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よくわかるかもしれないブランド解説~SKEWed編~

※この記事は約8分ほどで読めます

ご来訪、ご観覧誠にありがとうございます。
本日は2025SSシーズンよりローンチのデニムブランド、SKEWed(スキュー)について独断と偏見を交えつつご紹介させていただく、ややマニアックな記事です。

あの国産デニムの古参メーカーが提案する、
偉大なブランドのマスターピースたちにリスペクトを捧げるラインナップ。
デニム好きとしてはなかなかに刺さるアイテムが勢揃いです。


1.SKEWedとは

2025年春より市場デビューを果たした新進気鋭のブランド。
そのSKEWedを手掛けるのは、おそらく日本人なら一度は目にしたことはあるはずのデニムブランド。
EDWINです。

「503~♪EDWIN~♪」
のフレーズを歌うブラ●ド・ピットの姿が浮かんだあなたはきっと僕と同世代。仲良くしてください。

ブランド名のSKEWedとは日本語で「斜め」とか、「ねじれた」という意味。
転じて、ヴィンテージデニムに洗いを掛けた際に生じるねじれのことや、そのねじれを防止する加工「スキュー加工」のことを指したりします。

ねじれてます。
このねじれがまたデニムマニアを狂わせるわけです
(もちろん良い意味で)

SKEWedのラインナップはその名に違わず、そのデニム特有のねじれをあえて全面に押し出したビジュアルとなっています。

今や世界的デニムブランドとなったEDWINが、過去のEDWINを取り巻くイメージに対して少しだけSKEW(スキュー)を掛けて新たなアプローチを試みる…というプロジェクトなわけでございます。

2.SKEWedの魅力「ねじれの美学」

2025春夏のラインナップでは「American Big3(アメリカンビッグ3)」と呼ばれるジーンズメーカーの代表作を、SKEWed流に解釈した「ジャイアントフィット」なモデルを展開しています。

アメリカンビッグ3って何ぞや?という話ですが、これは「Levi's(リーバイス)」「Lee(リー)」「Wrangler(ラングラー)」のこと。
デニムを語る上では避けては通れない、偉大なブランド達ですね。


もちろんモデルによって生地やディティールに全く異なるこだわりが詰まっていますので、拙noteでは簡単にご紹介させていただきますね。

1.COIN POCKET PANTS/コインポケットパンツ

トップバッターはこちら。
ヴィンテージデニムに明るい方ならおそらく知らない人はいないであろう、Levi'sの「501XX」をベースにした「コインポケットパンツ」。

なお今シーズンのSKEWedのパンツのモデル名はフロントの小さなポケットから取っています。
俗にコインポケットとかウォッチポケットとか呼ばれるあの部分。
実はメーカーによって呼び方が違うみたいなんです。へぇ~。

モデル名の由来となった"Coin Pocket"。
小さなポケットが完全に露出したデザインです。

シルエットこそややテーパードしたズドンと太いジャイアントフィットですが、補強の為に打たれたリベットや

当時は画期的だったリベット補強

全体的なサイズバランス、そして右綾デニムなど随所に「らしさ」を感じていただけるのではないでしょうか。

ねじれてます。
このねじれがまたデニムマニアを狂わせ(以下省略

こちらのモデルに使用されているのはアメリカ綿と和綿をブレンドしたカラフルなセルビッジが特徴のデニム生地。

1963年にEDWINが記念すべき初の国産ジーンズを生産した際、輸入したデニムのセルビッジがグリーン・イエロー・ピンクの三色で構成されており、当時この生地は「Rainbow Selvage Denim」と呼ばれていました。

よく見たら、カラフルです。

この伝統を大切に守りながら、現在でもプレミアラインに限定して使用されている特別な生地…というのがこのデニムの正体なわけです。

なおこちら早々に完売となってしまいましたが、セットアップとなるジャケットも製作されています。

2.MATCH POCKET PANTS/マッチポケットパンツ

続いてはこちら1950年代のLeeの「101-Z」というモデルをベースにした
「マッチポケットパンツ」。

例のポケットは形状にも若干の違いが見られますね。
当時のカウボーイたちは煙草用のマッチを入れていたのでしょうか?

”Match Pocket”。
カウボーイ、タバコときたらMarlboro一択ですね。

カウボーイたちにも愛されたこのデニムは馬上での動きやすさを考慮したディティールを備えており、

馬の鞍を傷つけないよう、リベットを生地内に埋め込んだスレッド・リベットが特徴的。
底がカーブしたヒップポケットの形も「Leeっぽさ」を感じさせますね。

そしてLeeと言えば、な左綾デニム。

左方向(向かって右方向→)にねじれてます。
このねじれがまたデニムマニ(以下省略

1940年代に左綾デニムに変更して以来、代名詞的な存在になっています。
アメリカ綿100%を使用し、サルファ染料で下染めを施したやや黒味のある発色です。個人的にこのLeeならではの濃いインディゴ大好きです。

濃いですねぇ

先ほどのコインポケットパンツほどの太さはありませんが、男らしく太めのストレートに近いシルエット。これまたカッコいいですね。

3.Watch Pocket Pants/ウォッチポケットパンツ

最後にご紹介するのは1950年代に販売されていたWranglerの「11MW」というモデルをベースにした「ウォッチポケットパンツ」。

例の右側の小さなポケットはウエストのステッチに沿うように配置されており、どこかスマートな印象。

"Watch Pocket"。
外側のポケットとほぼ一体化したようなデザインです。

Watch…つまり腕時計という意味ですが、これは古の時代、懐中時計をしまう目的で生まれたディティール。
今でこそ腕時計が主流ですが、どこか歴史の名残を感じさせますね。

ベルトループは前に2本、後ろに5本の計7本。
ポケットは丸頭のリベットで補強されています。

こちらは現役のカウボーイたちからの意見を反映させたモデルとなっており、耐久性の高い巻き縫いや7つのベルトループなどが特徴です。

そして実は1948年よりWranglerも左綾デニムを採用しており、こちらもアメリカ綿を使用した左綾デニムです。

左方向(向かって右方向→)にねじれてます。
このねじれがまたデ(以下省略

Leeのデニムと比べるとやや明るく、青みが強い発色。
これは染色濃度や、経糸の本数が少ないことから生まれる違いです。
RODEO BLUEと呼ばれる、唯一無二のインディゴブルーですね。

シルエットはカウボーイブーツの収まりが良い「カウボーイカット」。
ブーツカット、と言った方がピンと来られるやもしれません。
さりげなく脚長効果もあって素敵。

3.まとめます

というわけでデニムマニアの方もそうでない方も要注目な新ブランド、SKEWedのご紹介でした。

EDWINがこれまでの歴史で培った真面目、定番、不変…といったイメージに対してあえて挑むかのようなプロジェクト。
しかもねじれという、ヴィンテージでしか味わえない要素を全面に押し出したラインナップ。もちろんクオリティは一級品です。

これはもうデニム好きならテンションが上がるのではないでしょうか。

国産デニムの雄、EDWINが見せる新たな挑戦。是非お試しいただければ幸いです。

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