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第7話:FIREを目指すならiDeCoではなく、確定給付企業年金(DB)を検討する

第6話では投資信託に加えて、ETFをフル活用することでリターンをブーストしたり、FIREまでの配当金による途中経過の楽しみを加える方法、ポートフォリオのリターン・リスク・シャープレシオでのシミュレーション方法(一部有料)を公開しました。

今回は、新NISA制度やiDeCoはよく聞くものの、なぜかあまり語られないけど、誰でも手堅く資産を増やせる再現性100%の「確定給付企業年金(DB)」について言及したいと思います。

NISAやiDeCoは、投資になるため、まず投資未経験者や初心者は、安全に資産を運用できる(=投資リスクがなく・元本割れも生じず・確実に増える)この制度から手を付けてもよいのではないかと私は思っています。


突然ですが、質問です。
「あなたは、投資信託以外の選択肢で1ヶ月の期間で20%の利益を出せる投資選択をできるでしょうか?」

おそらく「できる」「そういうを案件知ってる」という人は、よほどFXやハイリスクなことが出来る人か、詐欺案件を既に掴まされている人かのどちらかになります。(笑)

S&P500ですら年利10%ちょっとなので、月利で20%出せる案件は、通常投資の世界にはありません。あったとしても、よほどの変動が激しいものか完全な詐欺です。

しかし、誰でも用いれば100%、すぐに投じた額の20%の利益を確定できる方法が、今回紹介する確定給付企業年金(DB)です。

ここまで話せばお気づきの人もいるかもしれませんが、「20%」というのは、会社員の人なら天引きされている所得税率を控除できるようにすることです。

この手の方法で一番有名であろう制度が、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
しかし、iDeCoの場合は、税金の天引きを回避でき、その間運用することもでき、出口でも退職金扱いとして優遇される3度おいしい制度である一方、

どんな理由があろうと原則60歳になるまで引き出せず、かついったん始めると途中解約が出来ず、毎月最低5000円以上は入金しなくてはいけなくなるというとてもマッチョな強制力の強い制度です。

ある意味で、60歳までずっと解約ができないサブスクに入会するような感覚を覚えるのは私だけでしょうか?(笑)

また、 iDeCoの手数料はまず、加入時に国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円(税込)と、毎月かかる「口座管理料」171円の手数料(国民年金基金連合会に105円+信託銀行に66円)が必ずかかります。

対して、確定給付企業年金(DB)は、特に加入者の社員には初期の手数料も口座管理料もかからない上、金額設定も年に2回(4月、10月)変更・調整が可能で、iDeCOと同様に所得税の天引きを避けることが出来て、プールしている間も(主に国債で)ある程度の運用もでき、退職時や子育て期間・休職期間などのライフイベントの変化時には、一旦解除して非課税で引き出しができるという便利な制度です。

確定給付企業年金(DB)とは

事業主が従業員と給付の内容をあらかじめ約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる企業年金制度。
給付内容があらかじめ定められることから、DB(Defined Benefit Plan)、「給付建て年金」とも呼ばれる。
年金資産は一括して運用され、運用のリスクは企業が負う。

企業年金連合会HPより

つまり、これを用いるだけで、所得税控除で20%の節税が毎月確定し、なおかつ元本損失もなく、もし補てんする必要があれば、企業側が補てんし、人生の節目に非課税で引き出すことも可能で、安全に資産作りをすることが出来ます。

現在会社員でFIREを目指す場合は、まずこの制度を会社が用いているかどうかを確認しましょう。

そして、この制度が採用されている場合は、後述する条件に当てはまるかを確認して、当てはまるなら、この制度を使うとより効率的に資産が貯められるようになるので、検討してみることをおすすめします。

DBについては、この動画がとても分かりやすいのでご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=sHytIy657wA

ただし弱点もあります。

この動画は、「Sponsored」となっている通り、そもそも「はぐくみ基金」を運用しているベター・プレイスさんのインタビュー形式の長尺広告動画であるため、弱点があまりおおぴらになっていません。

インタビュイーの森本氏がいう「企業年金は史上最強の資産形成ツール」というのはかなりの誇張が入ったポジショントークです。企業型確定拠出年金(DC)の場合は、早期リタイアを考えなければそういえますが、確定給付企業年金(DB)の場合は条件付きになります。

インフレに負ける弱点

何が弱点かというと、iDeCoとは違い運用が企業任せであって、およそ安全資産(主に国債)で運用されるため、運用中の利回りが0~1%位になる点です。つまり、年2%のインフレに負けてしまいます

