宙に浮いた。 1年前から心待ちにしていた ライブがなくなり、 とうとう、 4年間つみあげてきた 卒業式までなくなった。 街には騒がしさを通り越して、 静けさが広がった。 マスクがなくなり、 トイレットペーパーがなくなった。 友達の卒業展示がなくなり、 友達との卒業旅行もなくなった。 スマートフォンが震える。 卒業式に着る予定だった袴の返金案内だった。 学校の案内で借りた袴は、 そのまま会場で着付けてもらい、 写真まで1日で撮れる
右耳にひとつだけ、ピアスを開けた。 どうか、これからの人生で、 わたしがわたしらしく生きられますように。 他人の意見に左右されず、 わたしを見失いませんように。 大学1年生、付き合ってた人にピアスは開けないで欲しいと言われていた。 素直に聞き入れ、別れた後もなんとなくピアスを開けることなく今日まで生きてきた。 大学2年生、サークルの代表をこなすのに精一杯だった。 より良いサークルにするため、私生活を投げ打って、毎日学校が閉まるまで部室にいた。 大学
吐いた息が白かった。 それはまるで水タバコのように広がって、空気の中に溶けていった。 どうでもいいけど、水タバコなんて吸ったことない。吸ってみたいけど。煙をぼはってやってみたいけど。 就活が終わってからの記憶がない。 記憶がないっていうのはうそだけど、比喩だけど。 でも、気づいたら11月がすぎていて、今年もだんだん終わりに近づいてきた。 最近は卒論が忙しくて。 忙しくて、っていうほど忙しかったわけではないけど、確実にわたしの精神をすり減らしてる一因ではある。 お昼く
好きだった、なにもかも。 たばこを吸うあなたの後ろから、 ぎゅうっと抱きつく。 そこがわたしの一番のお気に入りの場所だった。 換気扇の下でたばこを咥え、ライターで火をつける。 煙があなたに吸い込まれるように、わたしはあなたの背中に吸い込まれた。 猫背のあなたの背中は丸まっていて、猫背のわたしが抱きつくのにぴったりだった。 わたしが抱きつくためにあるような、 わたしに抱きつかれるためにあるような、 そんな背中だった。 iPhoneで音楽を選びながら、煙を吸い込む。 吸
どうしようもないほどのこの虚しさは、どうすれば消えて無くなるのだろうか。 似たような文字が並んだメールを、飽きるほど受け取り、そのたびに何かを失っては、そのなにかを埋めるために、胸の痛みに気づかないふりをした。 就職活動は、恋愛と一緒。 結婚相手を選ぶのと同じ。 誰が言い出したのかわからないが、あちこちで聞こえるその言葉に、わたしはあと何度失恋をすればいいのかと、遠くの空に想いを馳せた。 もういいや。 もう、これで終わりにしよう。 どんなに尽くしても振
「こわいの。」 「わたしが傷つくことより、誰かを傷つけることの方がこわい。」 彼女はぽつりぽつりと話し始めた。 「ほら、わたしいじめられていたでしょう?だからなのかな。誰かを傷つけることで、あのつらさを、誰かに感じさせてしまうのがこわいの。 」 「その人の心を殺してしまうのがこわい。 」 彼女はとても優しい人だった。 彼女が怒ったところを見たことがある人間はこの世界に何人いるだろう。彼女が笑って許さなかった場面はあっただろうか。 「でも、だから、きっと舐め
就職活動が終わりました!!! 正確には少し前に終わっていたのですが、 なんとなく気分が落ち着くまでに 時間がかかってしまいました。 卒論で忙しくはなりますが、 これからまたほそぼそとnoteを 書いていこうと思います! よろしくお願いします!
