「すっきりしたフルーティな白、お願いします」
6月に入った。
いつ梅雨が来るんだろう、洗濯物が干せなくなる日々が
すぐそこまで来ているようで、
晴れた日には必ず洗濯物を終わらせるようにしている。
私は先月からワインバーで働いている。
本業と別に、ワインに関する仕事がしてみたかった。
副業という枠で、
限られた時間に、限られた時間内でしか働くことができない為、ダメ元で受けた面接であったが、
「ぜひ来てください。」
とその場で有り難く合格を頂いた。
そんなことから働き出したワインバーには
毎日いろんなお客様がいらっしゃる。
お仕事終わりの方。
お仕事中の方。(おそらくご接待中)
リモートワークを終え、晩御飯兼晩酌のおひとり様。
女子会。
デートのお客様の割合も多く、
世の中にはこんなにカップルが存在するんだな、
と働き始めの頃は驚いた。
本日いらっしゃったお客様、
男性2人のご依頼は
「すっきりしたフルーティな白、ボトルでお願いします」
であった。
暑い日差しが降り注いだ日中。
お仕事終わりのご様子。
わかる。
わかりすぎる。
すっきり爽やかな白が飲みたくなる。
そのほかのご希望を伺ったところ
・予算3500円〜5000円
・樽なし
・フルーティ
・ニューワールド
以上4点であった。
「ご希望に合うものを探して参ります。」
そこでご提案したのが
『DASHWOOD SAUVIGNION BLANC』
産地はニュージーランドのマールボロ。
品種はソービニオンブラン100%でできている。
ニュージランドのソービニオンブランと言えば、
まず第1に高い酸味が特徴である。
この高い酸味が最高にすっきりキリッと感を表現する。
暑い夏にキリッと冷やしてクイッと飲むと
ストレス発散さえできそうな酸味である。
そして第2の特徴として
『ニュージーランドのソービニオンブラン』と聞くと
パッと頭に浮かぶほど
フルーティで特徴的な味と香りがあげられる。
とてつもなく華やかな(もちろん物にもよるが)ハーブとトロピカルフルーツの香りと味わい。
特にパッションフルーツ。
そして、個人的には白いお花の香りや白桃の香りが思い出される。
この香りの香水があったら欲しいと思うほど大好きである。
というか、むしろありそう。
ソービニオンブランは、
言わずと知れたニュージーランドのフラッグシップ品種であるが、
そのソービニオンブランのニュージーランドでの有名産地がマールボロである。
ではマールボロは、どこにあるのか?
ニュージーランドの縦に並ぶ2つの島のいわゆる下側に位置するサウスアイランドの北部に位置するのがマールボロと言われる産地である。
ここは、ニュージーランドの多くのワイン産地の中でも日照時間が長く、ぶどうは沢山の太陽を光を浴びて育つことができる。
その為、そこで作られるワインはパッションフルーツやマンゴー、りんごなどトロピカルな味わいを持つ。
フルーティでアロマティックな香りを持つこのワインは、ワインがそんなに得意ではないという方にも自信を持っておすすめできるワインである。
いかにもワインを飲み慣れていそうなビジネスマン風の男性お2人に勧めるのもどうだろうか、とほんの少しだけ躊躇していましそうになったが、
ボトルをしっかり冷やして、お出ししたとろ、とっても美味しいと言ってくださった。
よかった。
この瞬間が、とても嬉しい。
そしてお客様のご希望に合ってよかった、と安堵する瞬間でもある。
ワイン一杯、一本と言っても
味も値段もピンからキリまで存在する。
そしてある程度の金額を出せば美味しいものに出会えるというのは事実ではあるが、
お金を出したからといってその場に適した、
また自分の好みに適したもの、
つまり美味しいと思えるワインに出会えるのかというとそれはまた違う、
というのがワイン選びの難しさであり、
面白いところである。
まだ自分が知っているのはそのほんの一部であることには違いはないのが、
仕事仲間であっても、
大切な友人、恋人であっても、
何かのご縁で時間を共にし、
向き合って乾杯する一杯。
その一杯ができるだけその場に応じた、
ちょっぴりしあわせな気持ちになれる
最良の一杯であればいいなと心から思う。