スレッドを使わない

分報チャンネルではスレッドは使わないようにします。

スレッドは「込み入った議論や意思決定」の兆候です。不吉な臭いです。そういう話題は、別途ふさわしいチャンネルで行ってください。あるいは、分報上で行っても良いですが、必ずその結果をそちらにも書くか、会議の場で正式に共有してください。

特に忙しい人や、無頓着な人はここを端折りがちなので、「こっちにも書いて」と口うるさく言っても良いくらいです。このような役割やアクションを共有警察と呼びます。


議論と意思決定は別のチャンネルでやる

上記「スレッドを使わない」と重複しますが、仕事上の議論や意思決定は相応のチャンネルでやりましょう。

あるいは、分報でやってもいいですが、そこで留めないようにしてください。


分報は喫煙室(給湯室やカフェでもいいですが)のようなものです。当人達で気軽に決めるには便利ですが、それ以外の人達はついていけません。あとで訊かれたときに「いや、喫煙室で話して決めたんだよね」と言っても、納得はされづらいと思います。

喫煙室で終わらせることの是非は本記事では問いませんが、分報内で終わらせることはこれと同等であると認識してください。


他のメンバーの投稿に言及する

「誰々さんのこれこれの投稿が」といったような言及を行うと、メンバー達の注意を自然と誘導できます。

特にAさんの投稿にBさんが言及し、それを見たCさんやDさんが言及し――といった形で派生していくと、自然に盛り上がって良い感じです。

会議の場で言うものでもなく、スレッドで議論するものでもなく、各自が各自の分報で意見を並べているかのような、従来にはなかった塩梅のコミュニケーションになります。従来意見を出しづらかった人の意見も出やすくなります。


すべての投稿を読んでもらうことを前提にする

分報だからといって、何でも垂れ流していい理由にはなりません。プライベートであれば自由にすればいいし、読む側も自由に読み飛ばせますが、違います。これは仕事なのです。

各メンバー、少なくともマネージャーはあなたの分報の投稿をすべて読みます

より一般化すると、少なくとも一人以上が、あなたの投稿をすべて読んでいるという前提で行動してください

言い換えると、「投稿全部を読むのが苦にならないライン」を各自良く考えて調整してください


具体的には、以下を控えましょう。

  • 大量の投稿

    • 自分にしか興味のないような雑談、うんちく、自慢

    • 長々と続く備忘録や作業メモ

    • ブクマ目的でもURLの列挙

  • 空リプなど遠回しな言い回し

  • 愚痴やネガティブなポエム

とはいえ、許容可能なラインは組織次第、人次第ですので、このあたりは各自模索してください。

また、このラインを探る人が苦手な人もいます。そういう人には遠慮なく指摘してください。


この問題を軽くみないでください。

「あの人の分報は読む疲れるからスルーしよう……」などとスルーの事例が出ると、割れ窓理論的にサボりが広がって、分報自体が形骸化しかねません

分報は一見すると手軽なイメージを抱きますが、続けるのは結構大変です。こまめに投稿して、かつ皆のもそれなり読まないといけないわけですから。これを好き好んでやる人の方が少ないです。

だからこそ、仕事の一部としてしっかりとメンテナンスしていくことが必要です。


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