今年の北海道はなかなか春になりきらず、 昨日も雪が降り、積もってしまっていました。 就活をしている身としましては、 スーツにトレンチコートをきたところで、 気持ち程度しか対策になりませんし、 パンプスで歩くのもつらいものがあります…。 はやく春になってくれないかなあ。
就職活動に伴って、更新が著しく減っておりますが…!(変わらない気もするけど…!) 時間見つけてnoteは続けたいので…! 見捨てないでください…! なんてね 秋。
『本気でやめたいと思ってる人は、もうやめてる』 深夜3時。 明日、というより今日はサークルの定期発表会がある。わたしはこの夏にサークルを引退した。ずっと、ずっとやめたかった。 今でこそ、入ってよかったと、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ思えてはいるが、この2年半、“サークルやめたい”が頭から離れたことは、まるでなかった。 --- わたしは1年の夏からサークルの代表をしていた。 その日は突然やってきた。 夏休み。3年生が引退した初めてのサークルの全体会議の前日、次の会長
ああ、もう全然。全然だめ。 どうしたらいいんだろ、どうしたら、わたしも、あなたみたいに前に進めるんだろ。 あなたに教えてもらったあのバンド。 まだまだ駆け出しのあのバンド。 CDも買って、ライブも行って、わたしも大好きになったあのバンド。 あなたと別れたあとも、あのバンドを聞いていた。あなたと繋がれた気になって、わたしは手放すことができなかった。 あのバンドのボーカルと、あなたはとても仲良しなのよね。知っているわ。 あなたがとても尊敬していて、憧れている先輩なのよね。
わたしの夢にはタイムリミットがある。 いや、何歳になっても夢を叶えることはできる。そういう声が聞こえてくる。 それでも限界がある。 夢を叶えるお年を召した方は、それなりにその方にあった現実的な夢なんだと思う。 それはそうと、北海道の大学生は、就活を始めるのが遅いらしい。 大学に入ってから、耳が痛くなるくらい聞いた。都内の大学生に比べ、道内の大学生は土地が広いからかのんびりしていると、よく言われていた。 そんな道内大学生のわたしも、何も進まず頭を抱えている大学生の1人
『あれ?秋。って左利きだっけ?』 サークルの友達がそう問う。 視線は、わたしの右手首で光る腕時計。 『んーや、右利きだよ〜』 『いや、じゃあなんで腕時計右手につけてんの笑』 このやりとりを、生きてるうちにもうなんどもしている。 一般的に腕時計は利き手と反対につける。 …どっちだっていいと思うのけれど確かに、不思議に思うのだと思う。 --- 単刀直入に。わたしは利き手が固定してない。いわゆる、クロスドミナンスというものだ。 この言葉自体、わたしも今年知った。 クロ
『ほんっとうに最悪だった。』 ここまで親に感情をあらわにしたのは、 初めてかもしれなかった。 成人式後の同窓会。 田舎の小中学校の同窓会。1時間に1本もない田舎の終電なんて23時代、逃した時点で始発を待つしかなく、会は3次会まで行われた。 成人式が出会いの場になって、同窓会で思い出話に花を咲かせられる人は、それはそれはいい学生生活を送れたんだと誇っていいと思う。 狭いコミュニティ。 行かないという選択肢がない。 それでもわたしは最後まで強がり、 これはわたしの意思で
あなたに必要なのは、わたしじゃない。 疲れたときに会いたくなるのは、 わたしじゃない。 肌身離さずそばにおいておきたいのは、 わたしじゃない。 いなくなると不安なのは、わたしじゃない。 気づけば頭に浮かぶのは、わたしじゃない。 毎日一緒にいたいのは、わたしじゃない。 いなくてはならないのは、わたしじゃない。 別れられないのは、わたしじゃない。 離れられないのは、わたしじゃない。 あなたの人生に必要なのは、わたしじゃない。 1日の終わり。 そっと体に触れ、抱き上
これが人生で最後になるかもしれない。 わたしは考えに考え抜いて、最後の最後は青と紫を選んだ。 2年間、虹のように様々な色に染められた毛先は、丁寧に青と紫に染められていく。 わたしはいわゆる“派手髪”だった。 1年生の夏、アッシュグレーで始まったその旅は、青、紫、赤、ピンク、赤紫とどんどん移り変わり、ついには1色では飽き足らず、3色4色と同時に色を入れる、ユニコーンカラーというものに行き着いた。つやつやの黒髪やふわふわの茶髪が美しい髪だとサークルの友達にもなんども言われたけれ