今、アイルランドを二分する問題~アイルランド留学生活10~
アイルランドも少しずつ暖かくなってきました。どうもケイトです。
今日は少し重たいお話。
毎日、朗らかに過ぎていくアイルランドですが、全くニュースがないかというとそういうわけでもなくて、特に今、国民を二分するある問題で持ち切りです。
それは、「人工妊娠中絶を認めるか否か」という問題。
5月25日に、憲法を改正するか否かの、国民投票が行われようとしています。
以前のノートでもお伝えした通り、アイルランドはカトリックが大半を占める国です。傾向としては保守寄りの考え方と言えるかもしれません。
カトリックの教えでは、中絶は禁止事項であり、現在のアイルランドの憲法にも、中絶はしてはならないと明記されています。
しかし、妊娠に関して様々な事情があることも確かであり、中絶を望む方の多くは、お隣のイングランドに渡英して手術を受けるという現状なんだそうです。そうか…EU圏内だとそういうこともできちゃうのね…
実は、アイルランド国内においても、完全に禁止というわけではなくて、母体に危険が及んでいて緊急性がある場合は、医師の判断において中絶は可能です。
しかし、この「医師の判断において」というのがなかなか曲者で、自らの判断に則って手術した結果、憲法違反だ!と取り沙汰されるリスクを孕んでいるんですね。このあたり、日本でもなんだか同じような話があったようななかったような…。
元々はいかなる場合においても中絶は禁止だったのですが、数年前、インド系の女性が突然産気づいて、このままでは母子ともに生命の危険がある。という判断が下された際、私はカトリックではないから手術をしてくれ!と懇願されたにも関わらず、病院側がこれを憲法に反するとして拒否。結果母子共に死亡するというなんとも悲しいニュースがありました。(なお、この病院はゴールウェイの病院です)
この事件をきっかけに世論が中絶容認に傾き、上記の通り緊急時においては中絶が可能であると憲法改正に至ったのですが、依然として病院側の判断が変わらないのであれば、完全に容認した方がいいだろう。と、再度改憲の機運が高まり、ついに今週末がその投票日となっています。
街中には至る所に、改正容認派と、否定派のポスターが掲げられています。同じ電柱に争うように掲げられているのが印象的。abortion=中絶 です。
ゴールウェイの町の中心地にある公園も、カラフルなポスターで埋め尽くされています。日本ではなかなか見られない光景かも。日本においても憲法改正の機運が高まっていますが、国民投票が行われるとなれば、日本の町にもこのようにポスターが乱立するのでしょうか。
保守寄りの宗派であるカトリックの国ですが、現在の首相レオ・バラッカーは同性愛者であることを公言しています。同性婚に関しては、2015年の国民投票で容認され合法化されました。
中絶を認めることを、寛容だ。と表現することは間違っているかもしれませんが、様々な人、そして生き方を容認する国へと変わっていっている。アイルランドは今その最中にいます。
この記事をご覧の皆様は、どう考えますか?
☆国民投票の結果は改めてノートにまとめます!
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