D&D5e 遭遇戦闘の自動化
遭遇戦闘の自動化
以下は遭遇戦闘を自動化するためのハンドメイドルールです。
このルールは、次のようなシーンで活用します。
・危険な森を移動すると宣言したためにプレイヤーがランダム遭遇票を振りたがり、面倒な遭遇戦が発生した
・死霊術師のねぐらを守る15体のスケルトンを蹴散らすなど、描写上や現実性を考えて配置したいが、解決するには処理が重くうんざりとする戦闘が必要である
・PCを(ゲーム内で)ある程度消耗させたいが、プレイヤーやDMは(現実では)消耗したくない
各自自分のゲームに合うように手直しして運用してください。
ステップ1 DMQの決定
キャラクターごとにダメージ・マーカー(以下DMQ)を定める。DMQはHPの1/8の値を設定し、小数点1桁まで定める(切り上げ)。実際のダメージに変換する際は切り捨てる。
例 HP12点のキャラのDMQは1.5点。5DMQが宣告された場合、7点のダメージを受ける。
・オプション 電卓を使えば計算に問題は起こらないが、そもそも簡略化のためにしているのだから、全部切り捨てて計算しても構わない。ダメージが減る分にはプレイヤーも文句を言わないだろう。
ステップ2 遭遇の難易度の確定
遭遇難易度は簡単、適切、困難、致死の4段階に分かれる(はずだ)。DMGを参照。計算は遭遇計算機などのツールを使うと良い。
もし、遭遇が致死の場合、それは戦闘そのものがドラマになるため、このルールを使って処理することは薦めない。また、簡単なxpの半分以下の場合、蹴散らしたことにして消耗させないことをお勧めする。
ステップ3 被害の確定
適切の場合、1d20の結果に応じて総ダメージマーカー(TDMQ)を決定する。
7×pc人数 を基準DMQ(BDMQ)とする。
1 BDMQ
2-4 BDMQ÷2(最低5)
5-8 BDMQ÷2-2(最低4)
9-12 BDMQ÷2-4(最低3)
13-16 BDMQ÷2-6(最低2)
17-19 BDMQ÷7(最低1)
20 0
と設定する。この値はあらかじめ算出しておこう。
困難の場合、1の場合の結果が+4、他の出目の結果を+2する。
致死の場合、1の場合の結果が+8、他の出目の結果を+6する。
簡単の場合、1の場合の結果が-4、他の出目の結果を-2する。
ステップ4 被害の軽減
確定した被害を消費型能力の消費により軽減する。
怒涛のアクションはTDMQを1d6減少する。
戦技ダイスは1つにつきTDMQを1d2軽減する。
激怒は1つのみ消費でき、TDMQを1d4軽減する。
気ポイントはlv÷2点の消費につきTDMQを1d4点軽減する。
神聖なる一撃はTDMQを1d4軽減する。
バードの声援は1つのみ消費でき、TDMQを1d4点軽減する。
インスピレーションはTDMQを1d4減少する。
呪文スロットを消費する場合、TDMQを大幅に軽減できる。pc達の平均レベルで利用できる最大の呪文スロットで1d4+4点、そこから1lv落ちるごとに-2点のTDMQを軽減できる。ただし最低でも1D4点は担保される。
一人の PCは2回までのTDMQの軽減を行うことができる。
・オプション
ローグなど消費型能力値を持たない PCが戦闘で役立っている実感が得られないかもしれない。クラス毎に細かく固定値の減少値を設定して、貢献度を加算しても良いだろう。この場合、全員ローグのパーティーや全員ファイターのパーティーだと計算がおかしくなることに注意されたい。解決案の一つとして、TDMQを2点高くしておき、軽減能力をそもそも持たないクラスの場合は、2点DMQを軽減できたとするものだ。
ステップ5 ダメージマーカーの割り振り
戦闘前に決めておいた順にTDMQを割り振る。ただし、DMは不意打ちなどの条件により、この割り振り順を変えても良い。
決めておいた順に、TDMQから1d6+2点ずつダメージマーカーを引き受け、TDMQが0になったタイミングで引き受けを終了する。
