大学ではデータサイエンス教育が話題
はじめまして
ワークアカデミー の阿辺山です。大学の授業企画や構築にかかわっています。ここ数年ではデータサイエンス教育についての相談も増えてきました。多くの大学関係者が新しい取り組みに試行錯誤しています。そこでワークアカデミー として、データサイエンス教育の授業構築にかかわるなかでのここ数年の取り組みや実際の授業を通じて見えてきた課題など、noteで皆さんにお伝えしていきたいと思います。
目次
大学ではデータサイエンス教育が話題
2030年には79万人のデータサイエンティストが不足
大学が取り組むべき2つの方向性
2020年4月から実際に授業をおこない見えてきた事
大学ではデータサイエンス教育が話題
1.大学ではデータサイエンス教育が話題
大学ではデータサイエンス教育が話題です。2017年の滋賀大学データサイエンス学部を皮切りに、2018年には横浜国立大学、2019年には武蔵野大学がデータサイエンス学部を設置しました。現在も多くの大学がデータサイエンス教育の取り組みを企画しています。ワークアカデミー は大学の授業構築を支援する立場でデータサイエンス教育にもかかわっています。
2.2030年には79万人のデータサイエンス人材が不足する
そもそもデータサイエンスは、ビジネスでは大学業界より少し前から話題です。Industry4.0やSociety5.0といった社会変化から人々の働き方や生活は大きく変容しています。
たとえばUberやカーシェアなどMaaS、SansanやマネーフォワードなどSaaS企業の台頭に代表されるアナログからデジタルへの移行はIT企業だけの話ではなく、使用する企業、個人が主体的に考えていかなくてはならないフェーズとなっています。この状況で企業にはIT、AI人材が不足しており、2030年には約79万人が不足すると予測されています。加えて新型ウイルスの影響で、データサイエンスの需要はさらに加速するかもしれません。
3.大学が取り組むべき2つの方向性
大学が取り組むデータサイエンス教育の取り組みには2つのパターンがあります。一つは先に挙げた大学のように学部や学科を設置し、高い専門性を有した人材を輩出するパターン。もう一つは法学部や経済学部などの文系学部も含めて全学的にデータサイエンスのリテラシーを備えた人材の輩出を目指すパターンです。これはたとえばシステムを構築にする人材を養成するのではなく、利用者としてうまく自社のビジネスにデータサイエンスを取り入れられる人材を養成することを目指しているのだと思います。ワークアカデミーはおもに後者にかかわっています。
文系理系問わず、全学的に取り組む場合さまざまな課題が出てきます。どのような目標とするのか、どうやって教えるのか、誰が教えるのかなど、学生の視点、大学教員の視点、大学職員の視点それぞれで今後クリアしていかなくてはなりません。
このように課題満載ですが、2020年4月にデータサイエンス教育強化コンソーシアムよりデータサイエンス教育のモデルカリキュラムが提示されました。
このなかでポイントだと思うのは、興味喚起や意欲醸成を重視していること、そしてアクティブラーニングでの運営ではないでしょうか。全学的にデータサイエンス教育をおこなう場合、授業の到達目標をどのように設定するかということには頭を悩ませます。とくに全学的に取り組む場合、学生はデータサイエンスについての知識はもちろん、興味も持っていないケースもままあります。そのような学生に何をどこまで学ばせるのか。またリテラシーとして必要な水準はどの程度なのか。今後数年かけてディファクトスタンダードができてくると思いますが、悩みは尽きません。そんななかで一応の基準として提示される意義は大きいと感じます。またアクティブラーニングについて日本の大学ではここ10年話題の中心ですが、データサイエンス教育においても同様みたいです。
4.2020年4月から実際に授業をおこない見えてきたこと
ワークアカデミー でもリテラシーレベルのデータサイエンス教育には数年前から取り組んでいますが、アクティブラーニングでの授業を採用しています。とくに元々情報処理の基礎科目をおこなっていたものからデータサイエンス教育のリテラシーレベルに授業を変革していったので、その過程ではさまざま議論がありました。
この4月から授業をおこなっていますが、新型ウイルス対策もあり、授業は完全オンラインです。その状況下ですが、Google classroomやMeetなどを駆使してアクティブラーニングに挑戦しています。全学部1年生を対象とした必修科目で2000名規模が履修しています。この規模で運営して見えてきたことや感じることなどさまざまあります。今後、学生の視点、大学職員の視点で掘り下げ、実際の授業の現場について考えていきたいと思います。