また、利回りが低いので、もしそれをもっと利回りがよい投資先に回せていた場合の機会費用を考えると、そんなに長期間この制度を使うのも考えものです。

なので、所得税20%が節税出来て、なおかつ社会保険料も抑えることができ、あとは転職(退職時)や出産休業、病気などでの一時休業時に備えて銀行に預けるよりはましな所に資産を安全に担保しておけるくらいの位置づけになります。

なぜなら、最初の所得控除20%の恩恵を受けられるとしても、運用利回りが低いままであると、控除されなかったとしてもS&P500やオールカントリーに金額を投資していれば、控除される金額以上のリターンを得ることが出来るからです。ここがiDeCoよりも唯一劣る点です。

このため長期間DBを継続するのも、機会費用が発生するので、対策として今現在の企業に何年勤めるか、やめないにしても、いつ頃全額引き出せるかは考えておかないといけなくなります。

ちなみにDBで節約出来た効果は、S&P500との対比で、およそ最長でも3年までの効果と把握しておきましょう。これがそのシミュレーション結果です。

DBは、月2万円を入れるようにすると、社会保険料も1等級抑えられることができるため、一旦所得税控除の2万円で計算しています。そして、下の16000円は、DBに入れずに20%の所得税が引かれた元2万円です。

シミュレーションの通り、S&P500が順調な年利であれば、3年以上DBを継続すると、税金を取られたとしても、年平均10.76%(※全期間の平均年率)を出すS&P 500に投資をしていた方が節税以上の金額を稼ぐことになります。このため、分岐点の目安としては3年という計算になります。

確定給付企業年金に向いている人・向いていない人

紹介している動画ではサラッと言っていましたが、1つの企業に長期間留まる予定がない人、転職の可能性が高い20~30代や現在の会社に勤めてはいるが出産が想定される女性、年齢関係なく就業期間が比較的短くなる予定の人にDBは向いています。(出産休業や退職時に引き出せるため)

動画の中で1つの企業に長く務める人は、DBではなく、企業型確定拠出年金(DC)にした方がよいという旨の発言があったのは、この背景があるためです。

まとめ

整理しますと

  • 1つの企業に長年に渡り留まる予定がない人(1~3年くらい)

  • 転職の可能性が高い20~30代

  • 現在の会社に勤めつつ出産が想定される女性

  • iDeCoが想定している60歳まで会社勤めをする予定がない人

  • 人生の節目節目で積み立てた金額を引き出してもっと活用したい人

  • 早期の経済的独立と早期リタイアを考えている人

  • 今のところ投資のノウハウが分かっていない人で、とりあえず手っ取り早く20%の節税で資産形成をしたい人

  • 人の入れ替わりが頻繁な企業に勤めている人

が、確定給付企業年金(DB)向きの人です。

逆に

  • 1つの企業で長年勤める予定の人(3年以上が目安)

  • iDeCoが想定している60歳まで会社勤めをする予定がある人

  • 毎月5000円以上+171円の管理費用を+60歳まで払っても十分ペイすると計算上成り立っている人

  • FIREは考えていない人が60歳の時点で経済的独立(FI)だけは考えている人

  • 自分で運用先がどこにすればよいかわかっている人

は、企業型確定拠出年金(DC)かiDeCO(個人型確定拠出年金)をやることになります。

まずは、この制度を採用しているか運用は企業任せになっているため、どのように運用しているかを確認してみてください。

もし運用がオールカントリーや年利5~7%などであれば、3年以上のDB継続はありです。

ただ、株であれば、元本損失リスクが大きいので、おそらく企業はこのリスクは取らないことでしょう。

良くても先進国株と先進国国債を半々かすべてを国債にすることで元本損失を避けるところが多いと思われます。

なぜなら、確定給付企業年金(DB)は、企業が運用・損失補てんをするため、企業側の担当者も投資による変動リスクを負いたくはないからです。

このため、ほとんどの場合元本損失がない国債での運用を選択することと思います。

以上のことを知識として知った上で、DBの有無、自分の給料に天引きとして導入するかを検討してみましょう。

投資ではないので、一度設定してしまえば、あと引き出しのタイミングさえ大丈夫なら手堅く勝てる方法です。


これはシリーズになっています。
まだ第1話から読んでいない方は、よろしければ第1話からお読みください。


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