例えば、TDMQが12点のとき、 PC1がダイスで5を出すと、pc1が7点のDMQを引き受け、残りのTDMQは5点。次にpc2がダイスで4を出すと、6点のDMQを引き受けられるが、残りのTDMQは5点だから、 PC2は5点のみDMQを引き受ける。他のメンバーはダメージを受けない。
ステップ6 戦闘でのできごとをランダムで決める
PC毎に2d6を振り、次のランダム表を適用する。
2 何故か相手の攻撃が当たらなかった..! 割り振られたマーカーを1d6個消す
3 クリティカルを出して大活躍! 割り振られたマーカーを2消す
4 何故か自分の攻撃が当たらなかった...! 他人のマーカーを2増やす(ランダム決定)
5 最適戦術。好きな PCのマーカーを2消す
6 堅実に活躍した。マーカーを1消す。
7 堅実に活躍した。そのまま。
8 堅実に活躍した。マーカーを1消す。
9 キャラクターらしい活躍!インスピレーションを1点獲得(即消費し、好きな相手のマーカーを1d4軽減できる)
10 汎用戦闘トラブル表を振る
11 装具破壊表を振る。
12 咄嗟の行動が大きな失敗を招いた! ランダムに決めた相手のマーカーを1d6増やす
ステップ7 被害の確定
DMQは HPの減少に変換する。
このルールでは PCの死亡を取り扱わない。全員のHPが0になった場合のみ全滅とし、そうでない場合はpcのhpを1に戻して蘇生させる。
補遺
このシステムは十分に練られた公式のルールではないため、簡単に「ハック」することができる。DM諸氏におかれましては、プレイヤーに導入の趣旨を十分に理解してもらった上で、何度も悪用や濫用については止めるように警告し、それでもこのルールを悪用したり、ルールの細かい部分を利用しようとする悪質なプレイヤーがいた場合、次回以降のゲームに誘わないなどの抜本的な対策を取られたい。
汎用戦闘トラブル表
2d6で決定する。このトラブル表は、環境やシチュエーションによって変えると良い。
2 昔引き受けた呪いが封印を破って暴れ出す。ビストゥ・カースの効果を受ける。
3 仇敵が突如として現れ、戦闘に乱入してきた。遭遇戦闘を行う。決着はつかず、相手は去って行く。
4 奇妙な魔法の効果を受けた。不調状態になる。1時間後に回復する。
5 奮戦の無理が出た。過労状態を1段階得る。
6 敵の攻撃に毒が...! 君は毒状態になる。
7 流れ矢だ! ダメージマーカーを1点増やす。
8 集中状態が続いている。君は1時間以内の判定一つを有利で行うことができる。
9 ひどい肉体損傷を受けた。回復魔法を受けるか大休憩を終えるまで、判定が不利になる。
10 突如として自分の未来を幻視する。オーギュリィの効果を受ける。
11 2d6を振り、装具破壊表を参照する。
12 神性介入。神格ないし強大な存在が事態に介入し、厄介な状況一つを解決し、去る。ただし君に困難なクエストか厄介な呪いを与える。相応しくないなら、呪われたマジックアイテムが現れて君を誘惑しても良い。
装具破壊表
2 最も強大な呪われたアイテムが破壊される。指輪物語完。
3 背負い袋やポーチの中に入れているもの全てが破壊される。ただし、破壊されない特性を持ったものは地面に散らばるだけである。
4 背負い袋やポーチなど運搬具が破壊される!中身が!
5 術者なら焦点具または呪文構成要素ポーチ、術者でないなら外套やマント、ネックレスやブレスレットなどの武器や防具でない装具の一つが損なわれる。
6 食糧、水袋などの一つが失われる。
7 矢玉、投げナイフ、ジャベリンなどの投擲/射撃武器一つが破壊される。
8 防具が損傷する。ちゃんとした施設で整備するまでAC -1。
9 武器が損傷する。ちゃんとした施設で整備するまで使用できない。
10 ポーション類などのシナリオ上重要でない消費アイテムのうち、現在最も貴重なものが一つ破壊される。
11 魔術師なら呪文書、戦士なら武器、その他のキャラクターならキャラクターを象徴するアイテムが(破壊できない特性を持っていても)破壊される! 臨時のプロットポイントを1獲得する。
12 携行している重要な貴重品が損なわれる。臨時のプロットポイントを1獲得する。