キャロットケーキ
大人になってから好きになったもののひとつに、キャロットケーキがあります。
小さい時は、甘くない野菜のケーキなんて...と思って、ショートケーキやチョコレートケーキのような、分かりやすい甘さのケーキが好きだったけれど、大人になってわかったんです。
この、ほんのりとした甘さがいいんだ、と。
上にかかったクリームチーズのほどよい酸味と口の中に広がるスパイスの香りも絶妙なのです。
子どもの時は、この奥深い美味しさに気づけなかったよ。大人になるっていいものです。
ところで、キャロットケーキはどうやって誕生したかご存じですか?知らないでしょう。私も知りませんでした。
キャロットケーキが生まれたのは中世イギリス。砂糖が貴重だった時代、人々は砂糖に代わる甘さを求めて、糖分の高いにんじんをスイーツに使いはじめます。
そして、広く親しまれるようになったのが、第二次世界大戦中でのこと。食糧難で配給制になっても、にんじんなら家庭菜園でつくれるじゃん、ということで、にんじんスイーツがブームに。キャロットケーキも大人気になりました。
戦後、キャロットケーキは海を渡ってアメリカへ。アメリカの定番スイーツになります。そして、(アメリカならではというか)、ケーキの上にクリームチーズをのせるスタイルが流行して、今私たちがよく見るキャロットケーキの姿になりました。
素朴な味のイメージのイギリスと、ガツンと分かりやすい味のアメリカが、同じケーキの中にいる。それが絶妙にマッチしていて美味しいって、なんかすごくですか。
ふと気になったんですけど、イギリスでも、今ではイギリスアメリカ合体版のキャロットケーキを食べているんでしょうか。クリームチーズはないままなのかな。